2007年9月
いま、熱帯雨林で何が起きているか

今年8月末、北海道環境サポートセンターで、熱帯の森林と水環境をテーマにしたセミナーが開催され(カリマンタン交流協会などの主催、エコ・ネットワーク協力)、ほとんど知られていない驚くべき報告がなされた。その要点をまとめてみよう。
 その1。 森林火災は森林火災にあらず。実態は泥炭火災だというのだ。北海道をはじめとした北半球高緯度地域には泥炭地が広く分布している。ところが熱帯の低平地にも広大な泥炭地が広がっているのを知っている人は少ないのではないだろうか。今回話題になったカリマンタン(ボルネオ島南側のインドネシア領)の低平地には北海道より広い泥炭地があり、そこに熱帯雨林が成立している。乾期になると、カラカラに乾いた泥炭が燃えたり、くすぶったりして東南アジア全域に被害をもたらす煙害が各地で発生する。木は根が燃える程度だが、いずれ枯れるため、表面的には森林火災に見えるのだという。
 その2。 熱帯雨林の減少、消失が地球環境問題のひとつである。森林がなくなれば、二酸化炭素の固定量が減るのは自明である。ところが、泥炭火災による二酸化炭素排出が、カリマンタンだけで、日本の年間排出量を上回る年もあるというのだ。日本国内でいくら対策を立ていても泥炭火災を放置しておくと、帳消しどころか大幅な出超になってしまいかねない。だから、我々は熱帯の動向に深い注意を払わないといけない。
 その3。金や銀を零細な事業者が河川で「精錬」する過程で、大量の水銀が発生していることが分かった。これも熱帯の隠れた環境問題として取組む必要がある。



自然発火する泥炭地


リハビリテーションセンターのオランウータン

エコ・ネットワーク代表 小川 巌


エコ・ネットワークとは?エコイズム販売物行事案内環境体験HOME