1996年12月

初めてのMyCarの旅

 夢だったMyCarの旅がやっと実現した。初めてのことともあって、かなりの緊張感。
しかも、一人旅で頼る相手もいない。かなりな不安だったが、どうしても夢を実現したく実行に移した。


12月23日(1日目)

 出発は12月23日北海道は真冬

 冬に車で出かけるのは度胸がいた。しかもその日は猛吹雪。車で出かけるのは命がけ。
でも、考えても仕方がない。度胸を決めて行くしかない。苫小牧まで行けば、そこから先は雪がないはず。

 気合いを入れていった。
 しかし、どこまで行っても猛吹雪。やむ気配はなく道路も渋滞。家を早めに出たものの、苫小牧港に着いたのは、出航の30分前。
何とかぎりぎりで間に合った。


12月24日(2日目)

冬なのに雪がない!?

 わかってはいたのだが、冬の本州は初めてだったので、雪がない冬は不思議な気分だった。
「冬なのに雪はなく走りやすい。しかもこんなにも暖かい。」なんだか春にタイムスリップした感じだった。


ちんたら国道6号線

 せっかくだから、景色を楽しみながらゆっくり行こう。この旅はあてもなく、限られた日数でいけるところまで行く旅なのだから。
そう思いちんたらちんたら国道6号線を走って、とりあえず東京へ向かった。

宿泊はどうしようか・・・

 とりあえず、車に寝泊まりできるように布団は積んできた。
だが、「どうせ東京まで行くなら、川崎のさとしんのところに泊めてもらおう。」と考え、さとしんに電話をした。
「今日泊めてくれ。今仙台。途中のわかりやすいところまで迎えに来てくれ」図々しくも迎えまでこさせた。
来てくれたのはなんといわき市。(なんていいやつだ)おかげで、その後は暇をせずドライブを楽しむことができた。

 首都高に乗ったほかは高速には乗らなかった。仙台を朝9時に出て、川崎に着いたのは夜の9時だった。


12月25日(3日目)


行けるところまで・・・

 どこまで行けるだろうか・・・。本州での距離感は全くつかめないため、目的を定めずただひたすらに走った。

 今日はクリスマス。雪のない暖かいクリスマスは始めての経験で、何か不思議な感じすら覚えた。
道ばたには花が咲いている。所々にみかんがなっている。北海道の冬には絶対に見られない風景。
異国に来た気分だった。


奈良へ到着

 もう夕方になっていた。といっても、北海道よりも日が長い。北海道の冬は3時半になるともうすでに暗いが、こっちの方は5時くらいまで明るい。少し得した気分になる。

「ずいぶん遠くまで一気に来たな。」と思えばもうそこは奈良県。
奈良の山々を見たときには、なぜだろうどことなく懐かしい気持ちでいっぱいだった。初めての風景なのに・・・なぜだろう。





宿泊先に困る

 車で寝ることは決まっていた。布団は積んできている。
だが、車を止めるところが見つからない。北海道であれば、(また北海道と比べてしまうが・・・)どこにでもパーキングエリアがあったり、田舎道にとめたり、あるいは、ドライブインや道の駅、コンビニの駐車場や無料のキャンプ場など探せばすぐに見つかるのだが、こっちはそううまくはいかない。
 なんと言っても、道は狭く、パーキングエリアなどそう簡単に見つからない。コンビニはたくさん見つけたものの、駐車スペースが少なく、とめることができたとしても、車がたくさんで、絶えず出入りして落ち着いて眠れそうにない。

 和歌山まで走ったがとめるところはいっこうに見つからず。
 
 もうすでに9時をすぎ、怪しい車が、ものすごい音を立てて町中を走り回る。和歌山から奈良に戻る途中もずっと怪しい車が後ろをついてきていた。試しに止まってみた。すると、後ろの車も一緒に止まる。「どこまでついてくるのだ!」そう思いながら気にせず走っていた。
 奈良のローソンで再び車を止めた。すると後ろの車も一緒に止まる。しばらくそのまま車の中で待っていたが、自分が降りようとした瞬間去っていった。ほっとした。

 結局泊まれそうなところは見つからず、法隆寺のそばの団地の隅に車を止めそこで寝ることにした。


12月26日(4日目)


古都奈良を楽しむ

 夜は結構寒かった。車の温度計で0度だった。昼間は暖かいが夜は寒い。

 朝起きて、すぐそばにある法隆寺を見学。その後薬師寺へ。空も快晴ですがすがしい中、古都奈良を十分に満喫。

 ところが、ここでハプニングが。
 なんと、めがねが壊れてしまったのである。レンズを吹いていると、フレームがボキッ。めがねがないと運転できない。この後旅を続けることも困難である。思いも寄らぬハプニングであった。
 「これは直さないとどうにもならない。」見えないながらも必死に車を運転し、眼鏡屋さんを捜した。ところが、看板すら見えず、どこに眼鏡屋さんがあるのか全くわからない。だが、運のいいことに、大きなめがねの形をかたどった看板がぼんやりと目に入った。「ラッキー!!」
 すぐにそこに入ったが、修理には日にちがかかるという。仕方がないので、旅行中であることを告げ、やすく新しいのを作ってもらった。
 それでも、1万5千円。いたい出費だった。

