「ケンジースプーン」発明の動機。
TOPページへ。
               『第四の食器具』の味は?

             その後の売り込みはさんざんでした。


  この記事は1981年 昭和56年3月6日 朝日新聞に掲載されたものです。

  道産子ばんざい  『第四の食器具』の味は?

 こういう人がいないと、世の中、面白くない。
 箸、スプーン、フォークに次ぐ「第四の食器具」を考案、世界に広めてやろうなんて事、並
みの発想ではない。 北緯45度の町、枝幸の営林署で、造林作業員を輸送するマイクロバスの運転手さん。
 保温式ランチジヤーの昼食を、備え付けの先割れスプーンで食べていた。
ご飯をすくうには、都合がいい。が、おしんこで難儀した。 刺さらず、すくえず。
      そのとき、ひらめいたものがある。
 「いっそのことスプーンを真っ二つに割っちゃったら」。
 夕方、帰るや早速金ノコで分断、それをピンセットの先にハンダ付けに。
 いろいろと試食した。はしでつかみにくいイカ刺し。
 すくうのに苦労するカレーライスの福神漬け。とりにくい、こげついたジンギスカンの肉。
 どれも簡単につかみ、すくえる。ラーメンもOK。米粒も簡単につまめる。

  イチゴのヘタ取りもワンタッチでOK
    


 ピタリ合わせると、スプーンとしての効果ももちろんだ。

 妻子を旭川に置いて、寮暮らし、六畳一間に、万力、金ノコ、ヤスリ、ハンダの道具を所狭しと置いて改良と失敗を重ね、一時は町の商店からピンセットとスプーンが払底する事態を引き起こしたりして、昨年夏、東京発明研究会で発表。堂々のトップ賞
                                                                                                                                   その他 
                                          
自信を深め、意匠登録を申請したり洋食器メーカーに製品化を依頼する手紙を発送したり、ネーミングは「自分の名前をとって
ケンジーにしよう」等など、忙しい毎日。一本拝借して、宿の夕食を一緒に食べた。持ち慣れると、すこぶる便利である。しかし、刺身、酢の物、味噌汁の和食には、どうもしっくり来ない。箸で食べるのと違って、「ものの味」が全然違うのだ。 「まさに、その通りです」と加藤さん。
 食の文化と食器具の発達に深いかかわりがあるのを承知の上で、「けがや病気ではしが持てないようなとき、はしを使い慣れない外国人、それに小学校の給食などに・・・・。 先割れスプーンによる「イヌ喰い」よりはいいと思うんですがネー」。
旭川の定時制高校を出て営林署に入ったが、内勤をきらって外の仕事へ。
 この世界では珍事だそうだ。学生のころ卓球部に入部を希望したところ、背が低いというだけの理由で拒否され、その”うらみ”を支えに社会に出てから猛練習。一昨年、全道大会壮年の部「40歳以上」で優勝。昨年の栃木国体では道の代表として出場。
「発明は誰にでもだきる。しかし、実用化、売り込み、世に広げるのがむずかしいっていうのが、発明の常識なんですよ」と。
 「ケンジー」実用化の色良い返事は、メーカーからは、まだない。

               (今回は「つくる」人たちのシリーズです)

その後の売り込みはさんざんでした。

毎日まいにち売り込みに精を出しました。一日約4通。全部自筆で「商品化」の依頼文です。そ〜ですね〜。300通も出しましたでしょうか?ある時などは、私が会員である「社団法人発明学会」の「アイデア買います」に応募しました。
新潟県の食器具メーカー。ヤマ○ー のブランド。Y産業。
勿論、試作品をつけて...の正式な応募です。

それがなんと、締切日を待たずにアッと言う間に返送、返却されて来ました。(トンボガエリ)
コメント?...な〜んにもなし。
「アイデア買います」? 募集能書きの割りにはまっこと失礼千万でないかい?
あまりにも奇抜な考案?だったんでビックリしたんでないかい...。
       (ハツメイトナレバ コレグライデナイト ダメダッ チュウノ)(ンダンダ)

それにしても一言返送の理由を付け加えるぐらいは礼儀だろ〜って〜の。
             (ワシモソ〜オモウ) (-_-#)ピクピク

不採用だったランチジャーのメーカーの場合、こんな理由で断られました
                      (マ〜ヨンデミナッテ)

             もう意地になりましたね。

「そんなに(新製品を作るのが)恐いのないのなら、俺が(資金を出して)作ってやるっ!」


TOPページへ。  先頭に戻ります。  前ページへ 続き   物語り目次