えりもの森 裁判

3度目の「不受理通知」

監 委 第 2080号

平成18年4月13日

(あて先および監査委員名は省略)

住民監査請求について(通知)

 平成18年2月7日付けで提出された住民監査請求については,次の理由により,不受理と決定したので通知します.

 地方自治法第242条に定める住民監査請求制度は,地方公共団体の執行機関又は職員の違法若しくは不当な財務会計上の行為(怠る事実を含む.)を対象とし,当該行為によって地方公共団体の被った損害を補填することなどを目的とするものである.

 本請求は,日高支庁長が平成17年4月28日に締結した,道有林日高管理区に係る育林事業請負契約(以下「本件契約という.」)が,天然林を伐採する「地ごしらえ」をその内容に含み,北海道森林づくり条例や生物多様性条約などに反する違法な契約であり,それにより「北海道の森林の持つ公益的機能の評価額」として算出された11兆1,300億円のうち,伐採面積に応じた公益的機能が損害を受け,また,「地ごしらえ」により木材として有用と思われる樹齢100年から150年前後の天然林を伐採し,これらを適正な価格評価により売買していないために伐採木202本の市場価格に相当する202万円の損害を受けたことになるから,この契約の締結とその履行によって生じた損害の補填を求めるものと解される.

 しかし,請求人が主張する「森林の持つ公益的機能」の損害については,平成17年11月15日付け住民監査請求いついて判断したところと同様である.

 また,請求人は,「地ごしらえ」の結果,「樹齢100年から150年前後の広葉樹,針葉樹202本を伐採」し,道に損害を与えたと主張し,「地ごしらえ」の名目の下に,実態は,売却価値のある立木202本を違法に伐採させ,道に損害を与えたと主張するものと解される.

しかし,本件契約の内容である「地ごしらえ」とは,播種,天然更新の支障となる草本植物,低木類等について伐採,刈払いなどを行う作業で,その性格上,伐採木の発生が当然想定されるものであるが,成立木の伐採とは異なる行為であり,これにより道に損害が発生するものではないのであっれ,請求書に示される限りにおいては,売却価値のある立木が「地ごしらえ」により伐採されたとの主張は,請求人の見聞に基づく推測の域を出るものではなく,添付の書類からもこのような事実をうかがうことができないから,損害と認めることができない.

 よって,本請求は,住民監査請求制度に適合せず,不適法である.

(監査委員事務局特別監査室特別監査課)

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