 気を取り直して、見学を続けた。次は、平城京跡。何にもなくただだだっ広いだけ。それでも、そこに平城京が存在したことを想像し、頭の中は昔の世界へタイムスリップしていた。

 そして、奈良公園。修学旅行できた記憶はあったが、しっかりと見た記憶がほとんどない。ただ、ガイドさんに案内され歩かされたという記憶だけ。今回は、自分の足で歩き、自分の目で見、自分の意志で楽しみたかった。
 大仏様の大きさに再び驚き、二月堂を見学し、のんびりと鹿と戯れながら公園を一周した。残念ながら正倉院宝物殿は休館日だったので見ることができなかったが、3時間くらいかけて、ゆっくりと昔のままのなら公園を楽しんだ。

 そうして日が暮れる。丸一日奈良の街をゆっくりと楽しんだ。この街にいるだけで、昔にタイムスリップした感じで、すごく落ち着いた雰囲気であった。すごくいい街だった。

 次の日は京都へ行くことにした。また、寝るところを探すのに一苦労だった。

12月27日(5日目)


京都を満喫

 山の中をあちこち走ったが、どこも車が多く、落ち着いて眠れそうな場所はなかった。結局、平等院の駐車場に鎖がかかっていなかったので、そこでとめて寝ることにした。

 次の日の朝、しっかり駐車料金を取られた。

 そして、平等院を見学。ここも昔修学旅行の自主研修の時に来たことがあったが、再び訪れてみた。もちろん昔とは変わっていなかった。
ビデオ撮影をしていたら、おこられてしまったので、少々いやな思いをしてしまったが、自分が悪いことに反省をし、次に向かった。

 清水寺そして、金閣寺、銀閣寺、嵐山とまさに修学旅行コースをたどったが、自分の足で歩く旅は、また格段と修学旅行とは違うものであった。
 
 もう年末ともあって、どこの寺院も大掃除などの正月の準備をしていた。さすがに観光客も少なく、のんびりと回ることができた。

 そうこうしているうちにすっかり日も暮れ、比叡山に行ったが、結局何も見ることができず、そのまま琵琶湖に降りて、静かな浮御堂を見てこの日は琵琶湖の横のコンビニの駐車場で泊まった。(宿泊場所を探すのはもう大変なので、少々騒がしいのも我慢することにした。)


12月28日(6日目)


山陰ドライブ

 まだ、ちょっと日にちはある。「どこまでいけるか」の挑戦はまだ続いた。今度は山陰方面をひたすら走った。海を右手に見ながら走る山陰はそれはそれはきれいだった。

 ところがまたここでハプニング!!カーナビの電源が消えてしまった!!
 ずっとカーナビに頼って走ってきた自分にとっては、これがないと、パニックを起こしてしまう。
すぐに車を止めて、検査に入った。原因は分からなく、なかなか直らなかったが、リセットボタンを何回か押しているうちによみがえった。不幸中の幸いである。
 そして再び運転を再開した。

 朝、琵琶湖を出、夕方には鳥取に到着。せっかくだから鳥取砂丘を見た。でも見ただけ。すぐに戻ることに。

 ここで驚いたのは、北海道のラジオがこんなところまで聞こえてきたこと。何気なくつけたラジオが、北海道のSTV局。
懐かしくもあり、かなり遠くまで来たのに、北海道にいるような感覚にもなり何となく変な感じがした。

 帰りは一気に東京へ向かうが、結構遠い。高速を使ったのだが、大阪では渋滞。
しかも年末ともあってトラックばかり。夜中まで走り続けたが、ほとんどがトラックばかり。というか、本当にあのトラックの量には驚いたし、排気ガスが車の中に入り、具合が悪くなるほどだった。
 もう耐えられなくて、泊まったSAは牧ノ原。ものすごく広いSAに驚いた。

 そのとき気がついた。「SAに泊まることができたんだ・・・」

 12月29日(7日目)


川崎のさとしんのうちへ

 川崎のさとしんを迎えに行き、そこから北海道へは一緒に帰った。
 ところが帰るにはまだ早い。「おい!どこかつれて行け!!」といったところ日光に案内してくれた。

 いろは坂、華厳の滝、東照宮を見、そして、鬼怒川の温泉に泊まった。
日光は猿が印象的だった。温泉は和風で風情のある味のある温泉だった。


12月30日(8日目)


そして北海道へ

 鬼怒川で「東部スクエアワールド」を見学し、世界旅行を楽しんだ気分に浸り、そのまま仙台へ。
もうすぐ長い初めてのマイカー旅行は終わろうとしている。


12月31日(9日目)


銀世界北海道

 北海道は一面銀世界。今までのことはまるで夢のよう。どこか違う世界に行っていたような感じだった。

 おかげで旅の間はすべて快晴で、すばらしい旅をすることができたし、北海道に帰ってきて現実に戻った感じがしたものの、北海道の良さも改めて感じることができた。

 自分の住んでいる土地を改めて見つめ直すきっかけを作ってくれた旅。そして、いろんなところにいろんな歴史や文化がある日本。本当に、いろんなことを勉強することができた。
 自分の住んでいる日本。本当にすばらしいものがたくさんである。

 もう、こんなに長い旅をすることもないのだろうな・・・と思っていたものの、またすぐに・・・新たな旅が訪れるのでした・・・


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