二つの世界大戦をはらんだ20世紀の前半は、得体のしれぬ力が膨張し摩擦し、激突する歴史であった。そしてそれは今日、「二つの世界」「冷たい戦争」などという不気味な言葉によって世界を覆い、まさに頂点に達した感がする。 科学技術の飛躍的な、ときに盲目的な発展は、ついに原子力を実現せしめた。人類は、自身の生んだ魔女を抱えて途方にくれているようにみえる。