ダイオキシン関連年表      河村 宏 編 「ダイオキシン汚染のすべて」技術と人間(1984)より
| 西 暦 年 | 月 | 日 本 | アメリカ | その他 | 
| 1872 |  |  |  | ドイツの化学者が塩化ダイオキシンを合成 | 
| 1881 |  |  |  | シュミットら、PCBを合成 | 
| 1890-1900 |  |  |  | 塩素工場労働者にクロロアクネ発生 | 
| 1910 |  |  |  | 塩化ナフタレン(CN)製造始まる | 
| 1914-1918 |  |  |  | ドイツで、CNによるクロロアクネ発生多発、第一次世界大戦で塩素系毒ガス使用 | 
| 1929 |  |  | PCB製造開始 |  | 
| 1930-1940 |  | CNによるクロロアクネ発生 |  | CNやPCBによるクロロアクネ発生 | 
| 1936 |  |  |  | PCPを木材防腐剤として開発 | 
| 1938 |  |  |  | ミューラー、DDTの殺虫効果発見 | 
| 1940-1950 |  | CNによるクロロアクネ多発 |  |  | 
| 1942 |  |  |  | BHCの殺虫効果発見 | 
| 1943 |  |  | DDTの大量生産開始 |  | 
| 1944 |  |  |  | 2,4-Dの除草効果発見 | 
| 1948 |  |  | 2,4,5-Tの農薬登録 |  | 
| 1955 |  |  |  | 西ドイツ、K・シュルツがベーリングガム・インゲルハイム社で労働者にクロロアクネ(塩素痙瘡)発生を報告 | 
| 1957 |  | コンデンサー工場でPCBによる皮膚異常 |  | 同クロロアクネの原因が2,4,5-Tの不純物であるダイオキシンによるものであることを確認 | 
| 水田除草剤としてPCP農薬登録、生産量が飛躍的増大 | 
| 3 |  | ジョージア州ヒナ鳥水腫大量死事件(環境からのダイオキシン発見の契機) |  | 
| 10 |  | ジョージア、アラバマ、ノースカロライナ、ミシシッピー、メリーランド、デラウエア、インディアナ、オハイオ、アーカンサス各州でヒナの大量死再発、食用油工場からでてくる残り物の脂肪分が原因と推定 |  | 
| 1961 |  | 三西化学荒木工場でPCP生産開始、住民に被害 |  |  | 
| 2,4-D、2,4,5-T混合除草剤、国有林で散布テスト | 
| 大阪府立衛生研究所、食品添加物トリメチルウリルアンモニウム-2,4,5-トリクロロフェノキサイドによる動物実験結果報告 | 
| 1962 |  |  | ベトナムでオレンジ剤(2,4-D、2,4,5-T混合剤)などによる枯葉作戦開始 |  | 
| レイチェル・カーソン「沈黙の春」刊行 | 
| 1963 | 1 | NIP農薬登録 |  |  | 
| 1964 |  |  | ダウ社で、2,4,,5-Tによる職業病多発 |  | 
| 9 | 2,4,5-T除草剤農薬登録 |  |  | 
| 1965-1966 |  |  | ダウ社、ホームスバーグ監獄の囚人による2,3,7,8-TCDDの人体実験 |  | 
| 1965 | 2 | CNP農薬登録(三西化学でも生産) |  |  | 
| 3 |  | ダウの本拠地ミッドランドに2,4,5-Tメーカーが集まり、クロロアクネ、肝臓障害などの職業病の対策会議開催 |  | 
|  |  | ダウ社、自社の2,4,5-T製品中のダイオキシンを1ppm以下の含有量にする(西独の企業より毒性情報入手) |  | 
| 1966 |  |  | FDAが2,4,5-Tの食品残留基準設定 |  | 
| 1967 |  |  | ヒナ鳥水腫事件の原因が飼料中に混入したPCB中の不純物六塩化ダイオキシンと判明 |  | 
| 1968 |  | 2,4-D、2,4,5-T混合剤の国有林での空中散布テスト |  |  | 
| 3 | カネミのダーク油によるにわとり大量死事件(飼料にPCB混入) |  |  | 
| カネミの米ぬか油による中毒事件発生 |  |  | 
| 10 | 米ぬか油の販売禁止 |  |  | 
| 11 | 米ぬか油にPCB検出、中毒原因物質と判明(その後、PCDF、PCQなどの混入も判明) |  |  | 
| 1969 |  |  | バイオネティックス研究所のマウスなどの動物実験で2,4,5-Tに催奇性が見つかる |  | 
