2005年
・・・【台湾雑記帳】               
【台湾雑記帳】  1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/      
【台湾雑記帳】 その1     

直近で台湾へ出かけてきたのは、思い出してみると今年の5月下旬の
ことでした。いつ頃出かけたか、あるいは今年は何処へ何回出かけた
のか、最近はすぐに忘れてしまうことが多くて、困ってしまいます。

4月下旬には香港・中国へ行っていましたので、それから1ヶ月しか
間がなく、こんなに間隔が無いと、「愛茶人」のお店もこの春はずい
ぶんとお休みばかりしていた事になります。

幸い、こうした「愛茶人」のお休みパターンは永年のことなので、お
馴染みのお客様はそのへんを心得ていて下さって、帰国するとご注文
メールがしっかりと貯まっており、いつも感謝している次第です。

殆ど一人企業でやっていますので、お休みは本当に取りにくいのです。
ご注文いただいても、すぐにお届けできません。
旅行の際は、いつもご迷惑ばかりおかけする事になっています。
お客様は神様です!

本題回帰。

今回の台湾行きは、初めてパッケージ・ツアーに混じって行ってまいり
ました。
こちらは仕事ですので、自由度の少ないツアーに混じって海外に行く
ことは基本的にはしないのですが、今回はそんなに用件が多くはなく、
また、これまで台北の観光ルートをまわったことが無かったこともあ
り、この際ちょっとだけ観光して見たいと思ったのが動機その1です。

ツアーのほうが費用が安く、ホテルまでの送迎もあるし、帰国日の朝に
寝坊しても起こして貰えるかも知れないという期待、これが動機の2と
3と4です。
実際、一人で海外に出て、何から何まで自分で処理しなければならない
というのは、もう慣れたこととはいえシンドイのも事実で、今回はちょ
こっと楽をさせてもらいたいという、そんな下心でツアーを選んだ次第。

新庄選手がホームランを打ったら格安!! という企画でやっている
会社のツアーでしたので、ホントに価格は安かったです。
格安航空券の台湾往復よりもはるかに安いのは嬉しかったです。
一人部屋の追加代金を加えて、ほぼ同額。
できれば格安航空券をもっと格安にして欲しいものです。

エバー航空の千歳・台北直行便が飛ぶようになって、何年たつのか知り
ませんが、この飛行機にはここのところ随分と乗せて貰っています。

直行便がなければ、成田・関空経由の旅は、北海道からは一日がかりの
移動になってしまいますので、午後4時過ぎに飛び立って、向こうの夕
暮れ時に到着する直行便のパフォーマンスは最高です。
機内食が多少お粗末なのは常々感じますが、贅沢は言ってられません。
感謝感謝。

千歳からの台湾便の乗客は、その殆どが台湾人といってよいくらいで、
台湾での北海道人気がよく現れています。
また、この直行の定期便以上の便数が、チャーター便として千歳・函館
・釧路にも毎日のように台湾人観光客を乗せて飛んで来ていることは、
北海道の人間でもあまり知らないことですが、事実です。

台湾人観光客を乗せるため仕立てられたチャーター便については、日本
人の乗客を募集していませんので、どういうパターンで飛んで来ている
のかその実態は我々日本人にはわかりません。
便数の多さから考えると、ほぼ定期便に近い状態で、往復しているので
はないかと思われます。

札幌の狸小路やススキノ、あるいはヨドバシカメラあたりで、大勢の
台湾人をよく見かけるのは、こうしたチャーター便が沢山来ているた
めかと思われます。
北海道の宿泊地として有名な、登別温泉や洞爺湖温泉の宿泊客も、
台湾・中国・香港・韓国人を合わせて、相当の数を占めるのが常態とな
っているようです。

アジア人のパワーは本当に凄いですね。
バブル以降、日本人のパワーは相当に低下しましたが、隣国の人々の
パワーをその分だけ余計、感じてしまいます。


【台湾雑記帳】 その2    

今年5月の台湾行きは、初めてパッケージ・ツアーに混じって行ったと
いうことで書き始めましたが、ツアーにつきものなのが団体での観光。
今回の旅行の台北到着は夕刻ですので、翌日まる1日が定番の市内観光
にあてられています。

忠烈祠、中正紀念堂、故宮博物院(現在は大規模な改修中で、展示は
大幅に縮小されています。初めて見に来られた方には非常に残念な状
態でした。終了迄にはまだ時間がかかりそうです)といった台北市内の
代表的な観光スポットなどをバスで回りました。

一人で来た時に行った事のあるところも、ガイドの解説付きで見て回る
のはやはり格別です。団体ゆえの煩わしさは多少あるわけですが、細か
い情報は、ベテランの現地ガイドにまさるものはありません。
団体旅行の最大のメリットですね。現地へのアクセスも自分で考えなく
て良いので安心で確実です。

ただし、土地勘をまったく働かせなくてよいので、初めての方の場合に
は、その場所の位置関係がつかめず、名所自体も記憶に残りにくいのも
事実ですが。

そんな観光の合間には、当然ながら、お土産屋さんなどの施設に立ち寄
ることになります。そういうところに用の無い人間には、とっても無駄
な時間なのですが、ツアーを成り立たせるための前提条件となっていま
すのでおつきあいせざるを得ません。

今回も、いろいろな販売施設に立ち寄りましたが、この中で一番面白か
ったのは、中国茶のショップへ立ち寄った時のことです。
同業のこととて、とても興味がわきます。

場所は台北の中心部に近いところでしたが、バスであちこち回って到着
しますので、皆さん、どこいらへんに着いたのかは分からないといった
塩梅です。かなり大きな施設(お店)ですが、個人のお客さんが普通に
立ち寄るお店という雰囲気とは、ちょっと違っています。
特に、中のほうは日本人の団体用にこしらえた造作のようで、本当に広
いこと広いこと、100人以上の団体さんでも、座らせてレクチャーでき
るほどの広さ。お店というより、特別な施設という感じでした。

