野鳥を本物そっくりに木材を使って作る「バード・カーヴィング」。近年は作風も静止的な彫刻から動的なそれへと、また生態や生息環境を加味した彫像へと変化し、世界的な発表の場も設けられている。日本での第一人者が、最も人気のあるカワセミと、キビタキ、ハクセキレイの３種を作例にした労作。連続写真約八百枚を駆使して可能な限りわかりやすくした 入門書。電動グラインダーやバーニングペン（焼きゴテ）を用いて形づくり、彩色して野鳥の生きいきとした精緻な表現をめざす、本格的なリアル・バード・ カーヴィング。
　その歴史、米国での作品の移り変わりと制作状況などをも折り込み、解剖学的な観察、生態にも意をくばった。バード・ウオッチングが年々盛んになり、私達にも身近な野鳥たちに関心が深まっている。細かな羽根の一筋一筋を彫り、柔らかくふっくらとした感じや姿勢、 羽毛の色合いをあまさず学び仕上げる手技は、人間と共生する鳥達のことをもっと知り、大切にしてゆこうとする心であり、保護活動の一環でもある。