[アイヌ文化のページ] [様似アイヌ語教室] [様似アイヌ語教室2000]
様似アイヌ語教室2001.01.21 
バスに乗ってアイヌ語地名
日高東部

■サマニ 意味不明

 秦  シヤマニというアイヌメノコの名

 上原 わからず

 松浦 カワウソ、シャン・マニ高山・ある、女がここから泳いだ故事。

 永田 エサマニesaman-i カワウソ・ところ、

 山田 saman-i 横になっている・もの

 ※ e-saman-pet頭・横になっている・川

■エンルム enrum 岬

■キリシタンナイ 

 松浦 「キリシタン。本名キリイカシと云ふ。

      また切支丹宗の昔有しともいふ。是より満潮の時は山道あり」

 山田 kir-ika-ush-i キリが・越え・ている・ところ

    キリはところによって

        「山」あるいは「キロルkir-o-ru足・入る・道→踏み分け道」

■フンベエトゥ hunpe-etu鯨・岬(鼻)

■ウンベ 意味不明

 フンベ(クジラ)hunpeがウンベunpeになったことだと言われているが、単語の頭にhの音の入る傾向の強いアイヌ語様似方言の特徴から考えるとおかしい。また、江戸時代の記録では「運別」となっている。他の地名ホタフンベもフンベエトゥもフンベのままである。

■ホタフンベ hota-hunpe砂・鯨

■ウトマ utumam--pet抱き合う・川

■ホロベツ poro-pet大・川で、poru-pet洞穴・川は後に考えられたものだろう。

■ツキサム チ・キサ・プchi-kisa-p我ら・こすった・もの

   木片をこんで火をつくったチ・キサ・ニ(ハルニレ)に関係した地名。

   チキサニ・カルシを浦川タレ媼は採りに行ったという。

■チノミ chi-nomi-shir我ら・礼拝する・山(礼拝の場所であった山)

■ウロコベツ 

 松浦  ウロベツ草を刈り干すなり

 永田  ウルッコ・ベッ ウルッコ魚の・川

■ウラカワ 

 松浦  ポン・ナイpon-nai小・沢

     ポン・ナイ・ノッpon-nai-not小・沢・岬

■ムコウベツ 意味不明

 上原  モ・クチ静かな・窪(モ・コチ)

 松浦  「静かに寝らるる」モコル・ペッ眠る・川

 永田  ムク・オチ  ツルニンジン・あるところ

 

■イカンタイ i-kar-raniそれ・をまわる・坂

■エブエ エプイつわぶき(ぽこんと盛り上がったような山のことも言うことがある)

    様似町鵜苫在住の山崎さんの話では、今より内陸部を指した地名だという(2001.01.21)。

■元ウラカワ

 上原 ヲラカ腸

 松浦 ウラカ雲靄立上る

 永田 ウララ・ペッ霧・川、ヲラリペツ沙深き川

 秦  ヲラカ鹿腸

■元ウラカワ市街

 トゥク・ミンダラできた・庭

 キナ・チャ・ウシ草・を刈る・ところ

■オギフシ

 o-ni-ush-iそこに・木が・立っている・ところ

 o-ni-ush-i川尻に・木が・立っている・ところ 

■ケリマイ

 keri-oma-p履き物・ある・ところ、

 kero-oma-pヒザラガイ・ある・ところ、

 keni-oma-pヒルガオ・ある・ところ

 様似町在住の角田さんの話では、ヒルガオがたくさんあったところだという(2001.01.21)。

■ホンギリ pon-ケリマイ川

■ミツイシ

 秦  ミトゥシmitush 樺皮の桶

 上原 ニトゥシnitush 樺皮の桶

 松浦 三つの大暗礁

 永田 エマニッ・ウシ i-ma-nit-ush-iそれ・を焼く・串が・ある・ところ

■ブシ push-i 破って吹き出す・もの

■ウバフ  意味不明

■トウベツ toi-pet食土川、chi-e-toi我ら・食べる・土

■ハルタチ haru-ta-ush-nai食料を・採る(掘る)・いつもする・沢

■元シズナイ 意味不明

 上原 シュツ・ナイ shi-hutchi大・祖母

 永田 シ・フッチ・ナイ shutu-nai ブドウ・沢

 北海道駅名 シュッ・ナイshut-nai 麓・川

 