台湾のお茶屋さんですから、基本的には凍頂烏龍茶などが中心の話にな
るのかと思い、役に立つお話が聞けるのかなと思いましたら(入り口す
ぐのところには、凍頂烏龍茶のコンテスト入賞茶の額や、箱入りの高価
な商品など飾ってあります)、それは殆ど無くて、どういうわけか
「餅茶 びんちゃ」のお話が中心となっていました。

各テーブルに置かれた、通常見かける「雲南七子餅茶」よりもふたまわ
りくらい大きく、立派な布袋に入ってさらに箱入りの餅茶です。
聞いていると、ダイエット効果の話が中心で、その点をアピールしたい
ようでした。中国茶とダイエットというのは、イメージとしても結びつ
きは強い物があります。特に日本人向けということもあるのでしょう。

おじいちゃん店主の、熱のこもった話が続き、聞いている私たち観光客
には、説明にあわせて凍頂烏龍茶・菊花入りの黒茶などなど、各種のお
茶が振る舞われます。
テーブルの間を、台湾のおばちゃん店員が多数、めまぐるしく駆け回っ
てサービスしてくれます。団体客が入ると、いつもこんな具合に接待す
るのかと、興味深いものがありました。

さて「餅茶 びんちゃ」のほうですが、店主が最後に価格を発表します。
一枚、16000円。凍頂烏龍茶を3本と、その他いろいろおまけを付けて
先着十名のみ、16000円ということです。

確かに重くて(たぶん600グラムくらい)立派そうな「餅茶 びんちゃ」
ですが、年代物でもなさそうなのにかなり高いので、殆ど手をあげる人
はいないのかと思いきや、なんと、15人近い人が我れ先にと手を挙げて
います。ちょっと、催眠商法の現場に立ち会ったような感覚。
観光客のお土産を買いたいという意欲を、見事にキャッチしたセールス
でした。

台湾には、烏龍茶や「からすみ」、パイナップル・ケーキといった古く
からある商品以外、特にこれといったお土産があまり見当たらないこと
もあり、店主の甘い誘いは、思いのほか効果的のようでした。
店主のパワーにも脱帽しました。



【台湾雑記帳】 その3    


前回はツアーで台湾のお茶屋さんに立ち寄った時の話でしたが、
今回の観光コースではこの他に、台湾の各種商品を揃えた大きな
お土産屋さんや、足つぼマッサージ店などにも連れてゆかれまし
た。

1日のはじまりは、比較的純粋な観光地巡りではじまりつつも、
徐々に営業目的のお店へ重点的に連れてゆこうというのがツア
ー観光の一般的なパターンですが、今回もご多分に漏れずそん
なコースとなっていたようです。

特に最後に連れられて行かれたマッサージ店さんなどは、当初の
話とは違って全員がマッサージを受けなければならない状況に押
し込められそうになりましたので、こちらとしてはさっさと逃げ
出して、1時間ほど周辺を一人で観光しておりました。
いろいろ歩いたあと、喫茶店でコーヒーを飲んでもまだ時間があ
まりましたので、マッサージ店にはほぼ1時間ほどの貴重な時間
があてられたようです。

マッサージ店(施術院というような病院のような雰囲気ですが)
周辺を歩いてみると、台北に来た時にはいつも一人で歩くコース
の近辺であることに気がつきましたが、バスで連れてこられる限
りでは、まったくどのあたりなのかわからないものです。

とにもかくにも、ツアーの観光で市内を回るというのは、やはり
このような物かと、再度確認したような次第ですが、一回くらい
はいろいろな意味でこうした行程でも楽しんでみるのもいいのか
も知れません。
ただしその土地が二回目ならば、自分で好きな所だけ目指して
観光でも買い物でもしたほうが、時間(イコールお金)の節約で
あることは間違いありませんね。

閑話休題

私が台北を訪問した時に、仕事の関係で通常訪れる場所は・・・

1.市内のお茶屋さん等2、3箇所
2.地下鉄とバスを乗り継いで、市街から1時間ほど離れた山の
  中に入り、文山包種茶の里である「坪林ピンリン」への行程
3.台北駅から列車で30分ほど揺られて、台湾の代表的な陶磁器
  の里として知られる「鶯歌インクー」を訪ねる行程

ほぼ以上のパターンで最近は行動しています。
いずれの場所にも、数年来の取引先がいますので、その時々の必
要に応じて目的地が決まりますが、2と3の市外に出てしまうと、
出発から帰着までどうしてもかなりの時間をくってしまうので、
場合によっては1日仕事と覚悟とてゆかなければなりません。

特に「坪林ピンリン」のほうは交通の便が良くないので、よほど
早めに出発しないと、日中の時間をほとんどとられてしまいます。
自分で車を運転するのであれば楽なのでしょうが、台湾で車を運
転するのはとても勇気がいりそうで、毛頭考えた事もありません。

台湾に一度でも行かれたことのある方は、お分かりのことと思い
ますが、とても普通の神経では運転していられない位に、車同士
がつばぜりあいというか、すれすれにしのぎを削りあっている光
景が至る所で見られるわけで、台北市街の道路を自分で運転する
というのは、まあとても考えられない事ですね。

それに、地下鉄やバスの路線が充実しているので、市街地にいる
限りは公共の交通手段で簡単に移動できますので、車は必ありま
せん。
また、台湾では中距離・遠距離のバス路線も非常に充実していま
すので、気軽に遠隔地まで安い料金で出かけることもできるよう
になっています。
とはいっても、目的地がすべて便利な地とは限りませんので、難
儀することがあるのはどこの国へ行っても同じようなものでしょ
う。

今回の台北行きでは、1日目はこれまで述べたツアー観光で時間
終了となりましたので、二日目に「鶯歌インクー」へ行くことに
いたしました。



【台湾雑記帳】 その4    


「鶯歌」インクーは、台北の南西に位置し、陶磁器の街として
とても有名なところです。
日本にも有田や瀬戸のように陶磁器の街がいくつもありますが、
台湾の「鶯歌」もちょうどそんな感じでしょうか。

