戸台川の紅葉
南アルプス林道 長谷村村営バス車窓より望む
大平山荘落ち葉の香りの登山道 |
バスはしばらく高速を進み、伊北インターで一般道に出ます。
北海道で車を運転していると、道の狭さが気になることはまずありません。十分な広さと、ゆったりとしたカーブで、いつもおおらかな運転ができるからです。それにもかかわらず、毎年交通事故の多さは日本一ということですから、こんな汚名は早く返上したいものです。
一般道に出ると、道の狭さを気にしつつも、ドライバーのテクニックに感心していました。その時ふと気が付いたことがありました。バスからの視線が高いこともあり電信柱にかかる電線が良く見えました。そこには光ファイバーケーブルが四方八方に延び、多くの家庭に引き込まれているのがわかります。また、バスの路線上を延々と伊那・高遠・長谷村・登山口まで延びています。詳しいことはわかりませんが、数年前に「伊那xDSL利用実験」なるレポートを読み、地域を上げてインターネットに取り組む姿に感動した記憶があります。この光ファイバー網もその流れをさらに進めた成果ではないかと思っております。
長谷村のホームページに仙丈ケ岳 LIVEカメラがあります。ズームなどの遠隔操作もでき、大変優れたシステム)注4になっています。今日の仙丈岳は快晴、紅葉のじゅうたんの上に真っ白に冠雪した仙丈岳が鮮明に映し出されました。これも充実した光ファイバーの恩恵だと想像しています。
北海道ではまだまた、光ファイバーはおろか、ADSLさえ満足に開通できない地域があります。機会があれば、ぜひ、関係者の方とお話がしてみたいものです。
どこまでも続く光ケーブルを眺めながら、長谷村市街地を通り、紅葉を映す美和湖を過ぎると、ほどなく、高速バスの終点仙流荘に到着しました。
仙流荘からは、長谷村村営バスに乗り換えます。高速バスは渋滞の影響で若干到着が遅れたものの、定時のバスへ乗車することができました。村営バスは繁忙期には定期便のほか、待合室の状況を見ながら臨時便も発車させることがあるようです。詳しくは村営バス営業所に問い合わせてみると良いでしょう。
村営バスはワンマンのマイクロバスです。観光バスほどの乗り心地の良さはありませんが、登山バスとしてはとてもきれいで快適です。なにより驚いたのは、ドライバーの丁寧な観光案内です。要所要所で山や植物の説明をしてくれます。また、絶景ポイントでは車を停車させ、十分に景色を鑑賞させてくれます。写真は戸台川の川原まで400mの絶壁の通過。空を飛ぶような感覚さえあります。
ドライバーさんに藪沢新道を仙丈小屋まで向かう旨を伝えると、登山口の大平山荘前でバスを止めていただきました。また、すでに、途中の橋は冬支度のためにはずされているので、十分に注意するように忠告をいただきました。バスの運転や車内のサービスのみならず、登山道の状況まで把握しているドライバーさんの山岳バスの運転手としてのプロ意識と思いやりに、とても感動しました。
今回歩く藪沢新道は仙丈岳への最短ルートです。登山口は大平山荘玄関のすぐ脇から始まります。すでに、大平山荘は営業を終え、冬期閉鎖になっていました。そのため、登山口には「冬期間通行止」の表示がありました。沢沿いのコースを行くため、なだれの危険があるからでしょう。
私は、事前に仙丈小屋に積雪状況とこのルートの通行の可否について電話で確認をしておきました。はずされた橋も、水量が少なければ問題は無いし、凍結によるスリップに気をつければ、通過は可能との情報を得ました。 |
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初冬の登山は、ある意味とても慎重に行動しなくてはならないことは知っておくべきだと思います。なぜなら、ふもとは、紅葉真っ盛り、小春日和の穏やかなハイキング日よりにもかかわらず、山中は氷点下の真冬なんていうのは珍しくありません。あるいは、一夜明けると一面の銀世界、それならまだいいですが、猛吹雪で視界ゼロ、行動不能なんてことも無いわけではありません。夏山に十分登られて、そろそろ、次のステップとして、この時期をお考えの方も多いと思いますが、夏山とは全く違うものとして、経験者に同行することが必要だと思います。のちに小屋の主(あるじ)から聞かされる、最近の登山者の耳を疑う実話は、後ほどお話しましょう。
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