| 2,4,5-Tでラット・マウスに奇形発生報告(内部告発) | 
| 1969-1970 |  | 2,4,5-T林地用に大量に空中散布 | ムーア博士らの動物実験で、ダイオキシン30ppmレベルでマウスに奇形発生、0.5ppmでは異常が見られなかった |  | 
| 1970 |  | 東大宇井純氏欧米でPCB汚染報告 |  |  | 
| 5 |  | サイエンス誌上で催奇形報告が論文として発表される(ハーバード大学M・メセルソン博士) |  | 
| 11 |  |  | 仏オルセイの科学者会議にて北ベトナムのトン・タト・ツウン博士がオレンジ剤散布地域の女性に異常児や流産が多発、ダイオキシンが原因ではないかとの被害調査報告 | 
| 1970-1971 |  | 全林野労組2,4,5-T空中散布反対闘争 |  |  | 
| 1971 |  |  | ベトナム戦争枯葉作戦中止 |  | 
| PCPの大量使用がこの年まで続く | 2,4,5,-T中のダイオキシンを0.1ppmのレベルで測定できるようになる |  | 
| 3 |  | 環境保護庁(EPA)除草剤中のダイオキシン含有量を0.1ppmに下げるよう指示 |  | 
| 4 | 林野庁、国有林での2,4,5-T散布中止 |  |  | 
| 5 | DDT農薬登録失効 | ミズーリ州ホースアリーナ事件(廃油散布による土壌汚染で馬の大量死)TCDDが原因であることは3年後に分かる(タイムズビーチ事件の発端) |  | 
| 8 |  | 枯葉作戦中止を公表(ニクソン政権) |  | 
| 11 | BHC農薬登録失効 |  | 東ドイツベルリン「BC兵器、軍縮と科学者の責任に関する世界科学者会議」ユアン・トリン・カオ博士、染色体異常のデータを示し、枯葉剤使用の中止を呼びかけ | 
| 1972 |  |  |  | フランス、ヘキサクロロフェン入りベビーパウダーで赤ん坊中毒(死亡36名、重症23名) | 
| 3 | 三菱サンモント化成、PCB生産中止 |  |  | 
| 6 | 鐘淵化学、PCB生産中止 |  |  | 
| 1973 |  |  | ミシガン州でPCBによる家畜、人体の被害発生 |  | 
| 2 | 三井東圧、2,4,5-Tなどによる人体実験(パッチテスト) |  |  | 
| 12 | 三西化学農薬公害裁判始まる |  |  | 
| 1974 | 6 | PCBは「特定化学物質」に指定され、開放系での使用を禁止 |  |  | 
| 1975-1978 |  | HCB(ヘキサクロロベンゼン)、PCN(ポリ塩化ナフタレン)の環境汚染明らかになる |  |  | 
| 1975 | 4 | 2,4,5-Tの農薬登録失効 |  |  | 
|  | 国立衛生研究所、魚体中の2,3,7,8-TCDDの分析法を報告 |  |  | 
| 1976 |  |  | ニューヨーク州北部ラブ・カナル事件(フッカー社の廃棄物投棄場埋立地周辺でダイオキシンを含む数百の毒物が検出)流産や奇形児誕生の多発が発端、1960年代にすでに埋立地住民の流産発生率は50%に達していた |  | 
| 7 |  |  | イタリア、セベソ、ホフマン・ラ・ケッシュ社イクメサ農薬工場爆発事件(2,4,5-Tプラント爆発、2,3,7,8-TCDDによる被害発生) | 
| 1977 |  |  | ダウ社のミッドランド工場周辺の水系で、魚介類が2,3,7,8-TCDDに汚染されていることが判明 | オランダ、オエリらが都市一般焼却場3つのフライアッシュや煙道ガスよりダイオキシンを検出 | 
| スイス、ブザーらがチューリッヒの一般都市焼却場と産業用焼却場のフライアッシュ中よりダイオキシンと児ベンゾフランへの定量分析を実施、PCBの酸化による児ベンゾフランの生成、クロロベンゼン類の酸化によるダイオキシンの生成を確認 | 
| 8 |  | オレンジ剤230万ガロンを太平洋上で焼却(バルカナス号使用) |  | 
| 1978 |  | 東京都の水道水にCNP検出と学会発表(以後、各地の河川水、水道水からCNP検出) | オレゴン州アルシー地区(2,4,5-T空中散布)での流産多発、流産体験者たちの環境行政告発、元高校教師が自前の疫学調査を行い、EPAに徹底的な調査依頼を行う |  | 
| 東京湾の魚介類からCNP検出の報告(以後、各地で汚染の実態明らかになる) | 