愛茶人では大陸中国製の茶壷など、茶器類を各種取り扱っていま
すが、台湾に通うようになってからは、台湾製の良質の陶磁器も
お届けしたくなり、台北から至近距離にあるこの「鶯歌」へ通い
はじめた次第です。

この街には多くの窯元が存在し、各種の焼き物を実際に制作して
います。
これら陶磁器を目当てに観光やショッピングに訪れる人も多数い
るため、たくさんの陶磁器専門店や工房が軒を連ねていますので
まさに、陶磁器マニアにとっては何でも揃う楽園のような存在に
なっています。

台北からわずかな時間で来れる場所にありますが、品揃えが圧倒
的に豊かなうえ、同じ物であれば、価格は市内とは比較にならな
いくらい安いのが特徴です。

実際、台北市内には陶磁器の専門店と呼べるようなお店は、どこ
にあるのかわからないほど少ないので(現地の人はわかっている
のかも知れませんが、外国人の眼から見た限りでは、お土産屋の
類いとデパートの食器売り場程度しか見つけることができません)
これほど陶磁器が何でも揃う、集積されたマーケットは台北市内
にほぼ存在していないことは間違いありません。
生活雑器から趣味の高価な茶陶まで、じつにいろいろな商品にお
眼にかかることのできる、台湾陶磁器のまさに楽園です。

インクーは「うぐいす」に「うた」と書きますが、この街の東の
はずれには、この「うぐいす」の嘴ような姿の岩山がそびえてお
り、そんなところから、この名前が付けられたようです。

さて、この街へは台北の駅から列車に乗って出かけます。
時間にすると約30分程度かと思いますが、金額も33台湾ドル
くらい(110円ほど)の料金で行けるところです。

小さな街ですので、台北や基隆から高雄方面などへ出ている遠距
離の列車の場合は、この「鶯歌」には停車しないものが多いので
はじめて乗る場合には注意が必要。
通勤用の近距離列車(電車)は別途たくさん出ていますので、こ
ちらを利用すると確実でしょう。
降車のアナウンスは特にありませんので、この店も注意が必要で
すが・・・

台北の市街地を離れると、すぐにのどかな田舎の風景になります
ので、広い川や遠くの山々などの景色を眺めているうちに、幾つ
かの駅を経て、ほどなく「鶯歌」に到着します。

列車は結構混んでいることが多く、座れないことも多いのですが
通勤のつもりで乗っていれば我慢できる程度の距離・時間ですの
でご安心ください。実際、通勤・通学客がほとんどの生活感のあ
る車内は、台湾人の日常の生活を身近に目にするにはうってつけ
の場所かも知れませんね。マナーは日本人よりも良いくらいです
ので、安心して乗っていられます。

なお、これは「鶯歌」に限らず、海外旅行で郊外に出かけるとき
の一般的な注意事項(というか問題点)ですが、時間の節約のた
めに、なるべく早朝に出発して、朝早い時間帯のうちに目的地に
着こうと考えがちですが、相手が商店などの場合は、特に暖かい
東南アジアの国々では、お店がお昼の直前まで開かないというこ
とも多く、あまり早い時間に現地についても、ショッピングなど
には支障をきたすことが多いものです。

私がいつも訪ねてゆくのも、「鶯歌」に店舗を構えている陶磁器
店の幾つかですので、訪ねてゆく時間帯が問題となります。

台湾人の生活は、その暖かい気候のためか、どうしも気温が涼
しくなる夜のほうに生活の時間が全般的にずれ込んでいて、い
わゆる宵っ張り(よいっぱり)の生活になっています。
台北市内のデパートは、午前11時開店・午後10時半の閉店とい
った塩梅ですので、朝から営業しているのはコンビニや、朝食の
露天などといった類のところばかりです。

そうした訳で、時間を惜しんでついつい朝早く列車に乗ってしま
う性癖が抜けない当方としては、まだ閑散としている「鶯歌」の
街に到着した後、ちょっと遅めの朝食として地元の小食店にて
ハムや卵、あるいは肉のそぼろ(肉髭と書くのかと思います)
などを挟んだ、三明治(サンドイッチ)と冷たいジュースをいた
だくのが、いつものパターンになっています。

眼の前で卵を焼いて作ってくれるサンドイッチは15元から20元
程度のお安いものですが、暖かくて美味しいので、台湾ではしょ
っちゅう食しています。

朝、市街地を歩いているとこのサンドイッチ屋さんがあちこちに
ある事に気づきます。麺類・饅頭など中国・台湾風のいろいろな
朝食の店が街にはあふれていますが、日本人がいちばん気軽に入
れて味に間違いの無いのはこのサンドイッチでしょう。
出来上がった物をビニールに包んで、店頭に並べてもあるので、
言葉が苦手で注文できないといった心配をする必要はありません。
価格もほぼ上記の金額の範囲内ですので、美味しそうなのを適当
に選んでお金を払い、開いているテーブルを探して座って食べる
もよし、テイクアウトしてもよいわけです。

私は台湾から早朝帰国の際に、台北駅の東側にあるバスターミナ
ルから空港行きのバスに乗ることが多いのですが(ツアーで行く
時はこの限りではありませんが)、この時もバスターミナルの切
符売り場横の売店で、このサンドイッチを一つ二つ購入して、
バスの中で朝食をとるというのがパターンになっています。

悠長に朝食を食べてからホテルを出発というわけにいかないもの
で、こん感じで食事を済ませることが多くなってしまいます。
日本人の一人旅の朝食には、明治時代の日本人の文化が台湾に残
ってしまったのでしょうか、この三明治(サンドイッチ)はうっ
てつけの安心メニューですね。



【台湾雑記帳】 その5    


この5月の台湾行きは、わずか4日間のツアーで行ってきましたので、
あまり色々と面倒な用件をやりとげるという訳にはいきません。
どちらかというと、久しぶりに顔つなぎをしておきたいといったところ
が本音で、その程度のこともあって観光も少しついたツアーでというこ
とになったわけです。

