えりもの森 裁判

1回目の「不受理通知」

監 委 第 1309号

平成17年12月2日

(あて先及び監査委員名は省略)

住民監査請求について(通知)

 平成17年11月15日付けで提出された住民監査請求については,次の理由により,不受理としたので通知します.

 地方自治法第242条に定める住民監査請求制度は,地方公共団体の執行機関又は職員の違法若しくは不当な財務会計上の行為(怠る事実を含む.)を対象とし,当該行為によって地方公共団体の被った損害を補填することなどを目的とするものである.

 本請求は,日高支庁長が平成16年9月及び10月に締結した,幌泉郡えりも町目黒日高管理区150林班他に所在する立木の売買契約などは,北海道森林づくり条例や生物多様性条約などに反する違法な契約であり,それにより「北海道の森林の持つ公益的機能の評価額」として算出された11兆1,300億円のうち,伐採面積に応じた公益的機能が損害を受け,また,集材路が新設されてナキウサギ生息地が破壊され,「森林機能の生態系保全機能」が損害を受けたことになるから,これらの契約の締結とその履行によって生じた損害の補填を求めるものと解される.

 しかし,請求人が主張する森林の持つ公益的機能とは,水源のかん養,土砂流出の防止,二酸化炭素の吸収などの様々な機能をいうものであり,その数値化は,これらの機能が持つ価値を住民にわかりやすく示すため,貨幣価値に置き換えて年間額として試算したり,点数化したものなどであって,およそ地方自治上,地方公共団体の「財産」とされるものではない.したがって,請求人の主張する森林の公益的機能の損害は,北海道の財産上の損害と認めることはできない.

 よって,本請求は,住民監査請求制度に適合せず,不適法である.

(監査委員事務局特別監査室特別監査課

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