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チリのサンチアゴの特に北部の辺りで良く見られるそうで、街中にも結構出てくるぐらいだそうです。「街中にチリコモが出てくるなんて、なんて素敵な街なんだ」と思う人が飼うわけですな。そして、そんな人はどちらかと言うと変態の域なので、なるべく内に秘めておきましょうね。まぁSNSとかで発言する分には別に良いですけどねw
一般にローズヘアーやチリアンコモン(通称チリコモ)、チリアンフレームと言う名で流通する場合が多いタランチュラでございまして、爬虫類屋やホームセンター等でも目にする機会の多いクモでは無いかと思います。ローズヘアータランチュラの中でも最もポピュラーな種類ですね。一時チリがクモの輸出をクローズするという噂が広まった時には、一気に価格が上昇しましたな。
さてこやつは最も飼い易いと言われて久しいタランチュラでございまして、丈夫さ、美しさ、価格、大きさ、大人しさ等、過去より初心者向けであると言われてきました。入荷直後は、茶色い小汚いクモという感じですが、脱皮すると頭胸部のメタリックピンクが大変美しく、ガラッと化けるのも魅力ですな。
Glammostola spatulataと言う学名で輸入されておりましたが、現在G.spatulataの名前は、G.roseaのシノニムとして抹消されております。以前はG.porteriもG. roseaとしてまとめられていましたが、今は別物として分けられています。
体長は6cm、レッグスパンで10cmを超える程度という、比較的誰にでも扱いやすいサイズと言えるのではないでしょうかね。
本種の問題点を挙げるとするなれば、しばしば長期(半年から1年程)にわたり拒食し、飼育者を悩ませることがございます。しかし、腹部が痩せていかないようでございましたら、とくに問題ございません。とりあえず気になる方は、温度と湿度を少し高めてみると良いかもしれませんね。なにしろ生息している場所が、年に1度も雨の降らない様なところですが、たまに霧は発生します。また、温度は40度以上になることもあるそうなので、我々が思っているよりも高い温度で飼育するのが良いのでしょう。寒さ暑さ乾燥に耐える蜘蛛であるので、丈夫とみなされるわけです。アタカマは世界で最も乾燥した砂漠と言われるとおり、地球上でも指折りの過酷な環境らしいです。日中は50度を越え、寒いときには霜すら下りる。そんな環境な様でざいます。からっとした環境で、季節で温度にバキッと上下をつける。これが本種の真の飼い方なのでしょうが、飼育下でそんな環境再現は難しいですし、一歩間違えたら、あっさり熱すぎ寒すぎで死んでしまうことでしょう。23-30度の間でキープすれば、とりあえず飼育可能です。ぶっちゃけ雪が降らない地域なら、冬化処理的な意味も込めて無加温でも死なないと思います。15度ぐらいなら平気で餌とりますしねぇ。強いクモですな。
うちでは、脱皮前拒食を除き、そんな頑なに食わないと言う個体にめぐり合ったことが無いので、あまり良くわからないのですが、とにかく成体サイズでございますれば、絶食が直接死に結びつくことは稀でございますので、小さな水容器の水だけ切らさぬよう、あとはあまり気を使わずに、放っておくのが最善かと思います。なんでも、年間1-2回の食事しか摂らなかった個体もいるそうでございます。まぁじゃかじゃか食わせすぎると、あっという間に食べなくなるので、加減したほうが良いと思いますよ。
本種は、WCでの入荷が主でございまして、CBが販売されていることは、極めて稀でございます。その理由の一つとして、交尾までには比較的容易に至りますが、その後、卵嚢を作らなかったり、卵食が多かったりと、繁殖が何故か困難な種だったりするのでございます。野生採集個体が、毎年大量に入荷されておるので、是非ともCB化を進めたいところでございますね。冬季はしっかり冷やすことが重要なのでしょうな。爬虫類では当たり前の事ですからねぇ。
一頃よりはCBも聞くようになりましたね。幼体から飼育する場合でございますが、基本的に成長は遅く、脱皮周期も長くなりがちです。エサを多めに与え、温度は30度前後、適度にスプレーをする事でアダルトを飼育するときよりも気持ち湿度を高めにし、早めに大きくするよう心がけましょう。しかし乾燥地帯に生息する種なので、過度の加湿は好ましくありません。
本種はパワーフィーディング等の沢山食わせて一気に育てる業が効き難い感がございますので、それも難しいかもしれません。しかしその分寿命が長く、若い個体でございますれば、成体でございましても、雌の場合で軽く10年以上は生きてくれます。オス成体の場合、長くて2年と言われております。オスの場合しょうがないにしましても、長期に渡って、クモのペースで呑気に付き合って行くのが良いかもしれませんね。
というわけでコイツの不遇な点は、やたらと苛酷な環境に住んでいるため、丈夫過ぎるということに尽きますね。適正な環境下で飼育すれば、40年ぐらい生きるのではないかとも言われております。長生きですね。長生きで餌も採らなくなってしまったら、飼っていて、ひとっつも面白くない生き物と思われがちなのも分かります(ゆえに初心者にも飼えるけど、初心者向けだと言い難い面もある)。長く付き合えるクモの一つなので、是非飼育してみてください。このクモ達の時間の流れに抗う事無く、ゆっくり気長に付き合いましょう。急いで育てたい人は、こいつじゃなくポエキロ連中でも飼ってくださいw |
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