まず、タランチュラを飼う心構えについて。たいした事書いてないので、下のブルーの線の下から読むのでOKでございますよ。メンドイでしょう。
まず根本的な問題ですが、タランチュラの事、ホントウに好きですか?なんとな〜く飼って見ようかねぇ?と思っている場合、おそらくあなたは「飽きます!」だからね、一過性の欲しい病に左右されないよう、よーく検討してから飼う様にし下さいね。厨二心をくすぐりますからね。(思い起こせば私も中2から・・・w)
タランチュラと呼ばれるクモ達は、長期間飼っていると(特に成体の場合で顕著)、ほとんど変化も無くあまり動きません。巣穴に潜っていたりして、何を飼っているのか解らなくなる事もよくあります。しかも飼育者は、世間一般から好印象で見られると言う事は無いと思いますよ。もう兎に角変人扱いされること必至!いいんですね!飼うのは難しくないけど修羅の道です。
そして、世間一般の人の頭は、アレですぞ、タランチュラは毒蜘蛛!と思い込んでおられるのです。誤って脱走でもさせようもんなら、マスコミ一同こぞってタランチュラ脱走騒動を書き立てることでありましょう。結構呑気なタランチュラであってもねぇ、一般的には、危険な蟲だと思われてるわけさ。そこんとこはわかって下さいよ。内閣府の世論調査によると、4人に1人は動物嫌いなのです。で、クモなんてものは嫌いな動物ランキングで上の方に来るわけだ(ムシカテゴリー)。そんなキワモノを飼う人間は、その辺りをわきまえた立ち振る舞いを行う事。他の人の迷惑になりそうな事はしない様に。
あとね、タランチュラは、どんなに愛情を注いだとしても、人に慣れることはありません。どんなに大人しいとされる種であっても、クモが不愉快と思う扱いをしようものなら、容赦なく噛み付いてくる可能性もあります。万が一噛まれてしまったら、人が死ぬという可能性は極めて低いですが、非常に痛い思いをするであろう事必至。恩を仇で返されることを重々承知で飼いましょうね。
クモの恩返しなんてものはありませんが、タランチュラを飼育していると普通の生活していては味わうことの出来ない自然の営みを垣間見ることが出来るかもしれません。自然が生み出した宝石とも言えるカラフルな種、ユニークな生態を間近で見ることが出来るでしょう。上手に飼育していれば、脱皮や繁殖といったご褒美を貰えることでしょう。
あまり動かないと言う事は、引きこもりで代謝が少ない。つまり、広い飼育スペースを用い無くとも飼育可能ですし、犬のように毎日散歩させなくともよいですし、多少世話をサボったとしてもクモは元気にしていることでしょう。短所も長所ということで、極めて丈夫で飼育しやすい生き物です。紳士的でエレガントなペットです。時に荒々しく、時に可愛らしくと、ステキな蟲でございますからねぇ。
タランチュラをはじめ蟲達は、一歩離れた大人のお付き合い、自然を飼うという感覚の生き物です。タランチュラを飼うことがきっかけとなり、身の回りの虫やクモ達、自然について興味を持ち始めるかもしれません。そして、心も豊かになるかもしれません。じっとして動かない様は、日々の雑踏からあなたを解き放ってくれる大切な存在になるかもしれません。
そんな様々な可能性を秘めたる、物言わぬ孤高のタランチュラを迎え入れたいという潔いナイス判断されたアナタは、ここを参考にして見てください。彼(女)らと付き合って行く上で、少しは助けとなるかもしれません。
続いてタランチュラを飼う上で必要な備品とか、簡単なお話しでございます。
まずクモにとって安全且つ快適な生活空間を提供してあげなければならないので、それについて考えていきましょうねぇ。
ぱっと頭に浮かぶものと言えばケージですね。部屋に放し飼いにして良い生き物と悪い生き物がおりますが、タランチュラは部屋で放し飼いにすべき生き物では無いことは想像に難くないでしょう。今のご時世、放し飼いなんかにして何かあったら、一発アウト(飼育禁止)になる可能性も充分にあります。頼むからケージで飼って下さいよ。ケージサイズの目安は、レッグスパンの倍もあればだいたい問題ありません。タランチュラは基本的に引きこもりの生き物なので、何か目的でもない限り、無駄に広い所で飼うと、エサに出会えないとか不都合が出る事も多いので、適度なサイズのものを用いましょう。一旦落ち着くと引きこもり体質なので、最近ペット界隈で流行っている部屋の中を散歩させる行為とかも無意味なので、止めましょうね。オスが成熟すると、ペアリング相手のメス(の巣穴)を探して徘徊する事がある程度です。新しいケージに馴れるまでは、ウロウロ徘徊しがちですが、クモが健康で適切な環境であれば、そこに馴れると落ち着くので放っておきましょう。
