様似地方のアイヌ語植物名〜『アイヌ語様似方言の研究(1)』から〜
■様似の岡本ゆみさん・繁田ミツさん・相川コトさんの植物のアイヌ語、様似で知里真志保氏の採集した植物のアイヌ語と取り上げながら、形状・他の地方との比較・植物の用途・それにまつわる物語をまじえて、専門家の立場から詳細な解説をいただいた。
■また、『アイヌ語様似方言の研究(1)』の語彙集から植物に関わる用例を引いて、様似方言の特徴についての文法解説・簡単な作文をされました。語彙集の活用法についての示唆を受けました。
■その他に、アイヌ語の数と数え方について
テキストから
■アイヌ語植物名については、様似方言の語彙集のページを参照下さい。
植物の主な部位の名称
花 ノンノ
葉 ハム/ハムフ
皮 カプ/カプフ
根 シンリッ/シンリチヒ
鱗茎 イマク/イマキヒ
木の実 ニイペ、ニカオプ
枝 テク/テケヘ
■植物名を含むいくつかの文例
ペウレ プクサ タネポ トゥク。
若いギョウジャニンニクが今生えだした。
タネ tane (もう何かした)今
タネポ tane-po ちょうど今
プクサ サル アシ ナンコン ナ。
ギョウジャニンニクがカヤがおがるようにたくさんおがんなさい。
nankor na → nannkon na 単語のつながりで発音がかわっています。
△一つの名詞として解釈プクサ サル (pukusa-sar)ギョウジャニンニクがカヤのように
△一つの動詞として解釈
サル アン(sar-as)カヤのようにたくさんおがる
エキムン マカパン ワ トゥレプタアン ノ。
山へ行ってウバユリを掘ろうよ。
エキムンe-kimun 川上の山の方へマカパンmakap=an マカプ登って行く アン私たちは
様似方言風の2つの例文turepta=an no! ウバユリほりしましょう。 △自動詞による表現
turepta an=ta no! ウバユリをほりましょう。 △他動詞による表現
数字の言い方・数え方
江戸時代の数学者の考えたアイヌ語の数字の言い方
アシキネツフ イカシマ ワンベ エアルワ ノホッ イカシマ ツシネワノホッ=535
こんなふうに大きな数を言い表すことができますが、実際にアイヌが数を数えるときはこんな長ったらしい表現は使いませんでした。
様似民族文化保存会『アイヌ語様似方言の研究(1)』(北海道ウタリ協会様似支部)
知里真志保『知里真志保著作集』(平凡社)
使用教材