†  Breeding Tarantulas  †
Vr.3

† 妊娠・産卵 †

 交接後のメスでございますが、しばらくの間は至って変化無いかと思います。多少の変化としては、やや神経質になる個体がいるということと、食欲旺盛になる個体もいるという事でございます。

バードイーター用の産卵ケージ例
 妊娠したメスの産卵に備えての管理でございますが、ケージ内にシェルターを入れてあげるのが無難でございます。

 バードイーターでしたら、植木鉢を半分に割ったものとか、海外の画像でしばしば見かけるのは、ココヤシの実の様なものをシェルターとして使っていることがございますね。他にも、シェルターを土に埋めて、入り口だけ出しておくと、そこをキッカケとして、巣穴を掘っていき落ちついてくれる場合もございますので、お試しくださいませ。

 地中種などの、自ら積極的に巣を作る種の場合は、床材を普段より多めに入れまして、より深い巣を作れるようにすると落ち着くかもしれませんね。あとから人工繁殖に移す予定でございますれば、あまりにも深い巣穴を作られると、卵嚢を取り上げる際非常に厄介なので、その辺りは加減して下さいよ。

オーナメンタルタランチュラのシェルター
 樹上性種の場合は、半円状のコルクバークまたは、そのギミックの様なものを、ケージ内に立てかけて、シェルターとしておきましょう。卵嚢を作る前に、それをキッカケとして、盛大な巣を作るかと思います。

 アフリカの半樹上性種の一部は、自分の巣に卵嚢をくくりつけてしまう種もございますので、広めのケージを用い、思う存分巣を作らせておくことが良いかと思います。

 一部のタランチュラ(北米系のAphonopelma属等)は、クーリングさせないと卵嚢を作らないというような話もございます。でも僕はその系をやったことが無いので、例によって端折りますよ。まぁ、一冬の間、20度前後もしくは、室温で管理すれば良いんじゃないでしょうかね。その寒さが仇となって、クモが死んでしまっても、僕は知りませんからね。個人の責任でやるがよろし。

妊娠してるゼブラレッグ
 妊娠しますと、腹部のふくらみが、通常よりも大きくなります。そして、なんか形が違うんですよ。なんと言って良いのか難しいのですが、あぁ!コレは産むな!と言う形状になります。そうしましたら、ケージ内をあまり覗き込むことはやめ、飼育管理も、最小限の水やり程度に留めるのが言いかと思いますよ。

 妊娠しまして、早いもので数週間、遅いもので半年以上たちますと、卵のうを作ります。卵のうを作る直前、バードイーターの場合、軽く窪地を作るか、シェルターに入るかして、ドーム状の巣を作って篭る事が多いです。ずいぶん大きなお腹で、モゾリモゾリと器用に産卵する為の場所をこさえます。これがねぇ、なんか可愛いわけ。

 卵嚢製作中が、なんか最もピリピリしている感じが致します。幸運にも産卵現場に立ち会えましたら、息を呑んで見守りましょう。まぁ、大抵巣の中にいますので、ある日気が付いたら、既に卵嚢を咥えてたって事も多いのですがねぇ。


† 卵嚢管理・出嚢・その後 †

 卵嚢を作ったあとでございますが、多くのタランチュラは、直径4cm程の大変丈夫で柔軟性・通気性・殺菌性に優れた、最高の保育器となる、卵嚢(らんのう)と呼ばれる物を作ります。その中には、種によって異なりますが100〜1000個の卵が入っています。クリーム色の美しい小さな卵が、ギッシリと詰まってるわけでございますよ。

 右の画像は、コスタリカンゼブラレッグが卵嚢を抱えているところでございます。多くのタランチュラは、仔グモ達が卵嚢から出てくるまでの間、こうして卵嚢の保護及び管理を行います。

