ベア・マウンテン問題 |
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加森観光グループは新得町のサホロリゾートで4月29日にヒグマ放牧施設「ベア・マウンテン」をオープンしました。十勝自然保護協会は自然破壊や安全性の観点から申し入れを行いました.「ベア・マウンテン」はサホロスキー場に隣接する森林15ヘクタールを二重の柵で囲い,のぼりべつクマ牧場で飼育されている雄のヒグマ20頭を放し飼いにし,来園者は高さ5メートルの遊歩道や専用のバスでヒグマを観察することができるという施設です. 危険動物飼養許可を出す十勝支庁には,認可にあたりクマの研究者や自然保護団体の意見を聞くよう要望書を提出しましたが.認可を強行しました。 |
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加森観光グループへの要望および質問書
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2006年4月4日 加森観光株式会社社長 加森 公人 様 十勝自然保護協会会長 安藤 御史 「ベア・マウンテン」についての要望および質問書 貴社が4月29日にオープンを予定している「ベア・マウンテン」について,当会では自然環境への影響や安全性の面で,疑問を感じております.つきましては,以下のとおり要望するとともに質問いたします. なお,この文書は公開とさせていただきます.オープン予定日がせまっておりますので,できるだけ速やかに回答くださいますようお願いいたします. 記 1.見学バス運行用の道路建設により,園内の樹木が多数伐採され自然環境が破壊されました.自然の中でのヒグマの展示を目指すのであれば,高架の歩道だけで十分であり,サファリパークのようなバスによる見学は必要性がないと考えますし,安全性にも疑問がもたれます.したがって,バスの運行をとりやめ,破壊された森林を復元することを要望します.なお,バスが故障したり脱輪したりした場合の安全対策について質問いたします. 2.15ヘクタールに雄だけ20頭という飼育頭数は高密度で,不自然なものと考えます.このような不自然な飼育により,園内の植生が破壊されたり,ストレスにより樹木が損傷を受けたりするなど,自然環境への負荷が懸念されます.飼育頭数を再検討するとともに,自然への負荷が大きい場合は速やかに飼育頭数を減らすよう求めます. 3.ベア・マウンテンからの雨水は,下流のサホロダムに流れ込みます.大雨などの際には土砂やヒグマの糞尿を含んだ水がダム湖に流れ込み水が汚染される可能性があります.サホロダムへの影響について調査されたのか質問いたします. 4.集中豪雨や強風,大地震や落雷など,自然災害に対する対策が不明であり,安全性に疑問があります.たとえば強風により柵の周囲の立木が倒れ,それを足がかりにしてヒグマが逃亡する可能性があります.また道路建設によって敷地内を改変しているため,地表の水の流れが変わることが推測されますが,集中豪雨などにより柵の土台周辺に侵食が生じた場合,強度が弱くなったり,ヒグマが穴を掘るきっかけになるなど,ヒグマの逃亡要因となりえます.のぼりべつクマ牧場の狭い獣舎で飼育されていたヒグマが万一逃亡した場合,生態系や周辺住民にどのような影響を与え,どのような事態を招くかは予測がつきません.自然災害に対する安全策と,ヒグマが万一逃亡した際の対処法について質問いたします. 5.動物園など野生動物の飼育施設では,種の保存や環境教育などの役割を負うことが期待されていますが,ベア ・マウンテンはむしろ自然環境に負荷を与え,場合によっては周辺住民の安全を脅かしかねないものです. ベア・マウンテンの社会的な役割をどのように考えているのか質問いたします.
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十勝支庁へ情報開示に関する要望書
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2006年4月4日 十勝支庁長 様 十勝自然保護協会会長 安藤 御史 ベア・マウンテンの情報開示に関する要望書 加森観光株式会社が4月29日からオープンを予定しているサホロリゾートのヒグマ放牧施設「ベア・マウンテン」は,自然破壊や安全性などの観点から問題のある施設であるため,当会は加森観光株式会社などに対し改善を要望するとともに質問書を提出しました(添付文書参照). また当会は,飼育について具体的な情報を得るため,3月30日に貴職に対し危険動物飼養許可申請の情報開示請求を行ったところです. 4月1日付け北海道新聞(夕刊)の報道によりますと,わが国のクマの研究者などで組織する「日本クマネットワーク」は,飼育頭数や安全性,観光客による餌やりなどの問題についての意見書を提出しています. このような状況を踏まえ,以下の2点を要望いたします. 記 1.申請中の情報開示は速やかに行い,開示前や直後に認可を出さないこと. 2.認可にあたっては事前にクマの研究者や自然保護団体などの意見を十分に聞き,疑問点,問題点があれば改善策がとられるまで認可しないこと. |
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