2.2.4ムックリをひこう(本時)[目次へ]

 当日、こどもたちはいつも通りに登校してきた。朝の会の間に、2人の児童がけんかして、1時間目の体育館でのフットベースに参加しなかった。他のこどもたちは、元気にフットベースをしたあと、体育館に並んだ。座ったとたん次の授業についての質問が相次いだ。

「先生、次、何やるの?」

「先生、ムックリって何?」

私は、ムックリを見せて何に使うか考えるところから導入しようと思っていたので、答えないでいたら、ある児童が「先生、楽器でしょ。だって、予定表に、<ムックリをひこう>って書いてあったもん」とあっさり、答えをいってしまった。しかし、このあとも、大変である。

「ねえ、どんな楽器?」

「何に似てる?」

「トランペット?」

「わかった、太鼓だ!」

など、いろいろな声が飛び交った。こどもたちは、こうして、期待に胸を膨らませ、プレールームへと移動していった。朝の会で、けんかした2人のうち、1人はプレールームへと向かったが、もう1人が、顔を伏せたまま、全く動こうとしなかった。授業始まりのチャイムが鳴った。その子を1人おいたまま、私もプレールームに移動した。

 

1)ムックリを見る・さわる

ムックリを実際見せたとき、こどもたちは、意外そうであった。「ほんとにそれだけなの?」「それだけで音が鳴るの?」など様々な疑問が出てきた。班ごとに、2本づつくばり、自由にさわらせる。こどもたちは、何とかならそうと試みるが、全く方法がわからない。他の班の人たちを偵察しながら、試行錯誤を続ける。このとき、班に2ほんずつしか配らなかったため、ムックリを手にした子どもは、ずっと作業を続け、あたらなかった子たちは、うらやましそうにしたり、つまらなそうにしたり、取り合いをしたりしていた場面もあった。

 

2)鳴らし方のこつを知る

「どうやって鳴らすか知りたい?」と聞くと、ほとんどの子どもは、知りたいといって集まってきた。中には、「自分で開発するんだ!」と粘る子どももいた。しかし、遠山先生が前に出てきて、鳴らし方を説明し始めると、こどもたちは皆、食い入るように見つめていた。説明の時間を使って、何とか、こどもたち一人一人にムックリを渡すことができた。


 [目次へ] [次ページ]