様似のアイヌ語の語彙集


(この語彙集を修正して、後日『アイヌ語様似方言辞典改訂版』にバージョンアップする予定です)


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 凡   例

 

■見出し語の配列

 見出し語はアイウエオ順に並べた。

 

■表記法

 アイヌ語はカタカナとローマ字で表記した。アイヌ語話者のほとんどが日本語話者であることから誰でもが読めるようにカタカナ表記を優先した。また、文法的なことを理解する上でローマ字表記は必要と思われるのでこれを併記することとした。

 カタカナ表記は『アコイタ』(北海道ウタリ協会1994)の表記法に揃えるよう努力したが、閉音節(子音+母音+子音)の語尾のr子音については若干異なるところがある(例 kor→「コ」「コ」)。また、音素交替が合った場合にはカタカナ表記で表示する。

 アイヌ語には無声音と有声音の区別をしない(k-g、p-b、t-d)。ローマ字表記では無声音で統一した。

 

 開音節

a

i

u

e

o

pa

pi

pu

pe

po

メ 

sa

si

su

se

so

ma

mi

mu

me

mo

トゥ

イェ

ta

tu

te

to

ya

yu

ye

yo

チャ

チュ

チェ

チョ

ca

ci

cu

ce

co

ra

ri

ru

re

ro

ウェ

ウォ

na

ni

nu

ne

no

wa

we

wo

 

閉音節の語尾子音

p

t

k

s

m

(a)r

(i)r

(u)r

(e)r

(o)r

 (この語彙集ではラ リ ル レ ロ  → ル としている

                    

■アクセントについては示さなかった。

アイヌ語は原則として第一音節が閉音節か開音節かで決まる。

・第一音節が開音節、第一音節にアクセントがある。

・第一音節が閉音節、第二音節にアクセントが来る。

もちろん例外もあり、接辞がついた場合にアクセント移動も起こることもある。

 

■品詞の表示

 音声資料やテキストの解読と作文等での活用のために品詞を表示することとした。用例が少ないので十分な品詞の分類はできていない。例えば動詞に関しては、文例が少ないので、完全動詞・自動詞・他動詞・複他動詞・連他動詞・連複他動詞あるいは0項動詞・1項動詞・2項動詞・3項動詞のような分類表記はできず、完全動詞・自動詞・他動詞などのように最低限のレベルで表示するよう努めた。

 

【完動】 完全動詞  【連体】 連体詞   【終助】 終助詞

【自動】 自動詞   【副】  副詞    【間投】 間投詞

【他動】 他動詞   【接】  接続詞   【後副】 後置副詞

【名】  名詞    【助動】 助動詞   【接頭】 接頭辞

【代名】 代名詞   【格助】 格助詞   【接尾】 接尾辞

【位名】 位置名詞  【接助】 接続助詞  【人接】 人称接辞

【形名】 形式名詞  【副助】 副助詞    等々

 

 

■名詞の表記

 アイヌ語の名詞には概念形と所属形の区別がある。

例 概念形 kotan   「コタン」

  所属形 kotanuhu 「〜のコタン」(誰かのコタン)

 資料の中で概念形と所属形が明確になっているものについては以下のように表記することとした。

例 (概kotan所kotanuhu)

 

■動詞の活用(人称変化)

 アイヌ語の動詞には単数形・複数形の区別があるので、区別の明らかなものにはの以下ように表記した。

例(単oman 複paye)

 

 またアイヌ語の文章の主語は人称接辞として動詞に付属する。特にローマ字の場合、以下のように=を使って明記した。

例  paye=an 

 

■語構成・語源

 語構成については( )で示した。

例 ロッタrotta(ror ta)上座に<OY60-83>

 

 地名や植物名の語源についても( )で示した。

例 エピッチェキナ epitce-kina【名】(epitce-kina禿げている・草)タンポポの種子が飛散してしまった後の部分<C51-1S31>/

 

■付 記

 引用文献の表示

<Ba>ジョンパチラー『アイヌ・英・和辞典』1938

<C31>『地名アイヌ語小辞典』(北海道出版企画センター)1956

<IN32>泉谷ネコンネーテク・HBC音声資料1957

<KS35>菊地佐太郎語彙『季刊民族學研究』(誠文堂新光社)1960

<C50-2>『分類アイヌ語辞典人間編』(平凡社)1975

<C51-1S**>『分類アイヌ語辞典植物編動物編』(平凡社)1976

<OY60-**>岡本ユミ語彙『昭和59年度アイヌ民族文化材調査報告』(北海道教育委員会)1985

<OY00-**>岡本ユミ語彙『アイヌのくらしと言葉1』(北海道教育委員会)1989

<OY04-**>岡本ユミ語彙『静内地方の伝承』(静内町郷土史研究会)1992

<AK07>相川コト語彙『平成7年度アイヌ民族文化材調査報告』(北海道文化財保護協会)1996

<HM07>繁田ミツ語彙『平成7年度アイヌ民族文化材調査報告』(北海道文化財保護協会)1996

<YS07>山崎シゲ語彙『平成7年度アイヌ民族文化材調査報告』(北海道文化財保護協会)1996

<沙>『アイヌ語沙流方言辞典』(草風館)1996

<沙萱>『萱野茂のアイヌ語辞典』(三省堂)1996

<本>沢井トメノ語彙『アイヌ語北海道東部方言教本』(東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所)1998

<静>『アイヌ語静内方言文脈つき語彙集』(札幌学院大学)1999

<KC11>木村チセ聞き取り1999

<KK12>熊谷カネ聞き取り2000

<RK12>李沢桂子聞き取り2000