2006年2月7日  

環境省北海道地方環境事務所長
青山 銀三 様

                          十勝自然保護協会会長  安藤 御史  
北海道自然保護連合代表 寺島 一男  

大雪山国立公園糠平集団施設地区整備方針検討会の運営に対する抗議と要望書

 貴職は,「大雪山国立公園十勝三股・糠平ふれあい自然塾検討会」(以下「ふれあい自然塾」とい
う)解散後,この検討会での話し合いを踏まえて標記検討会を設置しました.十勝自然保護協会は
「ふれあい自然塾」に対して当初から意見を述べている経緯から,この検討会への参画を強く要望し
てきましたが,貴職はその要望を聞き入れませんでした.このため標記検討会の座長である伏島信治
氏に意見書を提出しましたが,これについて検討会で説明することもなく,誠実な対応をしませんで
した.

 事務局である貴職は,座長から意見書について相談されたことと思います.二回目の検討会の冒頭
で座長は「この検討会は委員会ではなく,あくまでも助言をする立場である」との確認をしました.
この発言は,「助言の立場であるから,自然保護団体の意見を聞くような性格の機関ではない」と受
け止められるものでした.

 しかし,このような説明は納得のできないものです.なぜなら,最初に設置された「十勝三股整備
検討会」に十勝自然保護協会やひがし大雪博物館友の会を参画させなかったために,参考人として招
致し意見を聞くことになりました.さらに貴職のやり方は批判され,事業の進行が困難になり,計画
の変更を迫られました.そして新たに立ち上げた「大雪山国立公園十勝三股・糠平ふれあい自然塾検
討会」へ十勝自然保護協会やひがし大雪博物館友の会を加えることを余儀なくされたのです.ふれあ
い自然塾の検討会の目的も今回の検討会同様「助言」する立場でしたが,このような経緯からも,ま
たマスコミがこの検討会に注目していたことからも,検討会が社会的に重要視され,委員会に準じる
ものとみなされていたことは明白です.

 しかも,貴職は北海道の自然保護4団体が昨年提出したラリー問題や,十勝自然保護協会が提出し
た北海道自然歩道予定地でのヒグマの射殺問題についての質問書に対し,文書での回答を無視して不
誠実かつ無責任な態度に終始しています.また話し合いに応じても意見を聞くだけで,問題解決を図
ろうという姿勢が感じられません.検討会に自然保護団体を加えず,意見書も無視するという対応は
「自然保護団体の意見は聞かない」という不見識な態度といわなければなりません.このような態度
は今日の社会通念に反するものです.

 十勝自然保護協会はこれまで北海道開発局・土木現業所・十勝支庁・林野庁など,さまざまな行政
機関と話し合いの場を持ったり,質問書を送付したりしていますが,どの機関もすみやかに適切な対
応をしています.貴職のような対応をする行政機関は稀有な存在といわなければなりません.貴職の
一連の対応に対し強く抗議するとともに,糠平集団施設地区の整備に関して以下の要望をいたしま
す.

 貴職は「大雪山国立公園糠平集団施設地区整備方針検討会」を立ち上げるにあたり,ふれあい自然
塾検討会の議論を踏まえることを表明しました.ふれあい自然塾検討会では,三股は積極的に森林を
復元する場として位置づけること,糠平に中核施設をつくることが総意といえるものでした.した
がって糠平の整備方針を検討するにあたっては,ふれあい自然塾検討会での意見を踏まえた中核施設
の検討が求められることになります.糠平集団施設地区の一回目の検討会でも糠平をどのような場と
して位置づけるかというコンセプトについて話し合われ,森林の復元や保全,自然を大切にするよう
な方向性が適しているとの基本的なイメージが提案されました.これはふれあい自然塾検討会での総
意事項と共通するものです.
 ところが,二回目の検討会で事務局が提案した二つのプランは「温泉街構想」であり,中核施設は
インフォメーション機能としてのビジターセンターという位置づけです.このようなビジターセン
ターはふれあい自然塾検討会や,一回目の検討会で話し合われたコンセプトを踏まえた中核施設とい
えるものではありません.これはふれあい自然塾検討会で確認されたことと異質であり,公言を反故
にするものです.したがって以下の事項について再度検討することを要請します.

 1. 環境省の公園事業におけるビジターセンターは森林の復元や保全への取組みに対応した施設で
はありません.そこでビジターセンター案を白紙にもどし,合意の得られたコンセプトを実現するた
めのソフト事業や中核施設について検討会で再度検討することを要請します.

2. 十勝自然保護協会は糠平・三股地区で環境省が行なうべき事業として,一貫して森林復元や自然
保護,自然保護教育の実施などを提唱してきましたし,ふれあい自然塾の検討会でもこのような意見
は否定されませんでした.自然や生態系についての解説のほか,森林の復元・保全事業,自然保護教
育にも対応した「自然保護センター」を中核施設とすることを提案します.
3. 森林の保全や自然保護を推進するうえで,また温泉街の活用のうえでも,糠平温泉を自然保護教
育や環境教育あるいはそれらの指導者養成の拠点とするプランを提案します.

以上の要請について,次回の検討会までに文書でご回答くださいますよう,お願い申し上げます.

回答送付先
080-0101 北海道河東郡音更町大通10丁目5番地
      佐藤与志松方 十勝自然保護協会

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