市街地から離れたところは時間がかかるので、今回の遠出は「鶯歌」
インクーただ1箇所に絞り、二日目の朝から台北発の列車に乗って出
かけたしだいです。

「鶯歌」には馴染みの陶磁器屋さんが幾つかあって、台湾製の陶磁器
の殆どを、現在は「鶯歌」から送って貰ったり持ち帰ったりしている
のが実情です。

現在、台北市街で仕入れているのは、ボーンチャイナの蓋碗くらい。
この商品は、わざわざインクーに行く必要の無い、大手メーカーであ
る「大同磁器」の製品なので、市内から仕入れています。

※(以前はほとんどのデパートにこの「大同磁器」の直営売場があった
のですが、台北駅の三越から売場が無くなり、京華城という新しいショ
ッピングセンターからも売場が無くなったようです。それでも、台北で
一番人気のある日系デパートの「太平洋そごう」にはまだ売場が残っ
ています。愛茶人で販売している商品は、この「太平洋そごう」と同じ
仕入れルートです)

それ以外の諸々の陶磁器や竹茶盤ほか茶道具類は、このインクーの
街の中で見つけたほうが、効率がよく、そしてたぶん安く仕入れるこ
とができるようです。

もし台湾へ出かける方がおられたら(最近は中華券圏の中では台湾
の人気が高く、かなり多くの方、特に女性が出かけるようになって
いますね)、ぜひ「鶯歌」に出かけてみることをお勧めします。
特に陶磁器ショッピングの目的が無い方でも、台湾の列車に乗った
りしてちょっと市外へ出かけてみると、新しい発見がいろいろあり
ます。
約半日は費やさなければなりませんが、台北市内の観光地めぐりば
かりしているよりは、得られるものが多いことうけあいです。

話が横道にそれてしまいました。

この時期は日差しがきつく、特に北海道のこの季節と較べるとあまり
に暑い日々が続きますので、ちょっと早めの電車で出かけました。
ちょうど通勤・通学の混雑が終わったあたりの時間ですが、前述のと
おり、現地の「鶯歌」には三十分程度で到着してしまうので、商店を
訪ねるにはあまりにも早い時間です。

「鶯歌」の街で私が目指すのは、「陶瓷老街」という地域。陶磁器を
扱う比較的小さなショップが集積した、台湾人にとっても観光地的な
エリアです。
「鶯歌」には、大きな陶磁器メーカーの工場や展示販売場などもかな
り存在していますが、そちらはまったく別のエリアに分かれて存在し
ています。観光客として行った場合に、狭い範囲の中で、手軽に色々
な物を見られるのはこの「陶瓷老街」のほうですので覚えておかれる
と良いかと思います。

鶯歌駅から「陶瓷老街」までは、歩いて15分くらいの距離です。
ただし、少し坂を下った後、小高い丘の上まで上ってゆくような感じに
なりますので、暑い時期などけっこう難儀します。タクシーに乗れば基
本料金(70台湾ドル)プラスαていどの安い料金、時間にして五分以内
には着いてしまうでしょうから、無理して歩く必要は無いかもしれませ
ん。

ただ、朝早く鶯歌駅に着いて、時間に余裕があるときには、駅の裏側
の方へ出て(かつては正面側にしか出れませんでしたが、新しい駅舎
になってからは両側に出れるようになりました)、街道沿いに店開きし
ている朝市を眺めてみることをお勧めします。

雨の降った日などは、わざわざ朝市に寄り道したくもありませんが、
天気の良い日など、新鮮な野菜・果物などが並べられたこの鶯歌の
朝市は、台湾の田舎の一般的な風景ではあるのでしょうが、現地の
人々の生活感が溢れていて、見飽きることがありません。

特に、さまざまな果物が本当に豊富に出回る夏の時期などは、台湾
という南国の自然の恵みの豊かさに感じ入ってしまいます。
北海道の人間にとって、色彩豊かな南国的な実りの豊かさというの
は、ほんとうに憧れてしまいますね。

朝市はほぼ毎日のように開催されているようですが、いつも昼前には
ほぼ終了してしまいますので、「陶瓷老街」を見ての帰りに立ち寄ると
いうことが出来ません。
朝早く着いた時の、特典だと思って楽しみたいものです。

熱々の粽(ちまき)など、市街地では努力してさがして歩かなければ
実際なかなか食べられないのですが゜、ここではすぐに買って歩きな
がら食べれます。
茹でた「とうきび」、カットしたスイカやパイナップルなど、新鮮な
果物を朝から楽しむことが出来ます。
台湾名物の夜市の楽しさを、朝の時間帯から楽しめるようなものなの
で、ちょっと得した気分になれます。



【台湾雑記帳】 その6    


朝のうちはまだ過ごしやすいものの、それでも5月ともなると少し歩い
ただけでも、どっと汗が出てきてしまうような暑さでした。

地形の関係で、「鶯歌」インクーの駅から街の中心部方面へは、だらだ
らと下り坂になります。これは楽なのですが、「陶瓷老街」へは、その
下りきった所から、こう配のある丘を登ってゆく必要があります。

上り坂の下のほうは、この「陶瓷老街」へ車で来る方用の駐車場となっ
ています。観光バスなども来るところなので結構大きなものです。

そこからの登り坂は、距離は短いものの、日影の無い道程なので、日差
しのきつい時期は相当つらいものがあります。
タクシーなら駅からでもすぐですので(私はここでは使ったことがあり
ませんが)汗をかきたくなければ、そのほうが本当は利口かもしれませ
ん。
ほんの少しばかりの上り坂でも、暑いときは本当にしんどいものです。
実際、日射病で倒れるくらいに暑いことが多いのです。さすが台湾!

