えりもの森 裁判

えりもの道有林で一部の天然林が皆伐されたことにより,森林の公益機能が損なわれたとして,市川守弘弁護士(北海道自然保護協会副会長),市川利美(ナキウサギふぁんくらぶ代表),松田まゆみ(十勝自然保護協会副会長)の三人が,知事と日高支庁長に対し損害賠償を求める住民訴訟を起こしました.

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27. 口頭弁論と講演会のご案内 
口頭弁論のご案内:「中間判決全面勝利」(2月2日)のあといよいよ本論へ
6月15日の13時15分から、「えりもの森裁判」の口頭弁論が札幌地方裁判所8Fで開かれます。この日は全国の原告代理人弁護士が出廷する予定です。

講演会のご案内
「森林に命を託す花ばな」 〜北国の天然林に魅せられて〜 植物写真家 梅沢 俊さん
「えりもの森と上ノ国のブナ天然林は今」 市川守弘弁護士
「北海道の森を守るために」 寺島一男さん(大雪と石狩の自然を守る会代表)
日時:2007年6月15日  18:15〜20:30 (17:30開場)
会場:かでる2・7 4F大会議室 (札幌市中央区北2西7) 入場料:無料!
主催:えりもの森裁判原告団・上ノ国違法伐採告発人団
26. 中間判決の本文はこちら   (平成17年)第25号 損害賠償請求事件 中間判決
                
(平成18年)第19号 損害賠償請求事件 中間判決

なお弁護団は 市川守弘,難波徹基,関根孝道,渡辺正臣,薦田 哲,籠橋隆明,龍山 聴,
 岩城 裕, 白倉典武
 の各氏がボランティアで参加してくださっています。(感謝)

25.関連記事のご案内・・・「えりも森裁判」中間判決で勝利 !!
ナキウサギふぁんくらぶのホームページ http://www.pikafan.com/fanclub/2007_0205.html
弁護士法人
市川守弘法律事務所のホームページ http://www.mori-ichikawa.com/
24. えりも町の道有林が皆伐され,森林の公益的機能が損害をうけたとして提訴した「えりもの森裁判」の中間判決で,原告の主張が全面的に認められる判決が出ました.詳しい内容をインターネット新聞janjan投稿しました.
「えりもの森裁判」で画期的な中間判決(松田まゆみ)
http://www.janjan.jp/area/0702/0702089671/1.php
23.中間判決で全面勝訴
2月2日に,えりもの森裁判の中間判決がありました.25号および19号ともに,原告の主張が認められました.
北海道は,監査請求が不受理であるから住民訴訟はできない,また森林伐採による公益的機能の損害は財産ではなく,財産評価できないと主張して却下を求めていました.判決では,被告のこのような主張は理由がなく,監査請求は適法であるとの判断がなされました.また,森林の伐採により公益的機能が損害を受けたとすることは財産的評価が可能であると判断としました.つまり「財産が侵害されたといえなくもない」としたのです.このような考えは,自然そのものの価値が害された場合の損害評価に通じる可能性があり,画期的な判決といえるでしょう.いままでは入口論でしたが,これでようやく本論に入ることができます.今後のご支援よろしくお願いいたします.
解説「 自然の価値 評価可能と裁判所認める」(弁護士 市川守弘)
次回の公判は4月13日,10時30分より,札幌地方裁判所です.
22.原告の準備書面です
原告準備書面(3) 19号 8月17日  原告19号 知事被告 訴えの取り下げ 8月17日 
原告準備書面(4) 25号 8月17日  原告25号 知事被告 訴えのとりさげ 8月17日
21.被告の準備書面です
被告準備書面(1)19号 7月31日   被告準備書面(2) 25号  7月31日
被告の意見書 19号 7月31日
20.道が違法伐採を認める・・・「えりもの森裁判」の対象となっている伐採は,保安林制度上の択伐の面積要件を越えて皆伐しており森林法違反であることがわかりましたが,さらに道内では過去5年間で同様の違法伐採が44件もあったことがわかりました.違法伐採が常態化しているといっても過言ではないでしょう.
  
