ecoism
2009年2月
加害者としてのバードストライク、被害者としてのバードストライク
先月、米国ニューヨークのハドソン川にUSエアウェイズ機が墜落したニュースは、水上への胴体着陸にもかかわらず、乗客乗員ともに全員無事だったせいもあって、その後も数々の余韻を残したのは記憶に新しい。原因は水鳥が2基ある左右のエンジンに吸い込まれ、エンジンが停止してしまったためでだという。メディアはバードストライクが原因としていたが、我われが用いているバードストライクとは、意味がどうやら異なるようである。
大部分の鳥は空中を飛ぶ3次元生活者である。そのために人間の作った工作物に衝突する場合をバードストライクと呼んでいる。つまり、鳥は被害者かつ犠牲者の立場である。だが相手が航空機だと事情が異なる。鳥が最前部のフロントガラスや翼などに衝突すれば、これは従来通りのバードストライクに違いないはずである。しかし、ジェット機のエンジンにぶつかると言うより吸い込まれるのだから、ただ物体に衝突するのとは事情が異なる、と考えたくなる。
鳥は決して加害者なのではない。犠牲者と位置づけ、空気と一緒に鳥までも吸い込んでしまう構造こそ変えないといけないのではないか。鳥インフルエンザ同様、自然に生きる鳥を邪魔者扱いにする愚だけは避けたい。
エコ・ネットワーク代表 小川 巌
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