ベア・マウンテン問題

加森観光グループへの要望書 (2006年4月4日)に対する回答書が寄せられました。

平成18年4月12日

十勝自然保護協会
会長 安藤 御史様

登別温泉ケーブル(株)
のぼりべつクマ牧場
園長 伊勢 伸哉

サホロ・ベアマウンテンに関する質問に対する返答について

 時下,貴協会におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます.
さて,貴協会からの「サホロ・ベアマウンテンについての要望および質問書」を4月5日,受け取りまし
た.貴協会からのご質問に対しましては別紙にて返答させていただきます.

 当施設は安全性を十二分に考慮した施設と考えておりますが,貴協会からのご要望を充分に踏まえてさらに安全性・自然環境への配慮を進めてまいりたいと考えております.今後ともご助言いただいければと考えておりますので,格別のご高配を賜りますよう,お願い申し上げます.


 添付資料:サホロ・ベアマウンテン質問回答書

 「サホロ・ベアマウンテン」質問回答書

1.見学バスについて

 見学バスの道路建設については,道路造成前に立木調査をし,極力立木が無い場所を選定し道路造成を行いましたので,現地道路は曲線部が多くなっております.なお,道路はバス運行だけでなく,動物管理用としても不可欠です.

 バスの運行については,体力的に歩道からの観察が困難な入園者,例えば足の弱いお年寄りやお子様等に対しても,北海道のヒグマを観覧しヒグマのことを理解してもらうため,運行を実施する予定でおります.

 安全性については,観客の安全確保に十分配慮した専用バスにて巡回し,改造措置が施されていないバスや個人の乗用車の園内侵入は出来ません.

 故障・脱輪などの場合は,バスの前後の既存フレームに水平固定してある牽引用フックに引っ掛け,バックホーの油圧にて車両脱輪および移動不能時に対応いたします.また,乗客非難の方法は,バス後部にキャタピラー運搬車に大後部または別なバス後部と走行不能になったバス後部を付け,バス後部に設置してあります非常用扉をお互いに開いて乗客に乗り移って非難してもらいます.

 2.飼育頭数について

 飼育頭数は20頭を予定しており,のぼりべつクマ牧場の飼育個体を移動いたしますが,必ずこの頭数を飼育すると限定しているものではありません.放育は日中のみとし,夜間は施設内の収容施設であるサブパドックもしくは鉄筋コンクリート製の獣舎へ収容いたします.

 国内の動物園やサファリパークなどのクマ飼育施設では1頭あたりの飼育面積は数十〜数百平米です.ヨーロッパや東南アジアなどにある当施設と同タイプの施設において1頭あたりの飼育面積は3千平米程度で放飼場内の植生は破壊されておりません.これらの施設を参考にし,当施設の面積であれば施設内の植生が破壊されず,また飼育個体にとってお互いのスペースを侵害しない広さと判断しておりません.また,サホロリゾートでは一昨年まで毎年夏期(5月〜11月)の間,馬を50〜60頭放牧しており,当施設内もそれらお使用エリアでしたが植生は破壊されておりません.

 当施設と同タイプの施設において,飼育動物の異常行動等はなく,いずれも伸び伸びと生活していると聞いていることから,当施設においての飼育頭数を定めました.

 3.サホロダムへの影響について

 ベアマウンテンでは,日中は放飼場にクマを放飼していますが,夜間は全てサブパドックもしくは鉄筋コンクリート製の獣舎に収容いたします.主な給餌はサブパドック内で行うため,糞の多くはサブパドック内で排泄されます.サブパドック内の排泄物は,クマを放飼上へ放飼後,人力で回収し浄化槽へ投入いたします.また獣舎内の糞尿については,排水管を経由して全て浄化槽に入いります.浄化槽にたまった汚物は浄化槽から業者がバキュームし搬出します.これら汚物は新得町内にある業者施設において肥料になる予定です.放飼場内の排泄物については,クマをサブパドックもしくは獣舎へ収容後放飼場内を点検し,可能な限り回収することで,下流部への影響を極力少なくする事を考えております.

 サホロダムへの影響について,特定開発行為に関しての申請の中で,帯広土木現業所鹿追事務所と協議済みであり,また環境保全協定書は新得町役場と協定済みで,新得町役場からの依頼があれば下流河川とサホロ湖の水質調査を当社で行うこととなっております.

 4.災害時対策について

 上記の通り,放飼場へ放飼するのは営業を行っている日中です.夜間はサブパドックもしくは鉄筋コンクリート製の獣舎へ収容します.自然災害時もしくはそれらが予想された場合は,日中であっても獣舎へ収容します.倒木がフェンスにもたれたり雨による侵食等により動物が逸走する可能性が有る場合は,それらを修復するまで放飼は出来ません.

 また,万一逸走した場合は社内の緊急時対策要領に従って各関係官庁・関係機関の協力をお願いし,動物に装着してある電波発信機からの情報等により,逸走個体を追跡・捕獲するようにします.

 5.社会的な役割について

 ヒグマという北海道固有種に対して,まだまだ誤認されていると感じます.当施設は出来るだけ人為的措置を施していない環境下で生活するヒグマを見ていただくことで,ヒグマという動物に対する理解を深めてもらうことを重視しております.ヒグマという種を保存することはのぼりべつクマ牧場で担うことで,同一種をまったく形態の違う施設で飼育することで社会的な役割も分担出来ると考えております.

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