 その間、通常摂食する事もなくただ咥え、たまに卵嚢を回転させ中の卵にかかる圧力が一定になるよう、ひたすらに守り続けるのでございます。実に献身的でございますねぇ。

 んが!中にはお腹が空くやつもいるのか、コオロギをいれますと、卵嚢をその辺に放置し、エサを摂取。その後、再び咥えなおすと言う個体もおります。また、咥え続けるのは流石に堪えるのか、これまた卵嚢を地面に置いて、しばらくするとまた咥え直すという事をする場合もございます。でもこれはシバシバ見られるので、放棄と決定付ける要因にはなりますまい。放置しても、少し様子を見て頂けると良いかと思いますよ。

 卵嚢を抱えている間の世話でございますが、湿度温度をやや高めに致しまして、水容器の水のチェックだけ行い、極力刺激を与える事の無いようにするのがベストでございます。少しの刺激で、卵を食べてしまう個体もおりますので、注意してくださいませ。

 約2ヶ月、またはそれ以上で出嚢してまいります。幼体の力で、この丈夫な卵のうから出てくることは、容易では無いと思うので、おそらく、メスが穴を開けてあげるんじゃないでしょうかねぇ。

 幼体が出てきましたら、マドイと呼ばれる時期(クモの子達が、一箇所の集まってジッとしている時期)が終わって、クモの仔達が親から離れていく時に、随時小分けして行き、その後は普通に幼体として飼育して行けば問題ありません。



 青い線1本でましたよ。ここでは、人口孵化についてをビシビシ書いていきますよ。

 少しの外的要因で、卵食してしまう個体がいることはお話した通りでございます。他にも、育児放棄してしまうメスもいます。その場合、無性卵という事も多いのですが、もしも受精してたらと思うと、なんかブルーな気持ちになりますよねぇ卵食の危機も避けたいし・・・。 そんな方に打って付けの方法がございます。それが簡易人口発生器でございます。

 作り方は実に簡単!用意するものは、やや大きめのデリカップ・床材・目の細かい布・輪ゴムでございます。デリカップは、タランチュラを飼育する家庭であれば、必ずありますね!無いって?じゃぁ知らん!各自調達いたせ!その他の物は、全てその辺のスーパーやコンビニで調達可能でございます。数百円で全てが揃いますよ。

 まず、デリカップに針で小さな穴を開けましょうねぇ、蓋及び壁面にたくさん穴を開けます。通気性が重要でございますよ。んで、デリカップの中に床材を入れますが、この時消毒する事をお忘れなく。乾燥してる床材を入れて、カップごと電子レンジで数秒間チンすれば、簡単でございますね。蓋も布も全てでございますよ。まぁ殺菌いついては、気持ちでございます。

 取り出しましたら、床材を水で湿らせます。湿度が無いと、卵が干からびますからね。で、上から布をかぶせて、ハンモック状にして、布を輪ゴムで止めます。もちろん、布は下の床材に決して触れぬよう、且つ、あまりたるみの無いよう、絶妙に取り付けてくださいね。んで、そのハンモックの中に卵のうを入れまして、さらにデリカップの蓋をしますれば、はい完成!

 プラケの中に入ってる白いカップ、これこそが簡易孵化装置でございます。プラケースの下には水を張り湿度を維持しております。タランチュラの卵の大敵であるハエ、これが絶対に侵入出来ぬよう、プラケの蓋には紙を挟んでございます。ここまでしますれば、完璧!でございましょうかねぇ。とりあえず、うちはコレで成功してますので、ダメでは無いかと思いますよ。デリカップむき出しよりは、温度湿度共に急激な変化を避けられるので、僕は個人的にこの方が良いんで無いかと思うわけでございます。 コレを、内部の温度が28-30度程になるところに設置します。温室の中が宜しいですかね。

 人工孵化に移すタイミングでございますが、ベストなのはメス個体が卵嚢を抱えてから、一ヶ月半程度は管理をクモ自信任せます。卵嚢の回転という、メンドクサイ作業は、メスにやらせてしまうという作戦でございます。

 んで、その後メスから卵嚢をピンセット等で取り上げてしまい、人口孵化装置へ移すのですが、この時卵の発生塩梅を見るために、卵嚢をはさみで少し切り開き、中身を見て見ましょうねぇ。(無論、ハサミは滅菌して置くこと) この時、イクラから脚が生えている様な状態まで発生が進んでおりましたら、もう勝ったも同然!左の写真がその状態。いやぁ、実にかわいらしい!

