中本 太一さん


【中本さんプロフィール】

 1946年2月生まれ、大学院修了後42年間の大学教員生活を終え、2012年9月から奥さんを地元に残し単身で北海道中川町での移住体験を楽しんでいる。現在も身分は移住者ではなく移住体験者である。



ー移住体験しようと思ったきっかけはなんですか?

 「退職後、老人にでもできる長期冒険旅行に出かけよう」この他愛も無い妄想がことの発端でした。出かけることについて奥さんを説得しなければならず、何か良い言い訳はないか?そうだ、ボランティア活動をするというのは説得力がありそうだ、と。やることは決まった、さてどこに行こうか?外国か、国内か…国内なら北か南か…。決めた!北海道でボランティア活動をしよう。ということで2008年頃から北海道発信のホームページの検索を開始しました。



ー数ある市町村から中川町を選んだ理由を聞かせてください

 北海道内の市町村のホームページにアクセスし、移住、ボランティアの状況や街の様子を調べたところ、中川町では旧教員住宅を移住体験住宅として提供していて家賃は月々1万円、さらに中川町エコミュージアムセンターのホームページには小学生などの宿泊研修のときには宿泊施設の清掃等をボランティアにお願いしているという記事が掲載されていたので「この町には他にも活発に活動するボランティアがある」と確信しました。
 退職後の残務整理の見通しのついた2012年6月に、中川町に移住体験をしたいことと、ボランティアをしたいことを伝え、ボランティアや町民の活動に関する情報を頂きました。その中に町民がボランティアで中学生対象に塾を開いているとあったので、ボランティアで塾の講師をやりたいことを含めて移住体験を申し込み、話が決まりました。



ー実際のボランティア活動はいかがですか?

 希望が叶ってなかがわ塾で講師をしています。中学3年生には週2回、中学1・2年生には週1回数学と英語の基礎学力アップを目指して一緒に頑張っています。中川町は小学校と中学校が各1校のとても小さな町で、生徒たちはとても素直ないい子です。現在もボランティア講師を募集中ですよ!



ー移住体験にあたって、何か事前にしてきたことなどはありますか?

 2012年6月末、食卓の上に小遣いプラス3万円が置かれていました。「3万円多いけど」と奥さんに言ったところ「その3万円で、朝食夕食の買い物と料理を一ヶ月やってみて」とつれない返事を返されました。7月中何とか料理を作り、飢え死にしない術を習得しました。奥さんありがとう。

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ー中本さんは中川町の中々マニアックなところまで散策しているそうですが、おすすめの場所はありますか?

 まず散歩なら・佐久橋東詰めの天塩川の堤防上・豊里の天塩川左岸の堤防上・町役場裏から北へ延びる天塩川の堤防上・天塩川左岸のパークゴルフ場とかが僕の好きなコースです。堤防上から河川敷を見ると木が繁茂していてヒグマなんかが出そうで一応熊除け鈴を持って出かけます。町民の方にはそんな所で熊なんか見たこと無いって言われるんですが。
 ドライブコースはまず、佐久安川から斎藤茂吉の記念碑のある共和、その先の板谷まで行くコース。このコースは道路の至る所にヒグマの排泄物があって自然がいっぱいです!
 次に神野牧場さんから国府にぬける町道のコース。左に低い山、右に牧場地越しにパンケ山やペンケ山を遠望でき、板谷のヒグマ道とは違う中川町の豊かな自然を実感できますよ。
 それから、誉橋東詰のT字路なんかは初めて通る人は一瞬えっ?てなるんじゃないかな、ロータリーのようになってるから。
 佐久駅前にある屋根の飾りが素晴らしい旧郵便局と2棟の赤レンガ倉庫は是非写真が撮りたくなるスポットですね。

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ー生活する中で驚いたことなどはありましたか?

 中川町では生活用品は一通り手に入るのですが、無いものはしょうがないので名寄か稚内まで車で買い物に行きます。双方とも片道約90kmあるんですね。都会の人は何その距離と思うような遠さですが、信号も少なく、道路も空いているので都会で同じ距離を走るのを考えると驚くほど早く目的地に着きます。60分走って車が信号等で完全停止したのが2回だけなんて割とあることですし、ガソリンの使用量も思ったより少なく済んじゃいます。ここは都会ではなく北海道の田舎なんだと妙に感心する瞬間です。



ー中川町へ移住体験を考えているなら是非持ってくるべき!というアイテムはありますか?

・扇風機またはサーキュレーター
 移住住宅にはエアコンがついていません、特に冬場は天井近くに熱気が溜まり足下が寒いので
 必需品です。
・双眼鏡またはバードウォッチング用スコープ
 中川町の野鳥はシャイです。近づくとすぐ逃げてしまいますよ。
・湯たんぽまたは電気あんか
 真冬、外は−30℃近くまで下がることもあります。私は寝る時暖房を切るので、室内でも朝方
 には0℃近くまで下がります。
・シーバス用ロッドとルアー
 中川町はイトウ釣りのメッカだそうです。
・包丁と食器
 移住住宅には生活のための最低限の設備はありますが、料理や食事を楽しまれる方は愛用
 のものが有れば持って来た方が良いと思います。



ー移住体験を充実させるポイントは何だと思いますか?

 まず冬なら雪投げを楽しむことです。皆さんママさんダンプ、雪ハネスコップ、アルミ製スコップ、鉄製スコップなどなど、それぞれこだわりの道具を持って除雪に勤しんでいます。本州の雪より軽いのでちょうど良い運動になりますよ。
 最も重要なのは話し相手を作ることですね。一人でいると気分が滅入ってしまうこともあります。移住を成功させるためには地域の人と交流を持つことです。私にもいろんな所に話し相手がいます。雪ハネ中のご近所の皆様話し込んで作業の邪魔をしてごめんなさい。お店の皆様話し込んで仕事の邪魔をしてごめんなさい。



ーこれから中川暮らしをどうしたいと思いますか?

 なかがわ塾でボランティア活動をし、生徒と関わりを持ち続けたいですね。