えりもの森 裁判 |
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苦 情 申 立 書
2006年6月21日
北海道苦情審査委員 様
080-0101 河東郡音更町大通10丁目5 佐藤与志松方
070-0822 旭川市旭岡1丁目
060-0003 札幌市中央区北3条西11丁目加森ビル6F
005-0810 札幌市南区川沿10上3丁目12-2 小山方
*回答文書の送付は十勝自然保護協会宛にお願いいたします
北海道苦情審査委員に関する条例11条の規定により、申立人らは下記のとおり苦情の申立をします。申立人らは、それぞれ北海道の自然保護に取り組んでいる市民団体です。
記
1 北海道は平成14年3月、北海道の森つくりを全面的に転換する北海道森林づくり条例を制定し、この条例は同月29日施行された。右条例に基づき北海道は北海道有林野の整備及び管理に関する規程(平成14年4月1日訓令17号)を制定し、また右規程5条に基づき道有林野の整備及び管理に関する事業の基本計画を策定した。
これらの条例、規程、基本計画により、北海道有林は、それまでの木材生産のための伐採をすべて廃止することとし、道有林野の整備及び管理は、森林のもつ公益的機能を全面的に重視する政策に転換した。これとあわせて、それまで道有林野は特別会計であったものを一般会計とし道民の税金によって整備及び管理することとした。
さらに、前記基本計画では10年を1期とするとともに5年度ごとにその計画を見直しする(規程5条)こととなっている。
2 ところが、申立人らが確認したところでは、日高森づくりセンターが管理するえりも町に所在する道有林(152林班43小班)において、天然林の受光伐と称して、大規模な皆伐が行われている。この伐採は、前記した条例、規程、基本計画に抵触する可能性を有する上、実際に伐採した立木がどのように処分されているかもかなり不明朗である。申立人らは現地において伐根数を調査したところ、その伐採した立木本数において、日高森づくりセンターがそれまで述べていた本数と数百本の単位で食い違いが発生していた。
3 そこで、申立人らは、北海道水産林務部森林環境局道有林課及び日高森づくりセンターに対し、伐採した現地において、いかなる根拠、判断の下で、このような伐採を行ったのか、実際に行われていた伐採は森林生態系に重大な影響があるとの具体的指摘とこれに対する説明を求めることとし、その旨、2006年5月15日付申入書をもって、申し入れた。申立人らは、この申し入れは、えりもの他の地域においても本年度において跡地検査をする道有林の伐採本数が18,000本を超えることからえりも周辺の森林整備及び管理として、その伐採が重大問題と考えていることと、本年度は基本計画の見直し年度になっていることから今後の基本計画策定のために必要不可欠なものであると認識している。
4 しかるに、北海道日高森づくりセンターは、前記申し入れに対し、5月26日付けで「札幌地方裁判所の係属事件との関連性があることから、裁判外でも説明は差し控えます」との回答をした。
5 さらに申立人ナキウサギふぁんくらぶは、2006年5月12日付及び15日付各質問書をもって、北海道水産林務部森林環境局道有林課及び日高森づくりセンターに対し、当該林班の施業計画の具体的内容、使用した極印の本数、また受光伐と育成天然林施業との違い、などの個別的、一般的な行政内容について、質問をしたところ、北海道水産林務部森林環境局道有林課及び北海道日高森作りセンターは、「札幌地方裁判所の係属事件との関連性があることから、裁判外でも説明は差し控えます」との回答をした。
6 これらの申立人らに対する回答には、北海道の行政として次のとおり重大な問題が存在する。
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申立人らは、自然保護団体として申し入れないし質問を行っており、裁判の当事者として行っているものではないにもかかわらず、申立人らではない道民の提起した住民訴訟の存在を理由に、その説明責任を拒否することは、誰かが何らかの訴訟を提起しただけで、行政は一切その説明を拒否して良いことを是認することとなる。
A
前項のとおり、住民の誰かが行政の不正、違法行為を糾すために、住民監査請求及び住民訴訟を提起した際、それにかかわる事実を他の住民に公開しないという事態は、住民が住民監査請求や住民訴訟を提起することを躊躇させ、あるいは抑制する結果となり、これは地方自治法に定められた地方自治体の不正、違法行為を糾すという住民の権利を侵害し、また住民の裁判を受ける権利を侵害するものであって、憲法に違反する重大な事態を招くものである。
B
そもそも行政には、北海道行政基本条例3条に基づき、広く道民に対し、道政に関する情報の積極的な提供をすべき義務がある。北海道水産林務部森林環境局道有林課及び北海道日高森づくりセンターの回答は、この条例に定められた義務を放棄するものである。
C
申立人らは、現地における説明を受けることによって、今後の基本計画策定にあたり、積極的に道政に参加し、行政との協働による地域づくり(行政基本条例2条)をなそうとする意思を有していたにもかかわらず、回答は、その道民の意思を無視し、結局、北海道の推進しようとする道民参加、道民協働を一方的に拒否するものである。
D
北海道は、現在、道州制問題などでは職員が積極的に道内に出張し、北海道の取り組みについて説明していると聞いているところ、道民が行政について疑問に思ったことについて、その説明を拒否する事態は、結局北海道は、自ら説明するものとそうでないものを取捨選択するもので、行政基本条例の理念、趣旨に著しく反するものである。
7 北海道苦情審査委員におかれては、このような北海道職員の恣意的、専断的な説明責任の拒否、放棄が、行政基本条例に反し、国民の知る権利の侵害になることを明確に指摘し、行政の不当行為を是正されるよう強く切望する。
疎明資料
現地説明会についての申入書
質問書2通(ナキウサギふぁんくらぶ)
回答書3通
他の制度等への適用の有・無 ・ ・ ・ 無
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