「ラリー北海道2005（APRC）」および「ラリー・ジャパン2005（WRC）」
の環境問題に関する要請・質問書
私たち4団体は、５月17日付けで標記の『ラリーの環境問題についての要請』を環 境大臣に対して提出し、5月31日までに回答を求めました。同日、環境省本省から 「西事務所から回答させます」、また、貴事務所から「説明したいのでどのような 方法がよいか」というそれぞれの電話がありました。それに対して、私たちは「文 書による回答」を求め、「面談による説明」を受けることにしました。
6月17日、貴事務所において、河本次長と島影野生生物科長から、5月18日付けの環 境大臣あての要請に対して口頭で説明・回答をいただき、同時に、絶滅危惧種の生 息地でラリーが行なわれる問題について話し合いました．
この話し合いの中で貴職に要請した事項、そして新たに生じた疑問について、以 下に述べますので、必ず文書によってご回答くださいますよう、宜しくお願いしま す．回答は、ラリー実施をひかえる今、できるだけ早めに、７月29日必着でお願い いたします。なお、本件に関する他の行政機関からは、すべて文書による回答をい ただいていることを申し添えます。
１．貴職は、3月に開催されたシマフクロウの保護増殖検討委員会における意見を主 催者に伝え、コース変更を検討するように申し入れたとの口頭説明がありました。 ラリー主催者は、この申し入れについて、どのような理由でどのような判断をした のか、貴職は、主催者に問い合わせ、その回答を私たちにお知らせいただけますよ う、改めて要請します。
２．貴職は、2003年に新得町のコースをラリーに使うことを把握していたとの口頭 説明がありました。その時点で、ラリー実施がシマフクロウへ重大な影響を及ぼす ことが推測できたにもかかわらず、貴職は、シマフクロウ保護増殖検討委員会委員 の意見を聞く、主催者に説明を求める、その他の対応をしておりません。その理由 を明らかにしてください。
３．貴職は、現段階において、ラリーがシマフクロウに重大な影響を及ぼさないと 判断しているとのことでした。しかし、北海道の鳥類研究者ら6名が主催者に提出し た要請書によると、シマフクロウ保護増殖検討委員はラリーがシマフクロウに影響 を与える可能性があると指摘しています。また、3月の上記検討会においても、ラリ ーの影響が懸念されることからコース変更を求める意見が出されたとのことでし た。専門家からこのような意見がある中で、貴職が専門家の意見とは異なって「重 大な影響はない」と判断した上でラリー実施を黙認するのであれば、絶滅危惧種を 守るべき貴職の責任が放棄されることになります。それはまた、ラリー実施を絶滅 危惧種に対するその影響を確認するための実験とする、まことに無責任な対応にな ります。シマフクロウだけではなく、クマタカやエゾナキウサギについても、同じ ことが言えます。
したがって、貴職の言われる「重大な影響」とは具体的にどのような内容を指して いるのか，貴職は、その定義を明らかにすべきです。また、「重大な影響がない」 と判断された根拠について、貴職は、論文や科学的資料などを明示して、公に説明 する責任があります。これらの二点について明瞭に回答してください。
４．ラリー主催者は、新得町のコースの環境調査を行い、ラリーコース周辺にシマ フクロウやクマタカ、ナキウサギなどが生息していることを知っていたとのことで した。それにもかかわらず、主催者が上記コースを選定したのは、ラリーがこれら の希少動物に影響を及ぼす可能性が低いと結論づけたためと推察されます。しか し、この結論は、主催者が自ら2001年に示した「コース選定の基準」と異なったも のであり、その科学的根拠が明らかにされていません。このため、私たち自然保護 団体は、主催者に「環境調査報告書」の提出を求めました。しかし、主催者は、当 初に示した公言を守らず、この要請を無視したままにおります。
貴職は、主催者による「環境調査報告書」を入手しておらず、また入手する考えが ないとの口頭説明でした。新聞報道によると、主催者は自治体には報告書を公開し ているとのことですから、環境省はこの報告書を入手し、主催者がどのような理由 でラリーコースに選定したかを確認し、必要に応じて主催者を指導する立場にある と考えます。今後も、貴職は、主催者による環境調査報告書を入手する意志がない のかどうか、再度お聞きします。
回答送付先 080-0101 河東郡音更町大通10丁目6番地
佐藤与志松方 十勝自然保護協会
このページのTOPへもどる
「毎日新聞の不買を！」にもどる
十勝自然保護協会ホームページへもどる