この坂を登りきったところに、商店街が整然と並んでいます。
特に三年ほど前に完了した整備によって、この地域は以前にくらべると
ずいぶんとと垢抜けた様子に変貌しています。

以前は本当に田舎の駅そのものという感じだった駅舎の建て替えの
完了とあわせて、相当の資金をつぎ込んで、陶磁器の街のイメージアッ
プのために、特にこの「陶瓷老街」の改修には力が入れられてきたよう
です。

店舗の前面のデザインの統一、店舗前の歩道の改修(石畳になりました
。ただし、目が粗いので歩きにくいとの意見が多いそうです。
また、ここは車道の部分も日中の主要な時間帯は歩行者天国のようにな
っていて、車が入ってはいけないようになっています)などによって、
観光地としての魅力に磨きがかかってきています。

この近くには「三峡」という、有名な観光地がありますので、そこを巡
るコースの一部という感じもあるのかとは思いますが、休日などには、
実に広い年齢層の方々が、ここ「陶瓷老街」を訪れます。
この場所自体はショッピングを目的にしたところという位置づけです。

さて、わたしがここでメインに取引させていただいているのは、林慕青
さんという方(二代目か三代目かといった感じの青年実業家)の経営さ
れている陶磁器店です。
厳密には、この方の店舗は仏像屋さんという性格のお店なので、一般の
陶磁器屋さんとはちょっと異質です。扱い商品の主力は、陶磁器製の仏
像や大型の花瓶といったものが中心です。

もう五年以上のお取引になりますが、お店にいると、宗教関係の方
(お寺さん)が訪ねてきて、儀式などに使う燈油や線香などといった
プロ用の道具を購入に来ているようです。
一般のお客さんは、そういう意味ではあまり多くありません。

そのためもあってか、道路に面していた店舗部分を他の陶磁器屋さんに
賃貸に出して、その店の奥に入ったところから二階に上がるようになっ
ているのですが、現在はその二階の部分だけで営業するようになりまし
た。

一階の道路に面したところには、老街の規格として定められた形式での
このお店の看板がまだ付いていたとは思いますが、このお店自体は一般
のお客さんはほとんど見つけることの難しいお店になってしまっていま
す。この店の存在を知っている人にだけ、訪ねてきてもらえば良いとい
う感じの営業となっています。



【台湾雑記帳】 その7    


「鶯歌」インクーにある「陶瓷老街」の林慕青さんのお店。
店名は「大展」さんといいます。
台湾の読みではダーチャンと発音するようです。

今回は比較的朝早くから出発したため、駅に着いたのが10時過ぎ
だったので、いつもの様に朝市を眺めながら歩き(今回は何も買
い物はなしです)ゆっくりと丘を登って「陶瓷老街」へ向かいま
した。

「陶瓷老街」というのは住居表示では「台北県鶯歌鎮尖山埔路」
となっています。小高い山の上ということになります。
たいへん環境整備がされてきたということは、前回述べたとおり
です。

とりあえず、お腹が空いていますので、陶磁器店の並びを通りす
ぎた奥のほうにある飲食店で、朝のサンドイッチとオレンジ・ジ
ュースをいただきました。
店内のテーブルに座って、そこらへんに置いてある台湾の新聞の
広告ページなどを眺めながら、美味しくいただきます。
合計で二百円もかからないのですが、軽食としては十分満足のゆ
くものです。

林さんのお店は、老街のメインストリートのほぼ真ん中のあたり
に位置しています。この通りの両側に主だった店舗が整然と並ん
でいますが、ずっと奥のほうまで歩いてゆきますと、右手に小学
校があり、現在はそこから先のほうまで非常にきれいに道路の整
備が進んできています。

陶磁器店街を過ぎてしまい、住民の生活圏に入ってしまうわけで
すが、街のイメージアップということを意識してのことかと思い
ますが、かなり先のほうまで、ずっと整備してゆく計画のようです。
実際にはあまり先のほうまで歩いていったことがありませんので、
よくはわかりませんが、普通の住居や商店がその先にずっと続いて
いるようです。

11時頃になると殆どのお店が開店してきます。林さんのお店
(実際は貸している一階のお店ですが)も開いていますので、中に
入ります。
この一階のお店も陶磁器をメインに扱っているお店ですが、特にお
つきあいが無いので、ほぼ通り過ぎるようにして中ほどにある階段
を登ると、目的の林さんのお店です。

二階は下の半分ほどの広さしかないので、以前に較べるとずいぶん
手狭になってしまったのですが、仏具専門の陶磁器店ということで
一般のお客さん相手では必ずしも無いということで、このような店
で営業することにしたようです。

このお店の店員さんは、ちょっと小柄で優しそうな女性の方が一人。
雇っている店員さんはこの方ひとりだけで、あとは林さんの奥さん
と、最近は高校生くらいの娘さんが手伝っているのを見るようにな
りました。
ご主人の林さんを店内で見かけることは殆どありません。
お店は、基本的には奥さんが仕切っています。

そしてこのお店の「おばあちゃん」(ご主人のお母さん)が私にと
ってはたいへん心強い見方となってくれています。
唯一、このおばあちゃんだけがこのお店では日本語を話せるので、
中国語のわからない私は、ほぼこのおばあちゃん一人を頼りにして、
この老街を訪ねて来ています。

初めてこのお店に来た時のことは、もう五年以上も前のことで、あ
らかた忘れてしまいましたが、たまたま、このおばあちゃんが店番
をしていて日本語での細かい話が通じたことから、いろいろとお願
いしたりするようになったというきっかけは覚えています。

ご主人も奥さんも、残念ながらまったく日本語を理解できないので、
このおばあちゃんがいないと、このお店でも、細かなことは伝えら
れなくて困ってしまいます。
そうしたこともあって、日本人のお客がきて、言葉が通じなくて困
った時はおばあちゃんに出てきて貰うということに、このお店では
決めているようです。
私が初めて訪ねた時には、たまたまおばあちゃんが店番だったよう
です。

実際、65歳程度より上の年齢の台湾人の方は、戦前は日本人として
の教育を受けていましたので、文字を書くほうは忘れてしまってい
ても、会話はほぼ通じるわけです。
ただ、その後の若い世代(息子や娘)には、自分が習ってきた日本語
を教えるということもなかったのでしょう、次の世代以降の方々は片
言の日本語も理解できないのが実態です。
家庭内で日本語で会話するという機会がまったく無かったのだと思い
ます。日本語文化というものは、完全に断絶していることを感じます。

