ecoism

2011年8月
直ちに影響が出なくても

311日から4ヶ月が経とうとしているのに福島原発の終息は見えてこない。それどころか、土壌、野菜、牛肉などへの放射能汚染が深く静かに潜行していて、不気味である。それなのに海洋や海産生物に関する放射能情報が極めて少なくはないか。高濃度汚染水を海に投棄した際、原子力村の学者が「海水で薄まるので問題ない」などと発言していた。とんでもない、と感じた人は少なくないはずである。食物連鎖を通じて極微量の有機物や放射性物質が高次の動物に移るにつれ高濃度に汚染されるのは、生態学の基本知識である。海水→植物プランクトン→動物プランクトン→小魚→中型魚→大型魚(または哺乳類)と段階を経るにつれ、濃縮されていく。これが生物濃縮である。中学または高校の生物教科書に図入りで掲載されている。海水のレベルで1とすると、最終段階の魚、鳥、獣で数万から数十万倍に濃縮される例がDDTPCBで報告されている。放射性物質とて同じプロセスを辿るとみられている。「直ちに」ではなく、1年後〜数年後に結果が現れるから怖い。原子力系の皆さん、子どもや孫の教科書で勉強して下さい。

エコ・ネットワーク代表 小川 巌


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