「ふれあい自然塾」計画をめぐる
環境庁と十勝自然保護協会の協議経過
十勝自然保護協会 事務局長  佐藤与志松
 1995年5月、環境庁自然環境保全審議会は、大雪山国立公園の公園計画見直しの一つとして十勝三股地区を集団施設地区に指定する答申をしました。
この指定に向けては、地元上士幌町も働きかけをしてきました。指定を受けて具体化したのが「ふれあい自然塾整備事業」計画です。
面積263ィの集落跡地と林地に施設を配置し、自然体験・学習の場にしようとするものです。
 計画の説明にはカヤの外に置かれていた当会は、98年遊歩道が着工されたことを知り、こちらから申し入れし、上川の担当者(公園統括管理官)に説明を受けたり、現地視察を共同でしたり、札幌の事務所に質問書・要望書を提出したりしてきました。
 この過程を通じて、環境庁の当会への対応は、庁側が主導で進めるという意思がありありで、資料提示も進んでしたがらない様子でした。
しかし、われわれのいくつかの要請に対して、容れることがありました。

●計画全体を決定的なものにしないこと。

●奥地林地のキャンプ場をはずすこと。

●(99年度計画の)林道整備にはブルドーザーをいれないこと、トンボ池や遊歩道延長の整備に対しては貴重な植物や昆虫があるから調査した上で、もっと多くの人々の知恵を集めて方策を練り直すまで工事を見合わせること。

 環境庁は工事を見合わせました。
地元住民の説明会でも、批判の声が高まる中、行き詰まりを覚えてか、打開策として、昨年12月に検討会なるものを発足させ、計画の再検討をゆだねる一方意見聴取もはじめました(当会の意見陳述は今年2月12日及川裕会長が行う。十勝自然保護協会ニュースNo.89掲載)。
このことは、環境庁が独自に進めてきたこれまでのやり方を反省して、有識者・地元関係機関、地元住民などに計画の是非を問おうとしたもので、各層の意見を聞く機運が生まれ、とりあえず好ましい方向に動いたものと考えられます。

 当会は検討委員に指名されませんでしたが、今後この会がどのように検討を進めていくのか注目してゆきたいと思います。
 

 
検討委員氏名   身分・所属 
藤巻 裕蔵 帯広畜産大学畜産学部教授
辻井 達一 北星学園大学社会福祉学部教授
原田 輝治 北海道自然環境課長
後藤  滋 北海道十勝支庁自然環境課長
西尾 敏幸 上士幌町長
河合 康二 上士幌町教育長
中村 進一 糠平温泉観光協会副会長
蟹谷 吉隆 糠平温泉自治会長
田中 康夫 三股幌加自治会長
河田  充 ひがし大雪ガイドセンター
事務局環境庁職員


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