3)鳴らしてみよう
鳴らし方を知った、こどもたちは、もうやってみたくて仕方がない。一生懸命糸を引いては、「鳴った!」「鳴らない」などと言い合っていた。「先生、鳴ったよ。」と見せに来る子ども、「どうやるの?」と聞きに来る子どもなどもいた。できるようになった子が、「ほらできたよ、見て」と、他の子どもに、披露する場面も見られた。
4)聞いてみよう
自由に練習していたこどもたちを集め、成果の交流をした。みんなの前で、何とか鳴らしてみたい、とがんばるこどもたちの意欲的な姿が見られた。できるようになった人に拍手を送ったあと、「本当のムックリの音は、もっとちがうんだよ」というと、こどもたちから、ぜひ聞きたいという声が挙がった。
マイクをセットし、遠山先生に演奏してもらう。こどもたちから、感嘆の声が漏れた。
「すごい」
「ほんとだ、ぜんぜんちがう」
「本当にあそこから、音が出てるの?」
「アメリカ人が歌っているみたいだ」
など、このあとの感想発表でも様々な意見が出された。
「かえるがげろげろいってるように聞こえる」
「アメリカ人のパイロットのようだ。(飛行機の音に聞こえたんだろう)」
このあとみんなでひいてみたい、という子どもの声に答え、30秒だけ、一斉に鳴らす時間を設けた。みんなでひけた、というものではなかったが、こどもたちも、一応満足したようである。
ひいた後に、ムックリについて、遠山さんから、お話ししてもらった。
4)質問感想
C「このムックリはくれるんですか?」
T(遠山先生、以下同じ)「みなさんがほしいのでしたら、どうぞ持って帰って練習してくださいね。」
C「口の中はいたくないんですか?」
T「口の中にあたらないように、鳴らすので、いたくありませんよ。」
C「声は出しているんですか?」
T「声は出していません。」
(ここで、ムックリが鳴る原理を簡単に説明。)
C「他に上手な人はいますか?」
T「浦河では、私と、もう1人、2人くらいしかひけません。」
5)他のムックリを聞いてみよう
遠山さんが持ってきてくれた、世界のムックリを紹介してもらうことにした。ネパールのカニムックリを見せると、こどもたちはすぐに、鳴らしてほしいといった。演奏してもらうと、
「また、ちがう音だ」
「三味線みたい」
など、感想をもらす子、演奏すると小山さんの前で、棒立ちになってみている子、どの子も、ムックリの音色に聞きほれていた。
次のムックリを紹介してもらおうとしたところでチャイムが鳴ったので、「残念ながら、今日の授業はここまで」というと、「授業?」という声。こどもたちは、授業をしていたつもりはなかったようである。「バスが遅れてもいいから、もっと聞かせてほしい」と、いつもバス時間を気にする子どもが、いっていた。
6)授業後
「終わりのあいさつをしたら、他のムックリを見せてもらいたい人は少しだけ見せてもらって下さい」というと、ほとんどの子どもが、終わりのあいさつのあと、遠山先生のまわりに集まってきた。実際にカニムックリをひかせてもらっている子もいた。残らなかったこどもたちも、ムックリを鳴らしながら、教室に帰っていった。けんかして、授業に途中からは行ってきた子どもも、「ぼくにもムックリちょうだいよ」といって、ムックリを手に取り、他の子から、鳴らし方を習っていた。