ここのおばあちゃんの日本語も、たぶん小学校の低学年までしか習っ
ていなかったものとみえて、実際はちょっと頼りないのですが、それ
でも普通の事柄であれば、こちらの言う事をほぼ理解してくれますの
で、私としてはたいへんに重宝しています。

おばあちゃんの連れ合い(ご主人)はすでにお亡くなりになっている
ようですが、その点については聞いたことがありませんので不明のま
まです。いずれ機会があれば、お聞きしてみたいと思っています。



【台湾雑記帳】 その8  


仏具屋さんの「大展」さんの二階に上がると、この日も店に出ていた
のは、店員の女性の方だけでした。
このお店はこういうことがけっこう多いようです。
ご主人は別の事業などで不在のことが多く、奥さんは商工会の婦人部
の活動などやっているようで、お店が特に忙しい時以外は、お店の中
には居ません。

ちなみに、ご主人の林(リン)さんは、台湾国内ではIT関連の事業
に出資し、中国本土では転写シール(正式な名称がわかりませんが、
プラスチック製の食器などに、たとえば花柄などの模様をつけるとき
には、花柄を印刷したシールのような物を貼付けます。このシールを
製造する事業)に関わっているらしいのです。

さて、店員さんが「おばあちゃんを呼びますから」と言って自宅のほ
うに電話してくれましたが、お昼どきでもあり、お店まで来るまでに
はしばらく時間がかかりそうなので、その間に私はちょっと他のお店
を見てきますからと告げて、荷物だけ預けていったんお店を出ました。

そんなに時間の余裕があってここまで出てきているのではないため、
空き時間をつくらないように、貧乏暇なしに動くしかありません。

今回「鶯歌」インクーに来たのは、「大展」さんに顔を出すためでは
ありますが、仕事上の目的は近頃は別のお店の商品に移ってきていま
す。お店の名前はここでは明かしませんが、茶器の品揃えがすばらし
い店を以前に「大展」さんに紹介してもらって、近年はそのお店から
の仕入れが増えています。

そのお店は、この陶瓷老街の入り口を目指して坂道を登りきったとこ
ろを、すぐ右に折れたところにあります。一度でもこの地に行かれた
ことのある方ならば、ほぼ見当のつく場所かとは思います。

陶瓷老街の入り口のところは、さすがに商店街の正面ということで、
お客さんの往来が一番多いところですが、たいていの人はここから
直進しますが(歩行者天国のようになったメインストリートであり
「大展」さんもこの方角にあります)、右側に回り込むとそちらに
も商店街が連なっています。ちょっと裏通りの感じですが。

目的のこのお店に行くために歩いてゆく途中、たまたま「大展」さん
の奥さんの後ろ姿を発見!
目的のお店の2軒ほど手前が、この地区の商工会の小さな事務所にな
っているのですが、「大展」さんの奥さんは女性三人ばかりで井戸端
会議のまっ最中でした(失礼、)

すっかり何度もお会いしているので、後ろ姿を見ただけですぐにわか
りました。でも、お話中の邪魔するのも無粋ですので、だまって通り
過ぎ、目的のお店へまずは直行。
このお店は、いつもご主人ほぼ一人で切り盛りしている感じですが、
この日も、いつもと同じように店内正面の大型の茶盤に陣取って、お
客さんの対応をしていました。
このお店は、茶道具関連の陶磁器や竹製品が取り扱いの中心です。

陶瓷老街は陶磁器の専門店で成立している商店街ですが、実際のとこ
ろ陶磁器といっても「お茶」の道具がメインではありません。
陶磁器ということで一番の中心になってくるのは、一般の食器などの
家庭用品です。調理用の土鍋、食品保存用の甕、インテリア用の花瓶
や陶磁器の装飾品、建築用のタイル等々といったものが続きます。

「茶器」というのは、ひとつのジャンルとして存在していますが、
この街の数あるお店の中でも、一般の茶道具をメインに据えている店
というのは、存外少ないのです。
敢えて一般の茶具といいましたが、創作陶磁器とでもいうのでしょう
か、手作り風の高級陶磁器の茶器などを扱うお店は、けっこう沢山あ
ります。というか、そうしたお店ばかりが目立ちますね。
「田園」系列のお店など。

そうしたお店は、少数の高級な商品を綺麗に陳列してあるだけですの
で、日常の中で使う茶器の需要にはあまり対応していません。
商品的にも、日本にもほぼ同様の創作陶磁器とも呼ぶべきジャンルが
ありますので、際立った違いがありません。
確かに商品は良いのですが、中国茶用の陶磁器としての特別な魅力を
感じられるような物ではありませんので、素敵な和食器を見ているの
と同じ感慨しか浮かんできません。

他のお店では、小物の茶道具をなかなか見つけることが出来ないので
すが、このお店は茶道具に特化していますので、竹製品やガラス器も
含めてきっちりと揃います。間違いなく日本人好みのお店です。
台湾製品が中心ですので、大陸中国の商品よりはどうしても高くなり
ますが、品質の点ではっきりとした違いがあります。

近年「愛茶人」でお取り扱いしている台湾製の陶磁器や茶盤は、この
お店から送って貰っている商品が大部分となっています。
今回は、不足しているものの買い足しが目的です。



【台湾雑記帳】 その9    (2006.01.24)

 陶瓷老街のS店にて・・・

目的のS店(仮の名前)に入ると、ご主人が「まあ座りなさい」とい
った感じで、大型の茶盤兼作業台の上を整えはじめます。
そしていつものことですが、手早くお茶をいれてくれます。

まだお昼前後で、開店したばかりの筈ですが、店内には何組かのお客
さんが入っていますので、このお店はそれなりに繁盛店の部類に入る
のでしょう。
このお店は、間口が広く、外から店内の陳列が非常に見やすいお店に
なっていますので、お客さんが入りやすい造りともいえます。