プラケースじゃぁ安っぽくって嫌だわぁ〜とお嘆きの高級志向のあなたには、30cm程度の水槽が良いかもしれません。しかし欠点が・・・これを使うと蓋がひじょーーに難儀なんですな。タランチュラはガラス面でも平気で登って来ます。したがって、魚を飼うことを前提として作られていることが一目瞭然の、簡単にフカフカと開いてしまう透明なプラスティックのものを用いて飼育していると、タランチュラはそのケージから別れを告げて、部屋内を放浪し始めるので、これは避けることが大切です。しかも何気に通気が悪いので、蒸れに弱いタランチュラには良いこと一つも無し!というわけで、網目の蓋が爬虫類ショップで売られていたりするので、それをテープでしっかり固定して、エサや管理するたびにテープを剥がして蓋を開け、また新たなテープを張りつけて蓋を閉めると言う大変メンドウな作業を繰り返して下さい。
そんなメンドウな作業を日々繰り返すことは避けたいよー、でも見た目にカッコヨク飼いたい!と感じる人が多いと思います。そんなあなたには、さらにお金に物を言わせ、爬虫類専用のケージの導入をオススメします。蓋がメッシュになっていて通気も良いし、前面が引き戸になっていて綺麗に飼育で来ましょう。ただし、このケージで地中性の種は飼育不可。まぁ工夫すれば飼えますが強引にそれで飼育しても。もともとシャイで隠れたがりのクモをそんなゴージャスケージで飼ってもアレなんで、樹上性種か大型の徘徊性種、または思い入れがあって、どうしても豪華絢爛に飼いたいと言う種に留めておいた方がいいです。
他に考えられるものは、アクリルケージの自作、もしくは特注。ポイントは通気性が良く脱走されないようなデザインに。そして、その種類の生活様式にあったものを用いる。って感じです。
まぁ、普通一番良いのはプラケースと言う事なんで、特に何も無ければプラケで飼ってください。他にはタッパーやらパスタケース、フロッピーケース・・・何にいれて飼育しても良いですが、脱走されないようにすることと、後々自爆するような事は避けること(謎)。
あー、忘れてましたが、タランチュラは単頭飼いが基本です。ってか、複数飼育は不可能と思っていただいて結構!なにしろ、同種多種問わずに殺し合い、食べ合いになるので多頭飼いと言うか、複数を同じケージに入れることは避けましょうね。かなり広いケージで、たくさんのシェルターを用意すればいけるとは思いますが、まぁやめといた方が良いですね。120cm水槽に2頭入れたとしても、おそらく共食いますよ。産まれた時から一緒に暮らしているPoecilotheriaや、小型種の一部は複数で飼っていても、あまり共食いは見られないのですが、普通に飼うなら単独にした方が良いですな。
ケージは用意した!と言う事で次ぎ行きましょう。床に土でも敷いてやろうかと言うことになりますね。何が良いかと言いますと、園芸店で売られている土に良いものが揃ってます。ヤシガラ土・バーミキュライト・赤玉土・黒土・ミズゴケ・砂・ピートモス
腐葉土及び外にある土を用いる場合は、電子レンジ等を使用し殺菌しましょう。そのまま使うと、得体の知れない変な蟲が沸いて来たりします。
最近よく使われるものは、100均とか園芸店で売られている、ブロック状に圧縮されたヤシガラです。水を含ませると膨らむので経済的。捨てる時も、だいたい燃えるゴミで良い場合が多いので、始末も楽です。これをベースに、くん炭(ダニの抑制と通気、質の維持等)や、バーミキュライト(保水アップ)やらを独自にブレンドして使っている方もいますが、めんどくさいならヤシガラだけでも別に問題ありません。
オアシスについては諸説あるのですが、長期間使用しない方が良いかと思います。地中性の種を飼う際に、ぶ厚いオアシスにスプーンなどを使って適当に巣穴を作ってあげて、そのなかに強制的に棲まわせる技もあります。見た目綺麗かもしれませんが、あまりお勧めではないかもですねぇ。基本的に生花を一時的に保たせるための物体で、長期間に渡り水分を含ませ使用する前提で作られたものではないですからね。
他には、ペットボトルの蓋、シャーレ、薬瓶のフタ、爬虫類用の水容器とか色々あります。蓋関係は使えるものが多いので、いろいろ試してみてください。
極小さな幼体には、水入れを設置しない方が良いです。その辺りの事はベビーの項を参照下さい。あと、ある程度育ったタランチュラは、水容器内でおぼれ死ぬ事は、殆ど無いです。サソリやサソリモドキなんかに少し深めの水容器を用いると、そこにハマッタ瞬間溺死決定ですが、この辺りは壁面に張りつけるクモの特権と言えましょう。つまり様々なものを水容器として使えると言うことですね。よかったね!