相次いで発覚した北海道の違法伐採 (松田まゆみ) http://www.janjan.jp/area/0608/0608229894/1.php
19. 道内環境保全4団体貴重な動植物(ナキウサギ、オオタカ、コモチミミコウモリの群落、リシリシノブ、など)の生息・生育地の保安林(えりも町)伐採を中止するよう申し入れ。
18. 川守弘弁護士が貴重な動植物(ナキウサギ、オオタカ、コモチミミコウモリの群落など)の生息・生育地の保安林(えりも町)伐採を中止するよう申し入れ
17. えりも現地説明会拒否の回答 現地説明会を拒否した北海道水産林務部日高森づくりセンターから,再度説明会拒否の回答が届きました.回答は前回と同様,「札幌地方裁判所の係属事件と関連性がある」との理由です.抗議書で市民団体は裁判の原告(個人)と同一ではないと説明したにも関わらず,これについての見解は全く示されていません.この理屈でいけば、隠したいときには誰かに訴訟を起こしてもらうに限る。後ろめたいところがないのなら,積極的に事実関係を説明できるはずです.
16. 準備書面について  裁判が3つあるうえ被告と原告の書面があり,多少こみ入っています.
1番目の訴訟は25号です(平成17年(行ウ)第25号 損害賠償請求事件)
2番目の訴訟は16号です(平成18年(行ウ)第16号 損害賠償請求事件)
3番目の訴訟は19号です(平成18年(行ウ)第18号 損害賠償請求事件)
 (※2番目と3番目は同じ内容なので,1番目と3番目で進めています.)
1.被告準備書面(1) 25号  5月31日
2.被告答弁書     19号  6月14日
3.原告準備書面(2) 25号  6月21日
 道有林という北海道の財産が違法な伐採や集材路の建設によって侵襲を受け,それによって森林の公益的機能が損害を受けたのであるから,公益的機能の損害は「財産上の損害」といえることについて,北海道の道庁が第三者によって違法に壊された場合を例に,詳述しました.
4.原告準備書面(1) 19号  6月21日
 住民監査請求の不受理は拒否処分であり違法行為であること,違法な伐採によって森林の公益的機能が損害を受けたことは,北海道の財産上の損害であること,日高森づくりセンターは伐採本数を隠していることなどについて詳述しました.また,25号事件(376本の伐採)と19号事件(202本の伐採)の契約の履行として伐採した本数および伐採時期について明らかにするよう,求めました.
5.原告準備書面(2) 19号 6月21日 (知事の被告適格について)
 財務会計行為としての契約は日高支庁長によってなされていますが,道有林の整備・管理に関する権限は支庁に委任されておらず,知事は「権限を有しない委任者」になっていません.したがって知事が被告適格を有しないと主張するのであれば,「知事が権限を有しない委任者」になっていることを説明するように求めました.
15. NEW 「えりもの森裁判」 次回公判は8月18日(金) 10時より 札幌地方裁判所
14. えりもの伐採地の現地説明会拒否に関して,北海道苦情審査委員への申し立てをしました。「申立書」はこちら。
13. 北海道水産林務部森林環境室道有林課と日高森づくりセンターに「抗議書」を送付しました。現地説明会についての回答、ならびにナキウサギふぁんくらぶの質問に対する回答はきわめて不当です。強く抗議するとともに、再度現地説明会の開催を要請します。
12.  自然保護4団体が申入れていた現地説明会は,裁判との関連性があるため拒否するとの回答がありました.裁判を理由に,道民の財産に関わることについて説明を拒否するのは,責任放棄といえる態度です.
11. 北海道の自然保護4団体が,えりもの道有林伐採跡地での説明会を要請。 
 
えりもの道有林が皆伐された問題で,十勝自然保護協会・北海道自然保護連合・大雪と石狩の自然を守る会・ナキウサギふぁんくらぶの4団体が,北海道水産林務部森林環境室道有林課と日高森づくりセンターに,現地説明会の開催を申入れました.道民の財産である道有林での伐採問題について,北海道は道内のNGOや道民に説明する責任があるでしょう.
現地説明会の日程はまだ未定ですが,参加希望者は十勝自然保護協会の事務局(Tel & Fax 0155-42-2192 佐藤与志松)または,メールで 
nacs-t@north.hokkai.net 宛に,問合せおよび申し込みをしてください.日程が決まりましたら,HPでお知らせします.    参加を呼びかけます!
10. 次回公判のお知らせ 6月23日(金)10時.札幌地方裁判所
.5月9日に3回目の提訴(過剰に伐採された202本について).「訴状」はこちら.
なぜ3回目の提訴なのか・・・? 経緯の補足はこちら
. 第2回公判(4月28日). 市川守弘弁護士の「意見陳述」「(住民監査請求の不受理は,監査請
  求が林業の闇の部分に触れたため事実関係を明らかにすることを拒んだ結果・・・)
  
準備書面」(不受理の不当性について詳述)
. 市川守弘氏「森林保護とえりもの森裁判」(「やんばる」から「えりも」まで)講演要旨
        (十勝自然保護協会講演会)
. 十勝自然保護協会がいま、なぜ「えりもの森裁判」か? (市川守弘氏講演会案内にかえて)
. 第1回公判 意見陳述書」(条例に反する伐採の実態や,野生生物の保護の問題を問う)
     
