ウォーキング バットフィッシュ/ロングノーズ バットフィッシュ
Ogcocephalus sp. (Possibly O.corniger)

分布 大西洋の南西部(こいつはカリブ海産)
体長 20cm程



アンコウ目アカグツ科(Ogcocephalidae)に属する風変わりな魚にございます。
国内にも似た仲間が居りますが、たいてい水深100m〜700mと、かなり深いところに住んでいます。いわゆる深海魚の類にございますな。しかし、カリブ海辺りに生息するこの属の仲間は、水深15m程度の浅いところにも居りまして、そやつらが捕獲されて日本へやってくるわけです。本種は、浅いところから200m程の深いところまで生息しているらしいです。こやつの見た目的にも、深海魚を飼ってると言う気分に浸れます。いや〜、良いよね深海魚。ロマンだものw(ちなみに、特に好きな深海魚はホウライエソとオニアンコウですw) 近い魚としては、ヒメアカグツなんかも観賞魚ルートにのりますが、3〜5万程と、結構高価w

本属には12種程いるようで、鼻先の長さや細かな体系、分布域などで結構違いはありますが、基本的にどの種もマグロの鎌みたいな体系をしております。似た種も多く、色や模様からの判別は、僕は良く解らんかったです。とりあえず、O.cornigerに近い気がしたので、確定するまではポッシブリーでw

あまり泳ぐことはせずに、日がな海底でじっとしている場合が殆どにございます。時折歩くために進化を遂げた腹鰭を使ってペトペトと歩き回り、極稀に底を離れ泳ぐこともございます。しかし泳ぎは、えらくヘタっぴでございまして、泳ぐというよりもジャンプに近い感じでしょうかねぇ・・・。なんだか随分と呑気な魚でございます。ここまで来ると魚というよりも、ヒキガエルみたいな印象すら受けます。

Ogcocephalus属の魚は、国内ではニシフウリュウウオ、英語圏ではバットフィッシュと呼ばれているようです。上から見ると、羽を広げた蝙蝠の様に見えるからでしょうかね。和名は西のほうにいるフウリュウオの仲間なので、ニシフウリュウウオなのでしょう。風流魚って、どの辺をもって風流なのかは謎ですねぇ・・・。佇まいかなぁ・・・

さてさて、こいつにはイザリウオやアンコウに見られるように、バットフィッシュにも吻の付け根に、獲物をおびき寄せる為のルアーの様な物が付いております。専門用語でエスカと呼ぶのですが、空腹になるとエスカを出し入れして、エサとなる獲物をおびき寄せるわけにございます。飼育下でも、頻繁に見られますので、なかなか愉快なものにございますよ。しかしバットフィッシュのルアーはとても小さく「そんな短いもの出し入れして、どんな生き物が寄ってくるのよ!」と突っ込みたくなるほど意味無さげな物体に成り下がっております。下の画像にエスカを最大限まで出している写真が御座いますので、ご覧ください。えらく短いですからw

肉食性で、うちでは活きた小魚・ゴカイ・イソメ・エビの類を与えておりましたが、どれも好んで食べておりました。モノの本と購入した店の店員は「魚は食べない」と断言してましたが、口に入る小さな魚であれば、吸い込むようにして食べておりました。しばらく飼育して環境にも慣れて来ると、ピンセットから直接冷凍小魚なども食べるようになり、うちでは最終的に乾燥クリルにも餌付きましたねぇ。比較的容易に餌付くようでございますな。エサの注意としては、単一な物ばかり与えるのは、良くないと思うので、バラエティー豊かに、様々なエサを用意する事もポイントかと思います。釣りエサ用の冷凍エビを与えたところ、一気に状態が悪化して死亡しました。おそらく保存剤等、魚にあまり好ましくない薬品が使われていたのだと思われます。冷凍の釣りエサとして売られている物は、極力与えない方が良いでしょう。この手の魚の中では、口が小さい部類なので、あまり大きなエサは使わないほうが良いかと思います。

底には、パウダーサンドが適している感じですが、うちの個体は砂に潜る素振りも無かったので、ベアタンクでも問題ないかと思います。まぁ歩行しやすかろうと言う点と、水も比較的安定するであろうとの配慮で、テキトーな砂を敷いてましたけどね。

水温は、うちの場合最高27度ほどになりましたが、とりあえず異常は無かったです。27度以上にはなったことが無いので不明ですが、水温に関しては、比較的寛容な部類の魚といってよいかと思います。23−25度ぐらいを維持できればよろしいのではなかろうかと思います。

吻端を傷付けやすいので、飼育槽内のレイアウトは極力シンプルにするよう心がける事と、魚の取り扱いは、網ですくうよりも、プラケで水ごと掬い取る様にするのが良いです。

個人的にかなりお勧めの魚にございます。さらにベストな飼育法や環境などが解ってきましたら、改定してゆくと思います。



うちで飼育していたときの水槽の様子。
こんな簡素な感じでしたが、元気にしておりました。

60cmランチュウ水槽
比重 1.020

同居魚:南米淡水アンコウ


画像
1(正面1)
2(横)
3(エスカを伸ばしてる)
4(後ろ姿1)
5(小魚を捕食した瞬間)
6(正面2)
7(水面上から)
8(吻端の傷が癒えてきた頃)


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