中川町で珍しい種類のサメの歯化石が発見されました

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〜完全な形で発見、世界で2例目、環太平洋地域からは初の発見〜

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発見された露頭(崖)

露頭下部に白く見える部分が化石を多く含む層

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発見された時の様子

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スフェノダス生体復元図(原図;中島保寿)

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中川町で珍しい種類のサメの歯化石を発見

〜完全な形で発見、世界で2例目、環太平洋地域からは初の発見〜

 中川町の天塩川の支流に位置する中生代白亜紀後期(約8900万年前)の地層から、サメの歯化石が多数発見されました。この中には、細長い歯冠と幅の広い歯根がどちらもほぼ完全に保存されており、現生のサメ類の歯と比較しても類を見ない、特徴的な逆T字型の化石も含まれています。
 この逆T字型のサメの歯化石は、その特徴的な歯冠と歯根から、オルサコドント科のスフェノダス属であることが明らかになりました。オルサコドント科は原始的なサメの仲間で、すでに絶滅しています。スフェノダス属の歯はその特徴的な形ゆえに壊れやすく、白亜紀の地層から発見されたスフェノダスの化石の中で、完全に保存されている標本は、世界中で一例しか報告がありませんでした。中川町で発掘された標本は、完全な形での白亜紀のスフェノダス属の歯としては、世界で二例目の報告であり、環太平洋地域からは初めての発見となります。これまで不完全な化石では難しかった詳細な比較がこの標本によって可能となり、白亜紀の海に生息した生物の多様性と分類の研究に非常に重要です。中川町ではこのスフェノダスをはじめとして、白亜紀の生物の化石が続々と発見されており、研究チームとしてはこれからも同町エコミュージアムセンターを基点として継続的に発掘調査を行っていきたいと考えています。
 この研究は東京学芸大学と東京大学、中川町エコミュージアムセンターの研究者の共同研究の成果であり、日本古生物学会欧文誌「Paleontological Research」に以下の論文として早期公開されました.また,6月24〜26日に福井県で開催される日本古生物学会2016年年会で発表が行われます.

Sphenodus (Chondrichthyes, Neoselachii) from the Upper Cretaceous inNakagawa Town, Hokkaido, Japan
論文タイトル:北海道中川町の上部白亜系から産出したスフェノダス(軟骨魚類、新生板鰓類) 著者:菅野詩織(東京学芸大学、現所属:ジェームス・クック大学)、中島保寿(東京大学大気海洋研究所)、疋田吉識(中川エコミュージアム)、佐藤たまき(東京学芸大学)

掲載誌;日本古生物学会「Paleontological Research」のページはこちら


発見・研究の意義

1)ジュラ紀〜古第三紀に生息したサメであるスフェノダス属の歯が、歯根と歯冠がほぼ完全な形で保存されています。白亜紀のスフェノダス属のほぼ完全な形での発見は環太平洋地域では初めてです。
 →この化石はスフェノダス属の歯全体がもつ特徴を示し、より詳細な分類や、白亜紀の海の生物多様性の研究に重要です。
2)ジュラ紀〜古第三紀のスフェノダス属の生息地を古地図上にまとめたところ、中〜高古緯度に集中していることが明らかになりました。このことから、スフェノダス属のサメが比較的寒い海域に生息していたこと、また、古第三紀に起きたこの海域の急激な温度変化が絶滅の要因になった可能性が考えられます。
3)北海道中川町からは、今回報告したスフェノダス以外にも、絶滅した生物の化石が続々と発見されており、これからも継続して調査を行っていくことで、さらなる重要な発見があると期待されます。

専門的なコメントについての照会などの情報;Press release (pdf;520k)こちらからダウンロード


【発表論文】Shiori Kanno, Yasuhisa Nakajima, Yoshinori Hikida and Tamaki Sato(in press)Sphenodus (Chondrichthyes, Neoselachii) from the Upper Cretaceous inNakagawa Town, Hokkaido, Japan. Paleontological Research,.