今年も学芸会の季節になりましたので観に&撮りに行って来ました。小学校では長女達3、4年生の器楽演奏「レイダースマーチ」が大変上手でした。バンドというのはすべからくそういうものですが、演奏の出来というのはなによりもまず「打楽器パート」にかかっているものです。打楽器がちゃんとしたタイミングで入っていればメロディーが多少間違っていても曲に聞こえますし、神様から人と少々違ったリズム感を授かったお子様がタイコを与えられてしまうと、これはいくら他の子供達が上手でもまるでダメです。音楽の先生はぜひ「鍵盤が苦手な子は打楽器」という既成概念を捨てて打楽器パートの選抜に当たるべきだと強く思います。
次女たち2年生のクラスでは「くじ引き自動販売機」という近未来劇をやりまして、次女は「ラーメンの自動販売機」に扮しました。どういう演技だったかと言うと、劇中ほとんど「箱の中でじっとしている」という難しい演技でした。あの天才北島マヤも人形に扮して失敗しましたが、心のない「モノ」の演技はさぞかし大変だったことでしょう。ちなみに母親としては我が娘が入っているであろう「箱」をビデオカメラでアップにしてみたりもしましたが、どうも映像的に動きがなさ過ぎて面白くなかったので結局よそ様の子供ばっかり撮ってました。なんだかな〜。
保育所は町内7つの季節保育所が合同で発表会をするので、結構な人数が集まる大舞台です。ウチの子らが通う保育所では長男が主役で「浦島太郎」をやったのですが、母親としては子供の一生懸命な演技を純粋に楽しみ誉めてあげたい、と思っているのですが、皆さんご存じのように「浦島太郎」というのはもともとが「伝説」であるため大変にエキセントリックなお話。照明係をやりながら頭の中で「3年も遊びくさってたんかい」「海で行方不明じゃ両親はとうに諦めてるって」「なんでそんなもんが“みやげ”かっ!」「受け取るなっ!断れっっ!」と「突っ込むべきところ」できっちり突っ込んでいたため大変疲れました。その後、この釈然としない気持ちをなだめようと浦島伝説をネットで調べてみました。この伝説は日本のあちこちにあるようですが、香川県や神奈川県などの「海のある県」のみならず、内陸の長野県などにも残ってるというのが面白いです。やはり伝説は「言い張ったもん勝ち」なんでしょうか。さらに調べていくと意外なことに浦島伝説の原本である「丹後風土記」では、浦島太郎はUFO(なるほど亀に似てる)に乗って宇宙へ連れて行かれたと解釈しうる記述になっているそうです。亜光速で移動すれば「ナントカの理論」によって向こうの3年がこっちの300年ということにもなるんだそうですし、「玉手箱」からは「乙姫の声が聞こえた」とあるそうですから、これは「通信機」であろうと。こうなってくると気になるのがやはり「天上人」の出てくる「竹取物語」ですが、作者は不詳ながらこっちは伝説ではなく、小説なんだそうです。昔話もこういう視点で調べてみると面白いもんですね。もちろん、毎年毎年子供の学芸会をここまで演繹する自分自身もえらく面白いと思いますが。
さて、保育所合同発表会では各保育所の「年長児」だけで合唱をするのが恒例となってまして、ウチの長男も参加しました。曲目は「クラリネット壊しちゃった」と「はたけのポルカ」の2曲でした。前者はみなさんご存じの曲ですが、やはり「オーパキャラマド」って、何それ? と思ったので調べてみましたが調べがつかず、「あまりの出来事にパニックになってしまい、何を口走っているのかわからない状態」を表しているんだろうなあ、やっぱり昔の父親はそれほど怖かったんだなあ、と自分なりの結論を得ました。さて2曲目の「はたけのポルカ」というのは初めて聞きましたが、これがまた素晴らしく釈然としない歌詞でした。
1番目の畑にキャベツを植えたら
隣の羊がむしゃむしゃ食べた
畑の周りでポルカを踊ろう
羊を捕まえてポルカを踊ろう畑を荒らしているのはお隣の羊です。お隣とはやはり仲良くしたいものですから苦情は言いにくいかも知れませんが、とりあえず「踊ってる場合ではない」のでは。
2番目の畑にじゃがいも植えたら
隣の子豚がぱくぱく食べた
畑の周りでポルカを踊ろう
子豚を捕まえてポルカを踊ろう隣人は自分の家畜が隣家の畑に甚大な被害を与えているという事実を知っているのでしょうか。そしてなぜこの人は踊ってばかりで抜本的な対策を打ち出さないのでしょうか。この異常な隣人関係は一体。
3番目の畑に小麦を植えたら
隣のにわとりがコッココココ食べた
畑の周りでポルカを踊ろう
にわとりを捕まえてポルカを踊ろう4番目の畑にトマトを植えたら
隣の子牛がくちゃくちゃ食べた
畑の周りでポルカを踊ろう
子牛を捕まえてポルカを踊ろう何かを植えるたびにお隣の家畜が食べてしまう今の状況では農業は無理です。何らかの事情で、お隣には苦情を言えず泣き寝入りするしかない様子。柵を作ろうにもそんな余裕はないのでしょう。もはや「踊るしかない」という絶望的な心情が浮かび上がってきます。絶望の中でもこの一家は出来る限り明るくあろうとして踊り続けます。そして。
5番目の畑に大根を植えたら
見たことないような大根できた
畑の周りでポルカを踊ろう
大根囲んでポルカを踊ろうだから言わんこっちゃない。ついにキレたこの一家は隣の家畜を隣人もろとも皆殺しにし死体を畑に埋めて肥やしにしちゃいました。これでやっと作物が収穫出来るようになりましたが、その畑で出来たのは「見たことないような大根」だったのです。
実はこの歌には「いくら腹が立っても殺してはいけません」という教訓が含まれていたのです。この一家は恐怖のあまりこの大根を囲んで、それでもやっぱり踊るしかないのでした。
今年も親子共々、非常に有意義な学芸会であったことを嬉しく思います。来年はどんな不条理を子供達が提示してくれるのか、またその不条理を解きほぐす過程と最後に現れるであろう「意外な真実」を楽しみにしています。
え?変?誰が?