日高横断道路建設反対
道央地区勤労者山岳連盟 片寄 貞子
北海道道央地区勤労者山岳連盟では、1984年日高横断道路着工の年から一般参加者に呼びかけながら反対運動の一環として登山を含め現地視察を行なってきました。
目 的
1.日本に残された原生の自然である日高山脈を守る為に日高横断道路の建設に反対をしていく。
2.より多くの人に現場を見てもらい実態を知ってもらうとともに登山を通じて日高山脈の自然の素晴らしさを体験してもらう。
3.自然保護の交流の場とする。
日 程 2000年9月9日〜9月10日
参加者
一 般 | 11 名 | |
労 山 | 18 名 | |
北海道自然保護協会 | 1 名 | |
十勝自然保護協会 | 5 名 | |
合 計 | 35 名 |
9日 札内川七の沢視察には17名が参加、北海道自然保護協会佐藤 謙氏、
十勝自然保護協会会員小島 望氏も同行されミヤマキヌタ草、利尻シノブアポイタヌキラン、モミジカラマツ,ヒダカトリカブト、など日高山脈植生のレクチャーを受けながら沢を遡行しました。
トンネル予定地では沢から15メーターほど上部に風穴が観られました。
小さなものですがそこには風穴帯がありました。
温度計では表面が13度にもかかわらず風穴では3.6度しかないのも確認出来ました。
また小島氏によりナキウサギの食痕の説明もありました。
斜めに鋭く噛まれた細い、細い枝はそこでおびえながら生息しているナキウサギの存在を物語っていました。
トンネル予定地である標高680mこの地点で高山に咲くコスギラン、ガンコウラン、イソツツジ,ゴゼンタチバナ、ミャマビャクシン、エゾノマルバシモツケ、イワツツジ等がみられました。
この高さにナキウサギが生息するのも彼らの生きる為の条件がこの地帯にあるからです。
また沢を遡行しない参加者も川の中に延びる道路を歩きました。
交流の場となった宿泊地日高山岳センターでは膨らむ建設費を予算の変化、完成度、建設反対の経緯など小山氏がレクチャー。その後なべを囲み交流となりました。
翌日十勝幌尻岳登山を終え帰札しました。
毎年開催するのが中止につながると思う。こういう企画がなければ知らずに終わっているかも知れない。
日高の雄大さは残して欲しい。自然保護は一人一人が勉強をして守っていかなければならない。
参加者の皆さんには私たち登山者の立場で日高の自然を感じて頂く為に常に視察エリアにある山を登ってきました。
アプローチが短くなるのでよいのではという意見も有るでしょう。しかし現実に崩され続けていく現場を見た時に私選が出来ることは手を加えず原生の森、自然を残す事だと実感します。着工から17年その間知床、士幌高原道路建設反対の運動に隠れた感がありますが、労山では今年再開された12回の日高セミナーの間毎年自然保護委員会で実施し登山研究集会「毎年11月開催」で現状発表がされてきました。
今年の6月北海道勤労者山岳連盟では北海道知事宛に日高横断道路中止の方向で再検討を求める要望書を提出しました。山脈そのものが地球の大切な財産である事。工事費が15年間で410億円に達し工事費が当初予算を大幅にうわまわるなど必要性への疑問。現在私たちが持っている科学や技術力、及び経済力は、自然を保全し育てる為にこそ活用すべきであり、決して自然破壊の為に使用すべきではありません。と結んだものです。
セミナーの参加者はこの工事さえ知らなかった人もいます。知ってもらい、見てもらい、感じてもらい、考えてもらい、行動につながれば日高セミナーを実施している意味が生きてくると思っています。
1984年7月27日 | 北海道自然保護団体連合主催で道央労山全面支援により実施 静内側道路予定地 | 参加 62名 |
1984年7月27〜30日 | 同じく建設予定地調査縁日高側コイボクシュシベチャリ川を遡行してカムイクウシカウシ山登頂、村内川八の沢より札
内川を下る。 |
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1985年8月1〜3日 | 静内側視察、ペテガリ岳登山 | 参加 34名 |
1985年8月1〜3日 | 参加 33名 | |
1987年8月9〜11日 | 参加 29名 | |
1988年8月5〜7日 | 参加 14名 | |
1989年9月9〜10日 | 十勝側視察 十勝幌尻岳登山 自然保護連合と共催 | 参加 34名 |
1990年9月8〜9日 | 営林署の案内で林道コースを歩く 内7名参加 | 参加 30名 |
1991年9月9〜10日 | 十勝側 札内側川奥部現場視察 芽室岳登山 | 参加 37名 |
1992年9月5〜6日 | 静内側視察 アポイ岳登山 | 参加 21名 |
1993年9月4〜5日 | 十勝側札内側工事現場視察 雨天の為伏見岳登山中止。坂本直行記念館見学 | |
1994年9月3〜4日 | 札内側工事現場視察 伏見岳登山 | 参加 29名 |
【北海道自然保護連合「北の自然 No.65」】
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