2005年2月別冊
フットパスは遊歩道か?

フットパス(foot path)を歩いたり、作ったりする活動がようやく道内で活発になり始めた。これまで歩くことなど全く顧慮されてこなかった地域だけに、今後の展開が楽しみである。
 ところでフットパスという言葉自体、一般には馴染み薄で、他に適当な名称はないものか、としばしば聞かれる。似た言葉として歩道とか遊歩道があるものの、やはりフットパスとは同義ではない。例えば、札幌近郊の野幌森林公園には快適に歩ける素晴らしい遊歩道が数十キロはある。これをフットパスといって間違いではない。ただ本来のフットパスとは一寸違うように思える。つまり野幌森林公園のは、公園内だけを巡るものであって、いわばクローズド(closed)な遊歩道である。最寄のJR駅や国道のバス停からのつながりはない。この点が重要なのではないか。道そのものが、森林とか農地、川沿いだけに限定されるのではなく、都市内、住宅地も含め多様な空間を結んでいることが欠かせない要件だと私は考えている。

 森林公園、田園地帯、堤防沿い、あるいはひとつの町村の中だけで完結するというのではなく、多様な環境を含み、他地域とつながりをもっているのを“フットパス”と呼ぶと分りやすい。その「つながり」の中から人と人、人と地域、人とモノとのふれあいが生まれてくるからである。

 そういった意味では、フットパスを歩いたり作ったりする活動が、スローな地域づくりと密接に関わりをもっているのである。換言すれば、歩く人も歩く地域も元気になる今日的なアクティビティーと言ってもよいだろう。

エコ・ネットワーク代表 小川 巌


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