2.3 おわりに[目次へ]
この授業をすることで、こどもたちにどんな力がつくのか。この授業が、これからのアイヌ文化教育にどうつながっていくのか。私だけでは、明確な答えを出すことができません。
しかし、私自身が経験し、すばらしいと感じたものを、こどもたちにも伝えたい、という思いがかなった授業であることは、間違いありません。また、今回、講師としてきていただいた遠山さん、李澤さん、その他、協力いただいたたくさんの方々の思い、つまり「アイヌ民族について理解してほしい」という心からの願いが、この授業を作ってきたのだと思います。
授業をしてみて、感じたことは、実技講習会に参加していただいた先生が書いていたように、体験することが、一番大切なのだな、ということです。
こどもたちは、自分たちの肌で、アイヌ文化のすばらしさに触れました。私や、講師の先生が、どんなに熱く語り、すばらしい資料を用意したとしても、未知なる文化のすばらしさは、こどもたちに伝わらなかったと思います。見たり、聞いたりだけでは、なかなか理解できないこどもたちですが、(もちろん大人もしかりです。)逆に未知なる事に、恐れず触れていくことで深く理解することができるのです。
こどもたちの活動を制限したりしようとすると、こどもたちは、拒否反応を示したりしてきます。今回の第3次の授業がそうでした。
教師側の押しつけではなく、子供自身が、本当にすばらしいと感じ、やってみたいと思う。そういうアイヌ文化教育でなければならないのです。
体験することの大切さの他に、本物を与えることの大切さを感じました。もし、今回の授業で、にわか練習の私が、こどもたちにムックリを披露したら・・・。こどもたちは、何を感じとれたでしょうか。遠山さんの、技術のすばらしさや、ムックリ(アイヌ文化)に対する強い思いを感じとったからこそ、こどもたちは、ムックリに夢中になったのだと思うのです。
文化教育、芸術教育などでは、偽物を使ってはいけない、と、千歳でアイヌ文化教育に力を入れている佐々木先生がおっしゃっていました。アイヌ文化に限らず、子どもの心に響く、学習材の質の高さが求められるように感じました。