ベア・マウンテン問題

要望および質問(4月22日付け)に対する加森観光グループからの返答

平成18年5月15日

十勝自然保護協会
会長  安藤 御史様

登別温泉ケーブル(株)     
のぼりべつクマ牧場      
園長 伊勢 伸哉  

サホロ・ベアマウンテンに関する要望および質問に対する返答について

 時下,貴協会におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます.

さて,貴協会からの「サホロ・ベアマウンテンについての要望および質問書」を4月28日にファックスにて,また5月1日に郵送にて受け取りました.貴協会からのご質問に対しましては別紙にて返答させていただきます.当社に取りまして繁忙期に突入し,ご返答が遅れましたことご了解ください.

 貴協会からのご要望を充分に踏まえて,さらに十勝支庁をはじめ各関係官庁からのご指導のもと,安全性・自然環境への配慮を進めてまいりたいと考えております.今後ともご助言いただければと考えておりますので,格別のご高配を賜りますよう,お願い申し上げます.

サホロ・ベアマウンテンに関する要望および質問回答書

1.目的について

 危険動物飼養許可申請書と動物取扱業の申請目的は,いずれかの項目で申請しなければなりません.当社は私企業ですので,学術研究や教育といった目的ではなく「営業」という目的での申請となります.しかし,上記目的をまったく持たないとしているのではなく,今後大学やその他の研究機関との共同研究や,地元教育委員会との連携によって,私企業として出来うる範囲での教育的な部分を配慮して運営したいと考えております.ご指摘のように施設内部には強化ガラスや鉄筋コンクリートの構造物も一部ございますが,自然とのマッチングを考慮し必要最小限にとどめております.一般の方が普段見ることが出来ない距離からヒグマを観察出来ることも,ヒグマという動物を理解していただける1つの方法ではないか,と考えております.

 一方,広さと飼育頭数との兼ね合いについては前回お答えいたしました通りです.

2.給餌について
 ベアマウンテンは計画当初より地域環境への考慮,お客様への安全対策を第一として,現在の施設に至りました.お客様と地域への安全対策を考慮し,安心して大自然の中で生活するエゾヒグマを,より身近に体感して頂ける環境を提供できる事を最優先としております.今後もより自然な環境でエゾヒグマの素晴らしさを訪れる多くの方に知ってもらう為,努力を積み重ねてまいります.お客様からの餌やりにつきましては,前回お答えいたしましたとおりです.係員からの給餌は行います.これは人が責任を持つ以上,当然おこなわなければなりません.動物が餌を食べている姿を観察する事は,多くの動物園,水族館でも行われており,一般の人がその動物を理解するうえで大切な事であると考えております.

3.フェンスの安全性について

1)フェンス下部のエキスパンドメタルについて,のぼりべつクマ牧場では治療用隔離オリにも使用しておりますが,破損されたことはございません.また,サホロで使用しているエキスパンドメタルは亜鉛メッキしているため,耐久年数も長いものとなっております.

 サホロの施設現地は地中に大きな岩が常在しているところで,エキスパンドメタル設置時にはそれらの岩を一度掘り起こしてエキスパンドメタルを埋め,岩を再び埋め戻しています.

 放飼場内に飼育個体がいるのは営業時間中に限られます.この間は場内には監視用車両が常に巡回しているため,フェンス際を掘削している個体がいた場合,発見も容易で対応も可能です.

2)日中は前述の通り監視用車両にて常に巡回しており,フェンス際等を掘削している個体がいた場合にはすぐに発見でき,対応可能です.夜間はサブパドックもしくは獣舎へ収容します.フェンスに使用している金網は,時速40kmで走る乗用車が激突しても破壊されないことからクマが容易に破壊できないと考えております.

3)放飼フェンスおよび外周フェンスに使用している菱形金網は,落石防止に使用しているものと同じ強度で,乗用車が時速40kmで激突しても破断しないものを使用しています.たとえ電気牧柵がない部分にぶら下がったとしても十分な強度があり破損いたしません.

4.バスの安全性について

1)バスの前面ガラスの前には保護用の金網を取り付けております.更にガラス全面に強化フィルムを貼り飛散防止策も施しておりますので,もしガラスが割れたとしても動物がバス内部に入ってくることはありません.

2)場内でのバス緊急停車時の牽引や避難訓練を実施しており,職員の非難誘導レベルの向上に努めております.

5.サブパドックへの収容について

1)今日現在において,放飼場への放飼を行っておりますが,係員の声と音及び餌による誘導によって毎日サブパドックもしくは獣舎内へ収容出来ております.もし放飼場内に飼育個体が残ってしまった場合は,複数の飼育係員が宿直し,夜通しの監視体制を敷くことになります.今のところサブパドック内から,放飼場側に逸走するような行動はまったく見られておりません.また,電気牧柵に一度触れた個体は電気牧柵はもちろん,フェンス自体へも一定の距離を取っております.

2)災害時の緊急時,放飼場内の飼育動物は獣舎へ出来る限り収容いたしますが,もしも残った場合は麻酔をして移動用オリに収容し,獣舎へ収容することになります.また観客の避難誘導訓練を繰り返し実施しております.

6.GPSによる位置情報と警告システムについて

1)GPSにより受信しNTTの携帯電波であるDoPaで通信した情報ですので,NTTの携帯電話が通話可能なところは通信可能です.情報は15分に1回ですので,今後はこの間隔を短くまた精度を上げる方向で検討を続けたいと思っております.

2)夜間に動物がサブパドックから放飼場に出た場合は,日中放飼場へ放飼している時に動物がフェンス際へ移動した際に出される表示と同様表示が出ます.画面の色が変わります.

3)受信システムや機材は2組容易してあり,1組はベアマウンテン事務所,もう1組はサホロリゾートホテル事務所に設置しています.このどちらかに故障があり受信できない状態でももう1組で受信出来,すぐに代替器対応を行うことになっております.

7.緊急時の対応について

1)麻酔銃の取扱や技術の向上は日々鍛錬して万が一の緊急時に備えたいと思います.

危険動物飼育施設に対して前法令においては猟銃所持者がいなければなりませんでしたが,ご承知のように現行法である「動物の愛護及び管理に関する法律」においてはそれは義務化されておりません.また,猟銃所持はあくまで個人への許可ですから,「危険動物を飼育する」という理由では,北海道公安委員会から所持許可はいただけません.所持許可者が逸走した危険動物に対して発砲した場合には用途外使用で罰せられますので,関係協力機関へお願いすることにしております.(ただし,サホロ職員には所持許可を持っているものもおります)

2)サホロリゾートの電源は系統連携供給です.1つは北海道電力からの買電,もう1つはサホロリゾートの自家発電装置からの連携電源供給しています.電気牧柵について,普段はソーラー電池からの供給ですが,これからの供給ができない場合には,上記電源からの切り替えで供給できるようになっています.(2重の電源を持っています)

3)鉄筋コンクリート製の獣舎以上の強固な施設はないと思っておりますので,そこへ収容いたします.上記5の2)の方法で係員が対処することになります.

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