『インストール』の色々

パソコンに何かソフトをインストールする。多かれ少なかれ誰もがやっている事だろうけど、この方法や常識はOSによって随分と違うのである。

そこらでNECやら富士通やらのパソコンを買ってきているだけではわからない「インストールの色々」について書いてみたい。

メニューからチェックするとインストール

OSのメニューに組み込まれているもの。最近増えてる。

コントロールパネルのメニューとかで「これ追加ね」とチェックするとインストールされるもの。わりと定番。昔はこれチェックしてメーカーのCDROMを挿していたわけだけど、最近はチェックするとネットから自動インストールするケースも少なくない。Webアプリのように指定サイトから落とす形式もあって、そういうのはQNXでもBeでも見られた。

こういうのはWindowsで有名だが、実は最も激しくこれらを採用しているのはUNIXやLinuxの類である。もともとUNIXは「ネットありき」のOSである事、OS本体までネット配布するという形式が主流である事からこの方式に大変馴染みがいいからである。たとえばDebian GNU/Linuxデスクトップの場合、数万以上の好きなソフトをこの方法でメニューからマウスクリックでインストールできるようになっている。

大変便利な方式であるが、性能のよいパッケージシステムが必要だったりするし、オフィシャルに認められていないパッケージやソフトを使う時は相応のリスクもある。

なお、オンラインアップデートのついでに色々とインストールする方式はWindowsの悪癖のように言われるが、Windowsの専売特許ではないと思う。Debianですら、デフォルトでは確かにNoになっているとはいえ「人気パッケージの調査」などのためのパッケージを入れていいかと質問されることがあるし、他のOSでも大人の事情で入るソフトは結構ある。邪悪さが比較にならないのも事実だけど、商売で売ってるWindowsで「ただ乗り」を締め出したいという気持ちがあるように、非商用OSだって人気パッケージやオーナーの趣向を知り力の配分を決めたい事はあるはずだ。特にユーザー層が巨大になりすぎるとサイレントマジョリティが増えすぎて動向が掴みにくくなるものだから。

パッケージをオーナーが入手してインストール

店頭で『筆まめ』を買ってくるとか、ネットからソフトをダウンロードしてきてインストーラをクリックするなんて方式だ。これまた自動方式と同じくらい一般的。私もかつて、db/NOTEなどのUNIX用ソフトを買っていたし、無料化される前のLinux版Operaの正規ライセンスユーザーでもあった :D

システム内部が汚れてしまう可能性があるのできちんと管理しないと大変なことになるけどね。

ソースコードをもらってきてインストール

こんなこと書くと知らない人は凄い奴と思うかもしれないが、UNIXな諸賢はご存知のように全然凄くない。なぜならconfigureとかmakeとか便利なものがあって、ほとんど何も考えなくても定型処理をするだけで多くのソフトはコンパイルできてしまうからだ。

さらにいうと、このへんとパッケージシステムを組み合わせた凄いシステムもある。そういうコンピュータでは『Firefoxをインストールしろ』と指示すると、Mozillaからソースコードをもらってきて必要なパッチをあて、環境にあわせて設定をいじった後コンパイル、さらにパッケージを作成してそれをインストールという一連の操作をコマンド一発で自動処理してしまう。コンパイルに時間がかかるという問題点を除けば、最高のパフォーマンスと安定性を得ることができる凄いやりかたなんである。そこまでするかという話もあるが、こういうのは単車のチューニングと同じだ。どうせなら速くて安定しているに越したことはない。

ただし例外も勿論ある。たとえばLinux上での利用をまるで考慮してない特殊なソフトや古いものをLinux上でコンパイルする時。今時のソフトではまず出会わないけど12年前にはむしろそっちが普通だった。xmultiもEmiclockもdinoxもみんなである。

これは確かに面倒なんだけど、その場合「あきらめてよそを探す」という選択肢も普通のソフトは大抵可能。また大いに勉強にもなるので、時間があればぜひやってみてほしい。