大雪山国立公園の問題

大雪山国立公園管理計画改定案のパブリックコメントに関する質問書 

2007年5月8日 

環境省北海道地方環境事務所

所長 浅野 能昭 様

十勝自然保護協会 
会長 安藤 御史 

 

大雪山国立公園管理計画改定案のパブリックコメントに関する質問書

 環境省は、大雪山国立公園管理計画の改定案についてのパブリックコメントを本年2月20日から3月21日に受付ました。当会は大雪山国立公園の自然保護問題に関わり、これまでにもさまざまな意見を述べてきたことから、今回のパブリックコメント受付に際し、意見を送付しました。しかし、このパブリックコメントの募集や、提出された意見への貴職の対応方針についていくつかの疑問が生じましたので、以下の項目について回答くださいますようお願い申し上げます。

 なお、5月末日までに文書にて回答くださいますようお願い申し上げます。


1 今回のパブリックコメント募集は2006年12月に実施される予定であったものが、大幅に遅れて2007年2月20日から3月21日までとなり、年度末ぎりぎりになってしまいました。遅れた理由を貴事務所に電話での問い合わせたところ「本省との調整の関係」とのことでしたが、本省との調整になぜ2ヶ月も要したのか、理由を説明してください。

2 昨年11月15日に開催された第3回検討会のお知らせについては貴事務所がプレスリリースし、新聞でも報道されましたが、パブリックコメントにあたってのプレスリリースは本省がおこなったのみでした。貴事務所がプレスリリースをしなかった理由を説明してください。

3 上記にように貴事務所がプレスリリースをしなかったために、大雪山国立公園の自然保護に関心を持っている道民の多くがパブリックコメントについて知らなかたと推測されます。意見提出者が3団体1個人しかなかったことは、このような事情によると考えられます。また、ホームページでのみ意見募集するというやり方は、インターネット環境にない人を排除しているといえます。このことについて貴職はどのように考えているか明らかにしてください。

4 今回のパブリックコメントの対象になったのは「公園事業及び行為許可の取扱に関する事項」だけであり、「管理の基本方針」や「自然環境の保全」、「利用の制限」などについては対象外でした。今回の改定の重要項目であった環境保全に関わる部分を対象にしなかった理由を説明してください。

5 パブリックコメントの締め切りから第4回検討会までは6日間だけであり、提出された意見を十分検討できる余裕があったとは思われません。このような設定が適切であったと認識しているのかどうか、見解を明らかにしてください。

6 第4回検討会の議事録をみる限りでは、提出されたパブリックコメントについて詳細に検討された様子がありません。ホームページに掲載された「『大雪山国立公園管理計画(案)」』対する意見の概要とその対策方針」では意見の概要しか書かれておらず、これでは委員に意見が正確に伝わるとは考えられません。提出された意見の詳細を委員に示したのでしょうか。また資料は事前に配布して検討を依頼したのでしょうか。この二点について明らかにしてください。

7 「『大雪山国立公園管理計画(案)」』対する意見の概要とその対策方針」の番号12における環境省の対応方針は理解できませんので、具体的に説明してください。

当会は「『絶滅のおそれのある種』すべてが法的に採取禁止ではない。採取の許可が必要なのは特別保護地区や指定植物などである」との意見を提出しました。これに対する貴職の対応方針は「管理計画に記載されている『許可、届出等取扱方針』は、自然公園法に基づく許可、届出等を取り扱う際の方針を示しているものであり、自然公園法の規制の対象とならないものについては、当該取扱の対象にはなりません。従って、原文のとおりとします」というものです。

 貴職の説明どおりに解釈するなら、たとえばAという絶滅危惧種が特別保護地区に生息していた場合は採取禁止だが、特別地域に生息していた場合はなんら規制がないということになります。このような理解で間違いないでしょうか。見解を明らかにしてください。

  回答送付先
         〒080-0101 河東郡音更町大通10丁目5番地
               佐藤与志松方 十勝自然保護協会 (Tel・Fax 0155-42-2192)