林野庁長官あて　ラリージャパン（WRC）の環境問題への対応に関する抗議と要請　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

林野庁長官　様
十勝東部森林管理署長　様
十勝西部森林管理署東大雪支署長　様

　私たち北海道の自然保護団体は，6月22日付けで貴職にラリーによる環境破壊を防止するための要請をしましたが，貴職の回答はラリーコース周辺に生息する絶滅危惧種や希少種の保全に関して具体的な判断を避けた無責任な回答です．

　これまでも私たちは貴職に対し，新得町のコース周辺には絶滅危惧種であるシマフクロウ・クマタカが生息していること，希少種であるナキウサギはコース脇に生息していること，ラリーコースが大雪山国立公園内を通過していることなどを指摘し，林道の使用許可を出さないように要請してきました．

　今年7月に十勝自然保護協会が行った新得町のラリーコースの調査では，コース上を飛翔するクマタカを目撃したほか，コース脇でクマゲラの営巣木を確認しました．ナキウサギもコース脇に生息しているほか，クシロワチガイソウやコテングコウモリも確認しています．いずれも国と北海道が絶滅危惧種に指定している種です（十勝自然保護協会HP http://city.hokkai.or.jp/~kagami 参照）．

新得町のコースでは北海道開発局による調査でもさまざまな絶滅危惧種・希少種の生息地であることが明らかになっていますが，主催者は今年も新得町でラリーを予定しています．また，絶滅危惧種や希少種が生息しているのは新得町のコースだけではありません．

貴職がこのようなところで開催されるラリーに林道の使用許可を出すということは，森林生態系の保全，自然環境の維持を軽視していると判断せざるを得ません．貴職はこれら絶滅危惧種，種の保存法に指定されている種の生息する森林の管理者であり，これらの保全に積極的に取り組む責任があります．

貴職が絶滅危惧種の生息地で開催されるラリーに林道の使用許可を与えないよう要請します．森林生態系の保全を重視した適切な判断をされることを期待します．