■東シズナイ 捫別川mo-pet静かな・川

■アザミ川(和名か)佐々木家の出の者によればアジャンミ(私の住む村)

■ウラワ ウラ川urar霧

■ウセナイ 川の名で意味不明

 野作東部日記 ウセ・ナイ 出・沢

 永田     ウセイ・ナイ 湯・川

■シズナイ

 シビチャリ

  秦 シベ・チャレベツ鮭・晒

  上原 シビチャリshup-sar葭の・草原

  松浦 シベチャリブト、シベ・イチャンshipe-ichan鮭の産卵場

 ホマリモイ

  ホマル・モイhomar-moi薄ぼんやりしている・入江

■ゲバウ(←ピパ・ウシ)


日高西部

■ウラリ川 uraiやな

■ニイカップ ni-kap木の・皮、pi-pok岩の・下

■セップ  sep広きところ

■オオカリベo-kari-pe川尻が・回っている・もの

■トド岩(和名)

■アツベツ 意味不明

 秦  アツベ。アプペツ。屈曲鉤

 上原 アツベツ群れる川

 松浦 アツ。群れる。ニレ多き。モモンガがいる。

 永田 アプ・ペッ。釣・川

 アクペakpeわな、アプap釣り針、アッatごちゃごちゃいる、アッatオヒョウの皮、 アッatモモンガが・・・

■厚賀(厚別+賀張)

■ガバリkapar-shirar平べったい・岩

■清畠(ケノマイ)ケノマイ川 ken-oma-iヒルガオの根・ある・もの

■豊郷(ハエ)ハエ川、haiイラクサ。hai-un-kur, sum-un-kurのオニビシの地

■モンベツpo-pet静かな・川

■サルshar葭原

■トンニカtun-ni-kar柏・の木・を採る、tun-ni-ka柏・の木・の上

■富川(サルプト)saru-putu沙流川・の口

■ビラカpira-ka崖の・上


胆振東部

■ムカワ 意味不明 

 上原・松浦 ムカ    水の湧く、

 永田    ムク・アプ ツルニンジンのあるところ

 バチラー  ムカ・ペッ  止められる川

 北海道駅名 ムッカ・ペッ ふさがる川

 「ムカ」「ムッカ」

■汐見(チン)?獣皮をほすところ

■宮戸(イモクペ)imokpeえさ、みみず

■イルシカベツirushka-pet怒る・川

■アツマ 意味不明

 at-maモモンガ・泳ぐ,at-oma-pオヒョウ・ある・ところ

■ユウフツi-putuそれの口

■アビラ川ar-pira片側・崖

■トアサto-asam沼の・奥

■沼ノ端(和名)

■ウツナイフトut-nai-puto肋骨・川・口

■ウトナイト沼ut-nai-to肋骨・川・の沼

■ウエナエwen-nay悪い・川

■トマコマイ 

  mak-oma-i 後ろに・ある・もの、 山の方・に入っている・川

  to-mak-oma-i 沼のある・マコマイ川

■ウス川 意味不明

■糸井(←コイトイ)koi-tuye波が・崩す

■錦岡(←ニシタップ)意味不明 ni-us-tap木・多い・山

■オボウ川 意味不明

■タルマエ川taor-oma-i高岸・ある・もの(地形より)

■ベツベツ川pet-pet川川

■シャダイsha-tai-pet浜側の・林の・川

■ポロトporo-to大沼

■シラオイ 

 永田 シララ・オ・イ潮汐・多き・ところ、

    シラウ・オ・イ虻・多き・ところ

 松浦 シラウ虻。

   宮本エカシマトク翁によると虻の多いところらしい。


参考文献

山田秀三『北海道の地名』(草風館)2000年