一口にアイヌ語と言いましても、日本語と同様に地域によって方言があって、ずいぶん違いがあるようです。
服部四郎氏・知里真志保氏の方言研究では、各地の基礎的な単語200語をもとにそれぞれの方言がどことどれだけ近いかが明らかにされました。
語彙的には以下のような類似性があることが明らかにされました。数字はパーセントです。100に近いほど方言が近いことを表します。
浅井亨氏はこの研究をさらに進め、図2のような方言を大きなグループに分けることに成功しました。大きく分けると樺太・北海道・千島の3つに分けられるそうです。北海道をさら分けると4つのグループに分けられるようです。
このことから明らかなように、様似の近辺のアイヌ語は北海道の4つのうちの1つの方言を形成しているようです。あまり研究は進んでいません。
服部四郎、知里真志保「アイヌ語諸方言の基礎語彙統計学的研究」日本民族学協会編集『民族学研究』Vol.24,No.4 1960
服部四郎編『アイヌ語方言辞典』岩波書店1964
浅井亨「Classification of Dialects: Cluster Analysis of Ainu Dialects」(方言の分類「アイヌ語諸方言のクラスター分析」)『北方文化研究』第8号北海道大学1974