4.3.1.1総合学習という観点で [目次へ]
1 はじめに
ティーム・ティーチングのところで「総合学習」についてふれられていましたが、「総合学習」とのかかわりで見ておくことにしましょう。
教職員組合では「総合学習」を取り入れていこうという動きが見られます。また、文部省でも次期学習指導要領の編成に向けて動いていますが、現在、教育課程審議会で「総合学習」について活発な議論がなされています。
社会科で体験的な学習を取り入れていろいろな実践が行われていますが、体験的な学習を他の教科との関わりで考えてみると、他の教科にふりわけることができる内容が多くみうけられます。そのような意味では総合的な教科として社会科が行われているといっても言い過ぎではありません。
アイヌ文化の学習の場合も一つの教科でもってことたりるものではないだろうと思います。総合的な広がりでとらえていくことが可能でしょう。
校内研修で話し合われた「総合学習」の資料をもとに考えていきたいと思います。
2 総合学習の「総合」とは
一口に「総合学習」といいましても研究者によって捉え方がまちまちです。そこでこの言葉についても一応整理しておきたいと思います。
「総合」という言葉には、「統合」「合科」という似たような言葉がありますが、「総合」「統合」「合科」という概念について教育学研究者の中でも捉え方が違うようです。
3 「総合学習」について
二人の教育学研究者の分類をまとめてみました。一つめの平野朝久著『総合学習』によれば、二つの「総合学習」に大別することができると言っています。
【「はじめに子どもありき」というタイプ】
「子どもの事実にたち、子どもが願い、求めているものを出発点とし、その実現および一層の充実発展としての総合学習」
【「はじめに内容ありき」というタイプ】
「子どもが学ぶべきこととしてあらかじめ決めれた内容が出発点になり、それを首尾よくこなすための総合学習」
これを更に細かく分類するすると以下のようになります。
教育課程審議会や教職員組合で考えられている「総合学習」は、第二のタイプに分類されるでしょう。そして、アイヌ文化の学習を総合学習ととらえた場合、内容から見ると「人権」というテーマに関連して第二のタイプに分類されるでしょう。勿論、学習形態から考えれば必ずしも第二のタイプには入れられません。
次に加藤幸次編著『総合学習の実践』でも大きく二つに分類されている。更に細分化されています。
更に詳述すると以下のようになります。
教科アプローチ「教科」総合学習
「合科」総合学習
「学際的」総合学習
生活アプローチ「トピック」総合学習
「興味・関心」総合学習
引用文献日本教育学会編『教育学研究』第64巻第1号P80、庄司他人男(福島大)のまとめを引用
平野朝久著『総合学習』(学芸図書)
加藤幸次編著『総合学習の実践』黎明書房1997
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