|
強烈なインパクトを与え、タランチュラホビー界に彗星のごとく飛来した、大型のクモ。昔から存在こそ知られておりましたが、なかなか飼育シーンに登場しませんでした。んで、あるときから一気に知れ渡るようになり、2006年ごろには日本にも上陸。そして今では、割とメジャーな存在となりました。しかしまぁ、アジア産の常として、ピタッと止まる可能性もあるので、CBも出回っている今がチャンス!と言っても良いでしょう。
シンガポール、マレーシア、インドネシアに生息するとされており、最初紹介されたときは、その見た目からCyriopagopus sp.説が出ておりましたが、その後Lampropelma violaceopesであると同定され、2015年にOmothymus属に移すと提唱されましたが、本種に関しては"not sufficiently justified"ってことで、とりあえずはLampropelmaってことにしておきます。
シンガポールバイオレットと言う呼び名もありますが、過去にHaplopelma robustumと呼ばれ、今では属名も未同定状態になっているヤツに付けられているようです。所謂Ornithoctoninae G.sp. ってやつですな。アジアのクモは、相変わらず混迷してて良く分からんですなぁ。詳しく知りたい人は、自分で調べれば良いんじゃないでしょうかw
ここまで巨大で(レッグスパンは20cmを容易に超えます)カラフルなのに、あまり潜らないのも良いですね。高さのあるケージで飼育すると、結構活動するさまも観察できます。無論夜行性なので、暗いときに限りますがw 現地では、背の高い樹の洞や割れ目に巣を作って、そこを基点にウロウロしているそうです。
メスは写真のように美しい色彩をしており、脱皮後で特に際立つ。マレーシアアースタイガーのオスは、ある程度育つと緑になってしまうが、本種の場合、ある程度のまではメスと同様、紺碧がかっているので、もしかしてメスかも!と飼育者に淡い期待を与えるという、なかなかにニクイ演出をなさる。成長は雌雄ともに結構早く、1年も飼えばそれなりのサイズになり、この特徴的なブルーも綺麗になる。本種の紺碧は、光の当たる方向や光の種類で、随分と異なった色彩を見せる点も非常に興味深い。
飼育は難しくなく、26度前後で、高めの湿度を保つようにすれば問題ない。ただし、性質は極めて荒く、時折大変素早い動きを見せるので、取り扱いには注意が必要。噛まれると相当痛い思いをする羽目になるハズなので、ある程度タランチュラの飼育に慣れた人向けの種ではあるが、荒い種の飼育にも慣れてきた方は、ぜひ一度飼育してみていただきたい。色彩もさることながら、スっと伸びる美足と、そのフォルム。これを超えるような強烈な種は、そうそう居ないと思う。入手された方は、単なる狭いところでのコレクション飼育ではなく、是非広いケージに立体的なレイアウトを施し、豪華絢爛に飼育して頂きたい。本種の良さが良く分かるはずだ。
|
|
|