2006年10月
野生動物への餌やりは是か非か
9月20日夜、北海道新聞野生生物基金が主催したフォーラム「野生動物への餌やりの功罪を考える」が開催され、コーディネーター役を勤めた。全国的に見ても給餌、餌付け、餌やりを真正面から取り上げたこの種の催しは初めてと思われる。その理由は次の2点に絞られそうだ。
餌やりがあまりに広く「普及」してしまい、今さら手がつけずらくなってしまった。さらに意識的か無意識かを問わず、野生動物への餌やりが「善」と見られている点を無視するわけにはいかないだろう。今回のフォーラムについては同基金発行の「モーリー15号」(12月刊行予定)で紹介されるので詳細はそれに譲るとして、私の感想をまとめてみると次のようになる。
@種類、時期、場所によって餌やりの弊害が著しい。
A餌やりの対象になった種だけでなく、周辺にすむ動物または植物にも悪影響が出る例も出ている。
B餌をやる人には、弊害、悪影響についての認識、自覚が全くない場合が多い。
Cシマフクロウを対象とした給餌は緊急避難的に実施され効果をあげてきたと信じられているが、近親交配の原因になる等、予期せぬ問題点が明らかになった。
一概に否定するのではなくさまざまなマイナス面を知った上で、どのような形の餌やりが必要なのか論ずる場が必要であろう。そのために1回だけでフォーラムを終えてしまうのではなく、今後の更なる取り組みが欠かせないというのが、パネリスト全員の一致した意見であった。
エコ・ネットワーク代表 小川 巌
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