実は、陶瓷老街のメイン通り沿いのお店がその典型なのですが、この
あたりのお店は、間口が狭く奥行きが長い造りになっているのが多い
のです。台湾式の店は一般的にそのような造りが多いようです。
ちょっと見は小さなお店のようでも、奥行きが「うなぎの寝床」式に
深く出来ており、けっこう沢山の商品が陳列してあったりします。
そのぶん、外からだけでは、なかなか中の様子がわからないという
難点もあります。

S店の場合は、メイン通りの側面にあるためか、逆に間口が広く奥行
きが狭い店舗になっているようです。
日本人にはこのタイプのお店のほうが馴染みやすい感じがしますが、
台湾の他のお店に慣れてしまうと、今度は奥行きの無さがちょっと物
足りなく感じたりもします。
どっちが良いのかは、よくわかりません。

それはさておき、ここのご主人は実によく動きまわる働き者のようで
ほとんどいつも、一人でお店を切り盛りしています。
この日も、旧知の私には中国茶を振る舞いながら相談に乗ってくれる
一方、他のお客さんの応対にも手抜きがありません。

一般的に、台湾人のお客さんは、ちょっとした物を購入する場合にも
必ず価格交渉しますので、右から左に商品が売れていくわけではあり
ません。あれこれ、やりとりがあってやっと商談成立となります。
そんなお客さんを捌いてゆくのは、見ているとけっこう手間のかかる
ようです。

このお店も含めて、台湾の商店は商品の価格表示がありますので、
大陸中国の商店のように値段が書いていないために、値決めのために
いちいち腹の探り合いをする事もなく済みますが、表示された価格は
必ずしも額面どおりに売ることを前提とした価格表示ではないようで
す。

このお店の場合も、ある程度まとまった金額の商品を購入する際には、
交渉すれば例外なく値引きして貰えるようです。
ある程度というのは、二三千円程度からと考えていただいて良いかと
思います。そんなに高額のことではありません。

私など、台北の「太平洋そごうデパート」で買い物をすることがたび
たびありますが、金額や数量がまとまった時には、レギュラーの定価
販売の商品でも20%まで値引きしてもらっています。

店員さんに言わせると、それはそごうのハウスカードの会員に対する
特別値引きに相当するもので、通常はそこまでの値引きは出来ないと
いうことなのですが、一度やって貰ってからは、こちらの顔を見ると
向こうも観念しているのか、毎度そうした取扱いを了承してくれるよ
うになりました。もちろん、この場合の購入金額は数万円単位での話
ですが。
私は日本では値引きの交渉などほとんどする事が無いというか、そう
いったことは苦手なほうなのですが、そんな私でも土地柄が違えばな
んとかなるようです。

台湾に行かれる方がおられましたら(旅行のガイドブックなどに書か
れている場合もありますが)、台湾の場合はデパートでも値引き交渉
が本当に出来ることを覚えておかれると良いかと思います。
もちろん一般の商店の場合は交渉は必須です。
しかも、この「そごう」の場合などは値引き商品の支払いもカードで
済ませることが出来ます。現金払いの必要はありません。

(日本名の入ったデパートの場合は、そこそこ日本語のわかる店員さ
んがいますので、ある程度は話を通じやすいのですが、必ずしも十分
日本語を理解しているようには思えません。しっかり日本語を話せる
超ベテランの女史のばあいは、逆に話に乗ってくれなかったりします
ので、言葉はあまり通じなくても若い店員さんと交渉したほうが上手
くゆくように思います。半分は筆談でOKでしょう)


S店のことに戻りますが、このお店の茶壷の品揃えはとても魅力的で
す。わりと小型で、しかも質感の良い台湾製の商品が実に豊富に揃っ
ており、ご主人の座る背後の壁一面を中心に美しく飾られています。
種類が多く、しかもそのどれもが素晴らしく良い形をしており、品定
めにいつも迷ってしまう程です。

愛茶人で取り扱っている’三希’の「美人肩」シリーズをはじめとす
る商品は、このお店で取り扱っているものを数年前から取り入れたも
のです。
どれも形が美しく、陶土のしまりのとても良い茶壺です。
このお店にはこの’三希’の茶壷の一連のものを中心に、どれも手頃
なサイズの茶壷ばかり数十種類並んでいますので、本当に見飽きるこ
とがありません。

愛茶人で扱っているのは、このお店で扱っている’三希’の茶壷の品
揃えの、ほんの一部。
定番の茶壷としてご紹介したいものも、まだ幾らでもあるのですが、
手を広げてしまうと収拾がつかなくなりそうで、ぐっとこらえてきた
というのが実態。
愛茶人は陶磁器専門店の領域に迄は踏み込むことは出来ないと考えて
いますので。

いずれ機会がありましたら、このお店の棚の写真を撮ってきてお見せ
したいなとも思っています。

また、小型の竹茶盤として現在ご紹介している商品も、このS店から
取り寄せているものです。何度も補充しながら、随分と沢山お取り扱
いさせていただいています。
以前は中国製の中型の茶盤を中心に扱っていたのですが、近年は質感
の良い台湾製のここの商品に力を入れています。
最近は特に、茶盤は小型の物が好まれる傾向にあります。

このS店では、毎度、不足しているものを補充するために問屋さんに
その場で発注してもらい、商品を確保するようにしています。
店頭には沢山の種類が置かれていていますが、一品あたりのストック
はそんなに無いからです。
ここは陶器の街ですので、近くにある問屋さんが素早く商品を届けて
くれますので、三十分も待っていれば物は揃ってしまいます。

最後に価格の打ち明け話を少しだけしますと、S店のご主人は愛茶人
向けに茶壷などの陶磁器の場合ですと、S店の店頭価格のほぼ半額で
卸してくれています。
そこで、愛茶人では諸々のコストを加味して、ほぼS店の店頭価格と
同額程度で日本で販売しているわけです。

そんなことからも、台湾の店頭では値引き交渉は必須ということが
理解出来るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。




【台湾雑記帳】 その10    (2006.02.10)


陶瓷老街のS店では、今回は時間がありませんので足りない商品のう
ち、店頭に在庫のあるものを幾つか調達しました。
小さな段ボール箱ひとつに収まる程度の陶磁器類です。

