2.2.5 遠山先生に手紙を書こう[目次へ]
一人一人が封筒に宛名を書き、遠山先生に手紙を書き始めた。いつもは休み時間のチャイムが鳴ったら、外へ飛び出していくこどもたちが、その日は、真剣に手紙を書いていた。
この子は、ムックリの演奏を、棒立ちで聞き入っていた子である。遠山さんが住んでいる姉茶の場所を説明するのに、セイコーマートを2つすぎたところ、といったのをおぼえていたらしい。
遠山さんへ
とうやまさんにムックリをおしえてもらってすごくじょうずになりました。そしてムックリをとうやまさんがひいたとき しゃべっているようにきこえてすごいとおもいました。そのつぎ しつもんでだれかがムックリをもらってもいいのってきいていいよっていったとき ぼくはやったとおもいました。やっぱりせんせいだとおもいました。ありがとうございました。
遠山さんは、ムックリを説明したときに、「心をなぐさめるもの」と説明した。お父さんやお母さんにおこられたとき、さみしいときなんかに、心をなぐさめるためにひいたんだよ、という説明をよく聞いていたのだろう。いらいらしていたお父さんも、子どもの真剣な姿に、思わずほほえんだことだろう。
遠山さん きのうムックリをおしえてくれてありがとうございます。あのあとかえってかられんしゅうしてできるようになりました。おとうさんがいらいらするといったので、やったらおとうさんのいらいらがおさまったといいました。
いつもなかなか学習意欲を見せない子だが、繊細な心の持ち主である。乱暴なこともたびたびする子で、当日もムックリを何本か壊してしまったりもした(真剣に活動していた結果として)。ムックリというものが、なにかわかった喜びが伝わってきた。
ムックリはなにかなとおもったらおもしろいがっきでした ぼくは、ムックリのおとをだせるようになって うれしかたです。
この子は、私といっしょにウタリ協会で、アイヌ語講座を受けている子どもである。教室から帰るとき、私に、「スイウヌカラアンロー」と声をかけてくれるような子どもである。学級のこどもたちといっしょに、アイヌ文化を楽しめたことを心から喜んでくれていた。
遠山サキさんへ
木曜日の時、ムックリをひきました。さいしょはしっていたんだけど、わすれちゃってあたまにうかびませんでした。そして遠山さんがひいた時はなんかうたになっててすごくよかったとおもいました。でもわたしもひけてよかったなと思いました。あとおしえてくれありがとうございました。ほんとうにありがとうございました。遠山さん元気でみんなにおしえて下さいね。 ありがとうございました。
アイヌ文化のすばらしさの一端に触れることができたことを、よく表していると思う。
ぼくは、ムックリをきいてすごくきれいですごいとおもった
この子のように、家で、おうちの人におしえたという感想が大変多かった。ほとんどの家で、「すごいね。」とほめてもらえたようで、こどもたちは、評価してもらえたことがうれしかったようである。
遠山さんきのうのムックリをおしえてくれてどうもありがとうございます。
帰ってからさっそくうちのおかあさんに、おしえるとそんな名前もしらなかったと、言いました。うちのおとうさんのおかあさんとおなじでした。
ぼくもちょっとはじょうずになりました。