Monocentropus balfouri
ソコトラアイランド ブルーバブーン

CB,AD,female
 記載自体は100年以上前(Pocock,1897)と古いのですが、ペットして出回るようになった歴は比較的浅く、日本へは2009年頃にやってきました。アフリカのバブーンとしては珍しいブルー系のタランチュラで、独特な色合いから大変人気の高い種類です。こやつ以前、青系バブーンはほぼ出回っていませんでしたので、登場し始めた頃は非常に高価でしたが、割と盛んに繁殖されるようになり、現在はCBの幼体が比較的お求めやすい所まで下がっています。日本国内においても結構何度も殖やされている部類ですな。その後はHarpactira pulchripesとかモザンビーク産の全体が青っぽいタランチュラも知られるようになりましたねぇ。モザンビークのは多分まだ出回っていないですが、出回るようになれば人気が出そうな気配ですな。

 名前の通り、イエメンのソコトラ島に生息しております。世界遺産にも登録されていて、まさしく秘境と言っても良い場所です。竜血樹等の根元辺りに棲んでいるのでしょうかねぇー。現地の人はやたら猛毒と信じているようですが、実際そこまででは無いようです。現地人あるあるですな。とは言う物の、バードイーター連中などよりは強めだと思うので、噛まれないようご注意下さい。

 体長は6cm前後、レッグスパン14cm前後と、中型程度のサイズです。割と過酷な環境に棲んでいるので、かなり丈夫な部類です。床材を乾燥させた状態で、小さめの水容器を入れておけば良いでしょう。常時多湿な環境だと調子を崩すかもしれないので、乾燥気味にしておくのが良いですな。気温は25度前後にしておけば特別問題も発生しません。成長速度はそう早い方ではありませんが、3年弱程度で成熟します。小さい頃は茶色いだけのクモですけど、徐々にブルーが乗ってくるので、なかなか面白いですぞ。バブーンの中においては性格的にも比較的扱いやすい部類で、初めてバブーンを買おうと考えている人にも、十分お勧め出来る種だと思います。巣も飼育する分には他のに比べると落ち着いた感じにまとめてくれるので、何を飼っているのか分からなくなるという事も少ない点も良いですな。

 比較的繁殖例を多く聞く種類で、国内外で盛んに殖やされています。産卵数は多くても3桁には届かない様で、タランチュラとしては少なめと言っても良いかと思います。仔グモが卵嚢から出てきた後も、母グモは仔に餌を与えたり、しばらく育てる事が知られています。なんでも、2令ぐらいまで育てるとのこと。なんかアフリカのタランチュラって、荒いけど結構子煩悩なやつが多いですよな。

 現状割と殖やされているので、名前を目にする機会も多いかとは思いますが、本来は大変貴重な種類なのです。今後ワイルド物が来ることは殆んど無いと思いますので、この素晴らしいクモの飼育下血統を大切に引き継いでいきたいですねぇ。

     
  CB,AD,female  
  CB,AD,male