十勝自然保護協会

 
十勝自然保護協会の2005年度の活動

 2月に発表された国連の「生態系報告書」によれば,人間の活動により現在の地球の生態系の破壊は深刻で,今の活動が続けば2050年には,人間の生活自 体が立ち行かなくなることを警告しています.
今の傾向とは,目先の経済的利益を最優先する人間の行動です.現在の地球が生物の大量絶滅期の第6波であるこ とを国連がみとめたことになります.
十勝でも例外ではありません.最近10年間に十勝の自然の劣化,生態系への悪影響を及ぼすと考えられる事業は枚挙にいとまがありません.
生物多様性条約批准以降,国や地方自治体は「事業は自然環境に最大限配慮する」という言葉によって,自然破壊が確実に行なわれ ています.
この10年間に河川改修,林,樹木を思う時,十勝の生態系の破壊は,計画されている事業で確実に進むことが予想されます.
当協会は地元の自然環 境を守るため,地元の生態系を守るため,行政当局や関心を持ったあらゆる人々,団体と議論,話し合うことによって,生態系保護を最優先する人間社会の実現 を目指します.

1.大雪山国立公園の自然を守ります

2005年度までの経緯
(1)2004年の夏に,東ヌプカウシヌプリの登山道脇の草刈りが行なわれ,ツツジや高山植物が損傷されました.この草刈りを実施した鹿追町に,抗議と再 発防止対策を文書で要請しました.
(2)環境省が十勝三股・糠平地域で予定していた「ふれあい自然塾」事業が,2004年度をもって廃止となり,検討会も解散しました.2005年度から は,糠平の施設整備について,新たな検討会が立ち上げられることになりました.

2005年度の取組み
(1)    然別湖周辺の自然を守ります.
然別湖周辺の自然景観を守り,この地域の森林,ナキウサギなど動植物を保護するための活動をします.
(2)    十勝三股の自然を守ります.
【1】 環境省の旧「ふれあい自然塾」検討会が確認した2点
     1)中核施設は糠平におく
     2)三股地区は森林復元をする
 を基本にして,再編成される検討会に参加 して目標達成に取り組みます.
【2】 三股の森林復元を目指す「十勝三股森づくり21」に参加します.

2.大規模林道の中止を求める活動をします

2005年度までの経緯
(1)2004年1月に北海道の5団体が「大規模林道問題北海道ネットワーク」を結成し,10月に北海道水産林務部,11月に緑資源機構との交渉を持ちま した.
(2)置戸・阿寒線を視察しました.茂足寄・上螺湾間は大きな法面を削りながら着々と工事が進められ,貫通寸前の状況です.上螺湾・飽別間では,広範囲の 伐採跡があり,カツラの大径木が刻印なしで伐採されています.
(3)    平取・えりも線の平取・新冠区間の台風による崩壊について各地の集会で報告し,大きな反響を呼びました.
(4)    様似・えりも区間では,ナキウサギふぁんくらぶと共同でナキウサギとコウモリの調査を行いました.

2005年度の取組み
(1)大規模林道北海道ネットワークに参加します
(2)北海道の大規模林道3路線の工事中止を求めます.いくつかの区間については重点的に調査活動をします.
(3)山奥でひそかに行なわれている自然破壊について世論に訴える努力をします.
(4)6月に札幌で開催される「第13回全国集会」には積極的に参加します.

3.    近郊の森と川の自然環境を守ります.

2005年度までの経緯
(1)弥生新道の橋の建設の中止を帯広市に求めてきましたが,市との協議は物別れとなり稲田の森の河畔林が伐採されました.
(2)札内川・帯広川の合流点の河口閉塞対策として放水路を掘削しましたが,これにより札内川の水が放水路に逆流するようになりました.
(3)十勝川温泉や芽室町のほたるの会が行なっているほたるの放流は,他地域に生息するほたるの導入であり,遺伝子の撹乱をおこすものであるため,放流をやめる よう,意見書を提出しました.

2005年度の取組み
(1)弥生新道・稲田の森の河畔林の一方的な破壊を防ぐため,監視活動を行い,保全策を市に提言していきます.
(2)帯広川放水路の効果について監視していきます.
(3)開発局関係,支庁および土木現業所関係,市役所関係の事業計画に対して,十勝の自然が破壊を受けないように積極的に提言していきます.

4.日高山脈の自然を守ります

2005年度までの経緯
日高横断道路の建設は中止になりましたが,既開削部分が随所で崩落しています

2005年度の取組み
(1)日高山脈の自然を守る取り組みをします.
(2)日高横断道路跡の七の沢の監視活動を続けます.


5.林道使用の自動車ラリーに引き続き中止を求ます
2005年度までの経緯
2004年に開催されたラリー・ジャパン(WRC)では,絶滅危惧種のシマフクロウやクマタカ,希少種のナキウサギの生息地である新得町の林道でラリーが 開催されました.これに対して主催者や北海道知事,環境省,林野庁などに中止をもとめてきました.また毎日新聞社が約束した環境調査報告書の提出を求めま したが,これは無視されています.

2005年度の取組み
(1)十勝の森林がラリー大会の標的になって4年間続きました.今年もWRCなどによってさらに森林環境が撹乱されようとしていることを国内外の世論に訴えていきます.
(2)特に問題の多い新得の林道の使用を復活させないよう求めていきます.
(3)主催者の行なう林道の環境調査を公開するよう求めていきます.
(4)この取り組みを他団体とも連携した取り組みに広げます.
(5)ラリーの切手を作成して問題の啓発に役だてます.

6.観察会,講演会,学習会の実施
2005年度の取組み
(1)然別湖周辺
(2)日高山脈
(3)河川・ダム
(4)動植物の学習
(5)東大雪山
(6)森林および林道
(7)生物多様性国家戦略や自然保護関係法など


7.調査活動
2005年度の取組み
(1)大規模林道の十勝圏の区間を定期的に調査を行います.
(2)大規模林道の必要性の根拠として挙げられる交通量調査の検証を行います.
(3)支庁の農業土木工事によって撹乱されたニホンザリガニの再生のため,支庁が行なう生息保全状況を監視します.
(4)三股周辺の森林の調査に参加します.
(5)札内川および七の沢の監視・調査を行います.

2005年度の取組み
8.運営・広報活動・他団体との連携・官庁関係の協議会等への参加
(1)理事会は月1回定期とします.会員の拡大を目指します.
(2)ニュースの発行を5回行います.会誌「ポロピウカ」2号目を発行します.
(3)日高の団体との連絡会「ぐるっとひだか」に参加します.
(4)昨年参加した官庁関係の協議会等には引き続き参加していきます.
(5)大規模林道問題北海道ネットワークの加盟団体として積極的に活動します.
(6)北海道自然保護連合の加盟団体として必要な活動をします.


9.財政  会員の拡大を目指し財源確保に努めます.

  (十勝自然保護協会の会則はこちらに あります。また活動日誌はこちらで す。)