ecoism
2013年5月
『間人』という地名を何と読むか
城山三郎著「気張る男」という文庫本を読んでいたら、40年来の疑問を解く記述に出合って嬉しくなった。主人公は明治時代、大阪で活躍した松本重太郎という男の評伝みたいなもの。彼は岩崎弥太郎、渋沢栄一らに匹敵する大阪の大経済人とのこと。そんな人がいたとは知らなかった。重太郎の出身地は、京都の丹後地方、日本海に面した『間人』という寒村だ。『間人』を『たいざ』と読む。
実は私が京大の動物学教室に居候をしていた四十数年前、どなたかの調査の手伝いで行ったことがあるのだ。変な読み方の理由を先輩が説明してくれたような記憶があるが、今となってははっきりしない。その明瞭な理由が書かれていた。
用明天皇の間人皇后がこの地に戦乱を避けて逃げられた。聖徳太子の生母といわれる妃である。この時の間人は『はしうど』と読む。乱が収まり皇后は都に戻ることになった。やんごとなき世界では御退座するという。皇后は村人に敬愛されていたせいもあってそれ以降『たいざ』と読むようになったという。
いつかまた行ってみたくなった。
エコ・ネットワーク 小川 巌
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