2000年4月13日

北海道知事  堀 達 也 様

                         十勝自然保護協会会長 及川 裕
 
 

日高横断道路(主要道道静内中村内線)事業の
     抜本的見直しを求める要望書

 国定公園のすぐれた自然地域を分断破壊する日高横断道路の工事が、1984年以来
16年の長期間にわたり続いて来たことに、心痛めております。当会は、次のような理由か
ら、日高横断道路工事計画の抜本的見直しを求めます。

[理由]
1.このような自然破壊の工事は、一体いつになったら終結するのか。
  われわれの仲間の現地視察情報によれば、開削した箇所が再び崩れ、その修復に追わ
 れていて、いつになったらこの工事が終わるのか見通しもつかない状態だと聞く。

2.天馬街道の工事における楽古トンネルの崩壊に象徴されるように、日高山脈は地形が
 険しく、固くて脆い地質のためきわめて工事に不向きの性質をもつことが、道路計画当
 初から専門家によって指摘されている。今日の土木技術では、不可能なことはないとい
 うかもしれないが、そうした過信による神話がもろくも崩れた例を、この数年の間に現
 実の事故として報道されている。日勝峠や天馬街道の安全確保に予算を回すべきである。

3.既存の日勝峠樹海ロードと天馬街道によって、日高山脈越え交通動脈としての目的は
 十分達成されたのではないか。天馬街道がまだ通っていなかった時は、日高横断道路計
 画も必要性についてある程度の妥当性を保ちえたかも知れないが、天馬街道の開通が実
 現した今日、ほとんどその妥当性を失ったといえる。このような状況の変化に応じて再
 検討されなければならない。

4.地元町村の要望というものが唯一残るわけだが、その要望を点検してみると、ほとん
 ど今日的意味を失っており、国定公園の貴重な自然地域を破壊してまでも開通させる正
 当な理由を見出せない。

5.この道路問題は、日高山脈という日本でも希有な貴重性を有する自然地域を開削破壊
 域に指定された。この間、士幅高原道路が問題の渦中にあったため、世間的には見逃さ
 れてきた形で、工事が尺取り虫のように進められて来た。そのために、貴重性を有する
 自然地域の破壊という観点が埋没されたまま、今日に至っている。世論が問題なしとし
 てきたわけでは決してない。

6.2000年2月北海道自然保護協会が、この道路事業に対し抜本的な再評価を求める
 要望書を関係機関に提出したが、他の多くの団体もこれに賛同していることを知ってい
 る。
当会も、上記のような理由から、工事は中止見直しをすべきだと考える。

 以上、関係機関が再検討することを切に求めます。

   連絡先  河東郡音更町音更郵便局私書箱9号 十勝自然保護協会
        電話の場合は 0155−42−2192 佐藤與吉松
 


「日高横断道路」のメニューへ戻る
「十勝三股の自然は、いま・・・」のメニューへ戻る
十勝自然保護協会ホームページへもどる