| 1 |  |  | スウェーデン、PCP、TeCPの木材処理剤使用許可を取り消し | 
| 6 |  |  | スウェーデン、ハリングはスウェーデンの6つの病院看護婦たちが出産した子供の中に奇形が増大していることを報告、消毒石鹸に含まれるヘキサクロロフェン中の不純物TCDDとの関連に注目 | 
| 8 |  | ラブ・カナルの汚染実態が明らかになり、239家族(130人)が立ち退き | オーストラリアシドニー郊外の産業廃棄物処理場から30kgにもおよぶと思われるダイオキシンが発見される(2,4,5-T製造のユニオン・カーバイト・オーストラリア社が1949年から1976年まで投棄していたことが判明) | 
| 11 |  | ダウ社、ダイオキシン自然燃焼発生説を提案 |  | 
| 1979-19981 |  | ヤミ農薬として2,4,5-T山形県などに出回る |  |  | 
| 1979 |  | 京都市のゴミ焼却場のフライアッシュから、ダイオキシン類検出報告 |  | 50pptの2,3,7-TCDD給餌で、アカゲザルに生殖障害 | 
| 2 |  |  | 2,7-ジクロロダイオキシンでマウスにガン発生の報告 | 
| 3 |  | EPA、2,4,5-Tの空中散布緊急禁止 | 台湾で第二のPCB油症事件発生 | 
| 5 |  | トン・タト・ツゥン博士、オレンジ剤による人体被害実態をアメリカで訴える |  | 
| 7 |  | オンタリオ湖、ヒューロン湖の魚介類の2,3,7,8-TCDD汚染明らかとのなる |  | 
| ベトナム帰還兵、オレンジ剤メーカー5社に対する訴訟開始 | 
| 8 | HCB、PCNが「特定化学物質」に指定される |  |  | 
| 12 |  | EPAは、母親たちの訴えを認め、「2,4,5-Tは流産を起こすような胎児毒性を持つ」と断言、胎児毒性を国の行政機関の一つが初めて認めた |  | 
| 1980 |  |  | セベソ事件で、親会社ジボダン社、補償金を支払う |  | 
| 2 |  |  | イタリア、イクメサ工場の管理者、テロリストに殺害される | 
| 4 | 松山市のごみ焼却場洗浄水よりPCDF検出と学会発表 |  |  | 
| 5 |  | ラブ・カナル地区の79家族(2500人)、さらに立ち退き |  | 
| 6 |  |  | スウェーデン、ヘキサクロロフェンの使用を禁止 | 
| 8 |  | ローム&ハース社NIPを自主回収(ラットに先天性異常、発ガンなどの報告) | 六塩化ダイオキシンで、ラット、マウスに発ガンの報告 | 
| 1981 |  | CNP、NIP、X-52などにダイオキシン類の含有が明らかとなる | FDAが2,3,7,8-TCDDで50ppt以上汚染された魚介類の食用を規制 |  | 
| 利根川水系の川魚オイカワから1,3,6,8-TCDD、0.2ppb検出の報告 | 
| 6 |  | EPAシカゴ支局の2,3,7,8-TCDD汚染調査の報告をEPA上層部とダウ社が結託して改ざんさせる |  | 
| 8 | テレビ朝日「ベトナム枯葉作戦の傷跡」を放映 |  |  | 
| 1982 | 6 | CNP(MO)追放の全国運動始まる、NIP農薬登録失効 |  |  | 
| 9 |  |  | セベソの2,3,7,8-TCDD汚染土2.2トンがフランスに持ち込まれ行方不明 | 
| 12 | ヘキサクロロフェンの環境汚染明らかになる | ミズーリ州の2,3,7,8-TCDD汚染、ふたたび問題となる |  | 
| 1983 | 1 |  |  | ベトナム・枯葉剤に関する国際シンポジウム開催 | 
| 2 | 宮城県産のシジミに1,3,6,8-TCDD、39ppb検出 | ミズーリ州タイムズビーチの2,3,7,8-TCDD汚染、300ppb(許容量1ppb)で、町ぐるみ立ち退き |  | 
| 4 |  |  | セベソ事件の刑事裁判開始 | 
| 5 |  |  | セベソの汚染土壌、北フランスで発見される | 
| 6 | 五大湖からの輸入ワカサギがダイオキシン汚染の疑いで一時出荷停止 | ダウ社、ミッドランド周辺のダイオキシン調査に300万ドル支出決定 |  | 
| 6 |  | アメリカ、ニュージャージー州ニューアークで、2,3,7,8-TCDD汚染判明 |  | 
| アメリカ医学会、レーガン大統領、ダイオキシン汚染問題の鎮静化を訴える | 
| 7 | 三西化学、操業停止 |  |  |