被告答弁書」(2月17日付け)
4.  インターネット新聞JanJan の関連記事  「北海道、法廷に持ち込まれた伐採問題」
          http://www.janjan.jp/area/0601/0601258241/1.php
3. えりもの森裁判 (訴状」はこちら)
2. えりもの道有林皆伐で住民訴訟(概要」はこちら)
NEW 経緯の補足」を掲載(5月12日)
1. インターネット新聞JanJan の関連記事 「道有林にみる森林伐採の実態」
          http://www.janjan.jp/area/0511/0511165236/1.php

えりもの道有林皆伐で住民訴訟

 2004年11月3日に,北海道自然保護協会ナキウサギふぁんくらぶ,北海道自然保護連合のメンバーとともに日高の大規模林道予定地の近くにある道有林の伐採の調査を行いました.この結果,天然林の受光伐とされていた森林の皆伐,間伐材の集材路開削によるナキウサギ生息地の破壊が確認されました.
受光伐とは森林の一部を伐採することによって,森林の内部にまで光が当たるようにし,樹木の芽生えや下層木の生長を促して森林を複層化する伐採方法のことですから,森林の一部から抜き伐りをするということです.北海道は「北海道森林づくり条例」で,木材生産を目的とする皆伐や拓伐を廃止して受光伐を導入し,公益性を重視した森林整備を推進することを謳っていますが,現実はいまだに公益的機能を軽視した木材生産重視の伐採を行なっているということでしょう.

【現場写真】これは「受光伐」ではなく「皆伐」ではないか!

森林の公益的機能というのは,水源涵養機能(水害防止,水質保全等)・山地災害防止機能(土砂崩壊や土砂流出,雪崩などの防止等)・生活環境保全機能(騒音防止,気象緩和,CO2吸収等)・保健文化機能(観光や野生生物の保護)などです.皆伐により,森林に生息する野生生物の棲みかが奪われましたし,ナキウサギ生息地が破壊されたのですから,公益的機能が損なわれたことになります.

 北海道は,北海道における森林の公益的機能の評価額を年間で約11兆1千億円と試算しています.このために,11月15日にナキウサギふぁんくらぶ代表の市川利美さん,北海道自然保護協会副会長の市川守弘弁護士,十勝自然保護協会副会長の松田まゆみの三人が,えりもの道有林伐採で森林の公益的機能が損なわれ損害を受けたとして,道の監査委員に対して住民監査請求を行いました.

 しかしこの請求に対し監査委員は「(森林の公益的機能の数値化は)およそ地方自治上,地方公共団体の「財産」とされるものではない」との理由で不受理にしたため,12月28日に知事と日高支庁長を相手に住民訴訟を提起しました.

この裁判で,条例に反する伐採の実態や,野生生物の保護の問題が問われることになります.

【写真左】間伐材の集材路開削によるナキウサギ生息地の破壊(ナキウサギはこのような岩塊地に生息している。ここは生息が確認された場所だった。)

経 緯 の 補 足 (なぜ3回目の提訴なのか?)

2005年11月15日におこなった住民監査請求は,12月2日付けで不受理の通知がきました.このために12月28日に住民訴訟(平成17年(行ウ)第25号 損害賠償請求事件)を起こしました.これが「えりもの森裁判」です.

 その後北海道は,売買した376本の立木のほかに,地ごしらえ(植林のために伐採木の枝などを寄せて整理し,苗を植える場所の下草などを刈ること)に伴って184本の立木を伐採したこと,また支障木18本を伐採したことを認めました.このために,2006年2月7日にこの202本の伐採により森林の公益的機能が損なわれたとともに,202本が適正に評価されて売買されていないとして,再度住民監査請求をしました.ところが,この監査請求も,3月1日に不受理とされました.そこで202本について2回目の住民訴訟(平成18年(行ウ)第16号 損害賠償請求事件)を3月27日に起こしました.

 また,2度目の監査請求の不受理通知では,202本の立木の損害については「請求者の見聞に基づく推測の域を出るものではなく,添付の書類からもこのような事実をうかがうことができない」との理由です.そこで,北海道が202本の伐採を認めた文書を証拠書類として添付し,202本について3月30日に再度住民監査請求をしました.ところが,この監査請求についても4月13日付けで不受理の通知がきました.証拠書類を添付したにも関わらず,不受理の理由は前回と同じです.このために,5月9日に3回目の住民訴訟を起こしました.ただし,この訴訟は2回目の訴訟と内容が重なるために,2回目の訴訟は取り下げます.

 「えりもの森裁判」では,今後1回目の訴訟と3回目の訴訟を併合して進めていくことになります.

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