ん? 気 持 ち 悪 い と か 言 う な ぁ 〜 !

 この後、真っ黒になりまして、その後直ぐに脱皮いたしますよ。黒くなるのは、脱皮の兆候でございますね。んで、脱いだ仔蜘蛛たちは少し動けるようになります。この時期は水も飲むので、極軽く霧吹きしてあげても良いですね。エサはまだ待ってくださいまし。

 そこから数日後、さらにもう一回脱皮して、ようやくタランチュラっぽくなります。はい、ここでいよいよ小分けしましょうね。種類によっては分けなくても良い場合がございますが、ここでは分けるという方向で行きますからね。

 んで、分けた後、4−5日置いてから、初めてのエサを与えてみると良いかと思います。エサには、クモの体長よりも小さな、生まれたてのコオロギ、通称ピンヘッドを与えると良いかと思います。直ぐ飛びついて食べる個体もあれば、驚いてなかなか食べない個体もあって、見ていて愉快でございますよ。

 ここから先は、通常のタランチュラ幼体飼育と同様に飼育してくださいまし。

 もう一つ。
 タランチュラの親が、卵嚢を作った後、一ヶ月以内に育児放棄してしまった場合でございますが、この場合、すぐ様卵嚢を取り上げまして、孵化器に入れてしまいます。んで、一ヶ月間、毎日朝夕、卵嚢を回転させましょうねぇ。メンドクサイですが、頑張ってください。で、一ヶ月経ったら、卵のうの中を確認して、発生が進んでおりましたら成功と見て良いかと思います。億劫でしょうが、成功させてみたいのならば、頑張ってくださいねぇ。



† 具体例 †

 インディアンオーナメンタル(Poecilotheria regalisの場合で見ていきましょうかね。ってか、画像を含め、まともに記録残ってるのはこれだけだから、しょうがない。

 実例のデータが増えて参りましたら、各ページ増設しますね。とりあえず、今はここで。

♂ 2002年3月導入 Todd便  LS16cm
♀ 2000年12月 GladesHerp LS18cm
温度
25−28度前後で一定
湿度
詳しく計測して無いけど、ケージの床材が、常に乾かない程度。

9月10日 雌雄同居開始

アイリスの縦長プラケに、
バーミキュライトを敷き、
流木を入れただけ。
9月15日 いったん別居。
9月20日
また同棲。仲睦まじい雰囲気。
10月13日 オス死亡。メスに
捕食はされず。右は死亡した
オスの生殖器。特に意味なし。
12月15日
メスケージ移動。ちょっと立派な縦長ガラス水槽。(中古で500円:笑)

床材は、ピートとバーミキュライトの混合ですが、家にあるバーミキュラ
イトが切れたから、テキトウにピートを足しただけ。別に、計算は無い。
真ん中に、コルクバークのギミックを置く。
2003年1月12日
ケージ内に怪しい巣を作り
始める。右画像は、巣を上から
撮ったところ。
策略としては、コルクのギミックの
中で産卵すれば良いなぁ〜
と思ったが、
ご覧の有様でございます・・・→
1月14日
脱皮か!と危惧したが、
見事産卵。
いやぁ、よかったよかった。
2月28日 開嚢  発生確認
卵嚢から幼体を全部出して、人工
孵化器の中に、誤って全部出して
しまった・・・
だいたい80匹ぐらい
じゃないかねぇ?
↓これらの画像が
28日撮ったもの→
3月7日
ボチボチ脱皮するものが現れ、
1令に。

3月11日
全員2令になりました。
下右の画像が、3/11撮影。
3月26日 脱皮して3令に。
脱皮前は、真っ黒。
黒死病蔓延か!
とは思わなかったけどねぇ〜

右が3令及び脱皮中の個体。
下が、脱皮直前2令軍団。
黒いでしょ。

  とまぁ、こんな流れでございました。
  2002年11月と12月前半何も触れてないのは、その時期まぁ色々あったわけ(笑)



戻る 1へ