ハイこれで完璧!と思わせておいて実はフェイント、完璧ではないのです。一つ重大な事を忘れていますぞ。それは温度ですね。多くのタランチュラ
保温は爬虫類ショップで扱っている、シートヒーターをケージの下やサイドに張りつけておきましょう。ケージの中からじゃなく、外側に張りつけておくと、メンテナンスもラックチ〜ンと言うわけでございますよ。
ここでポイントは、ケージ全体を暖めてしまわないこと。下に敷く場合、保温するのはケージ全体の1/3もしくは半分にしておきます。残りの半分はどうすんの!と言うことになりますが、その場合は、この際もう1頭いっとけ!と言う事です。
ポイントですが、低温の部屋で飼育する場合、ケージを2重にすると効果的です。大きな水槽の中に、クモを飼っているケージを入れまして、ヒーターもその中に入れておく。これは簡易温室ですよ。予想以上の効果をもたらしてくれるでしょう。見た目にこだわらなければ、発泡スチロールの箱を温室代わりに使うと、保温効果絶大です。
推奨するヒーターは、「ぴたり適温」と言う奴で、右上写真のモノです。各サイズありまして、使い勝手もよろしいでしょう。でもやや割高。うちでは、部屋全体をエアコンで25度程度に暖めています。低温を好む種は床に近いところにケージを設置し、逆に高温OKな種は、高い位置にケージを置くと言う方法が良い感じです。高低差を利用したナイスな設置方でして、具体的な例をあげるとすると、Poecilotheria属やMegaphobema属、ついでに有尾類は下段、南米産バードイーターのBrachypelma属やTheraphosa属が上段ってな具合です。
部屋暖房まで出来ない人は、植物用の温室に入れるという方法があります。温室用のヒーターを電子サーモで温度制御すれば良いでしょう。温室を導入すると、瞬く間に飼育個体数が増えるので要注意です(笑)。最近は暖房はおろか、冷房まで備わっているVIPな温室も売られています。
参考程度にですが、高温を好む種で30度前後、低温を好む種は15〜24度、それ以外の普通の種は25〜28度で問題無いです。きっちりその温度にしなきゃ死んでしまうことは無いので、基本的にその個体が元気であれば、問題無いです。ただし、あまりに不適切な温度が長期続くとさすがに死んでしまうので、注意しましょう。
まず必要不可欠なものとしてピンセットが上げられます。水草を植えたりトリミングの際使う先細タイプのものや、生き物にソフトタッチが可能な竹製の物、また先が丸いものやら各サイズ各種揃えておくと便利です。まぁ1本あれば良いですが、たくさん有った方が何かと便利。各家庭最低10本は用意しましょう!(ウソです。3〜5本あれば良いです:笑) 次ぎに菜箸。超長いピンセットって結構高い!そこで登場するのが菜箸。ソフトタッチでクモを突つきまわしたり出来る便利グッズです。突つきまわすと言っても、掃除のときにチョイト移動してもらったりとか、そう言う意味なのでヨロシク。スネークフックというのもありますが、あれは先の方がヘビを引っ掛けるために曲がっておりまして、クモには微妙です(笑)。
霧吹き。これも必要ですね。ケージ内の湿度を高めたり、水の噴出具合を水鉄砲仕様に変えて、水入れに水を入れるというメンドクサがりやにもってこいの機能までついてます。この際ちょっと良いやつを買いましょう。空気圧を使って霧を噴射するタイプが便利ですね。ホームセンターにでも行って買ってきてください。暇なときには、部屋に霧吹きをしてマイナスイオンを発生させても良いです(笑)。水関連として、洗浄瓶も有った方が良いです。これがあると、通気穴から狙いを定めて、水容器に水を注ぐことも可能とします。水を注ぐ為にフタを開けることも億劫だと言う人(飼育個体数が多くなってくると、マジで面倒になってくる)には持ってこいの素晴らしい用具ですぞ。
もひとつ気になるグッズはエサですね。売られているコオロギやピンクマウスを与えましょう。与える間隔ですが、基本的にクモ任せ。食べるときに与えて、食べないときは無理に与えない。それだけで良いです。あとはクモのサイズにあった大きさのコオロギやデュビアを与えます。この辺りは、ベビーの飼育編で。