店頭の商品を眺めながらご店主とやりとりしていると、「大展」のお
ばあちゃんが、私を探しにやって来てくれました。店番の女性の方に
こちらのS店へ行くと伝えてあったので、わざわざこちらまで来てく
れたようです。
「あんた、ひさしぶりねー、商売景気いいの?」
いつもお会いすると、実に歯切れよの良い口調の日本語で話しかけて
くれます。
日本のどこかの方言が混じっているのかという気もしますが、よくは
わかりません。どうも標準語ではないような気はしますが。
とにかくその、笑顔が素敵です。

S店で購入した荷物を持って、おばあちゃんと一緒に「大展」さんの
お店へ戻ると、さきほどまで商工会にいた奥さんもお店に戻っていま
した。ちょうどお昼をまわったばかりの時刻です。

ほぼ1年ぶりに、おばあちゃん、奥さんとお会いすることが出来まし
た。年に数回は台湾に来ていますが、前回の訪台の時は鶯歌インクー
には寄りませんでしたし、その前に来た時には「大展」さんのご一家
はニュー・ヨークに在住の娘さんのところへ出かけており、会えなか
ったためです。
おばあちゃん、奥さん、ご主人の三人でアメリカへ出かけていた時に
私が台湾へ出かけていったのでした。アメリカ人と結婚した娘さんは
ニュー・ヨーク在住で、中国茶の販売もしていると聞いています。

さて久しぶりにお会いしてみると、お二人ともお変わりなく元気その
もの。台湾の中高年の女性は、日本の女性同様にいつも元気いっぱい
です。「大展」さんの店舗(二階)でしばし歓談となりました。

「大展」さんのお店は仏具関係の商品が殆どで、その半分ほどは大き
な花瓶の類いです。階下のお店の三分の一程度しかスペースがありま
せんのでほんとうに狭いものです。
展示商品の中には、磁器製・ガラス製の茶器類も一部あり、そうした
商品の幾つかを購入することから、このお店とのお取引がはじまった
経緯があります。お店に無いメーカー品でも取り寄せてもらえますの
で、言葉が通じる(と言っても、通じるのはおばあちゃんだけですが)
のがなんといっても便利。

またあくまで本業が仏具関係なので、私が他のお店で茶道具類を購入
してこのお店に持ち込んでも、商品が競合しませんので、気兼ねせず
に済むのが有り難いところです。他の店の購入品と一括して日本へ
発送して貰ったりしています。

「大展」さんのお店といっても、以上のような事情で普通のお店とは
違っていますので、狭い店舗スペースのさらに半分くらいは商談用に
数人が座れるような事務用の長テーブル数台と椅子が置かれています。
わたしなどは、ここに座るとすっかり緊張がほぐれてリラックスして
しまいます。

また、いつも季節ごとの台湾独特の清涼飲料のようなお茶(中身は
いろいろ)を出してくれます。
台湾はほぼ年中暑いので、薬草の類いの清涼茶がいろいろあるようで
す。私の口にはほとんど合いませんが、とりあえず飲ませて貰ってい
ます。まあ、これも楽しみの一つではあります。

さて久しぶりに再会したおばあちゃんですが、まだまだ元気はつらつ
としています。
日本語の初等教育を受けた、おそらく最後の世代らしいのですが、
おおむね正確な日本語で話してくれますので助かります。
(戦後は日本語は一切禁止されましたので、その次の世代はまったく
日本語を理解できない方が多いようです。
あらためて日本語を学習するようになったのは、更にあとの世代です)

お昼になってしまったこともあって、お店には他にお客さんの姿はあ
りません。軽い食事でも・・ということになり、すぐお隣の喫茶店の
ようなお店に入りました。
うなぎの寝床のようになった小売店の、奥のほうだけが洞窟の中のよ
うな薄暗さですが喫茶店のようになっています。これがまた、妙に
落ち着く空間でした。




【台湾雑記帳】 その11    (2006.02.22)


うなぎの寝床のような喫茶店ですが、ここがとても落ち着きます。
外界の喧噪から遮断され、薄暗いためでしょう。

ここに入ったのは二度目ですが、奥さんはメイコイ茶、おばあちゃん
は何か別のドリンクですが、私には簡単な食事とドリンクのセットを
頼んでくれました。鶏のもも肉とチンゲンサイの炒め物、ごはんなど
がお皿に盛られて出てきました。
以前に「大展」さんのお店の奥の応接室で、出前の昼食を皆さんと一
緒にいただいたことがありますが、その時の出前はこのお店から取り
寄せたものだったようです。
その時の食事となんとなく似た感じがしましたので。

奥さんの頼んだ「メイコイ茶」は、はまなすの花びらのお茶です。
ここでは、まつたけの土瓶蒸しに使うような小さな陶器の土瓶に、
はまなすの花びらとお湯が入れてあり、アルコールランプで暖めなが
ら出てきました。
メイコイはビタミンCやコラーゲーンが豊富?とかいうことが言われて
いるようで、こうして美容について人一倍気を使う中国や台湾の女性
には人気があるようです。
愛茶人でも、メイコイはけっこう人気のある商品です。

奥さんはいつも体重を気にしているようで、この日は「メイコイ茶」
しか頼みません。おばあちゃんは昼食を食べてから出かけてきたので
ミルクコーヒーのようなドリンクを飲んでいました。

前回私が来た時に、家族でニューヨークへ行っていた時の話や、その
ときに私が置いていった日本からのお土産のフルーツゼリーが美味し
かったとのお話、おばあちゃんの次男(現在のお店のご主人の弟)さ
んに私が頼んで試作してもらった茶香炉の話などなど、1年ほどお会
いしていなかったので、話は尽きませんでした。

この次男さんは陶芸作家で、この鶯歌にお店と工作室を持っています。
以前にいただいた名刺には[雅陶屋]という屋号になっていましたが、
改装していたので、今も同じ名称かどうかはわかりません。
ちょっとシャイな感じの方で、商人というよりは芸術家タイプのよう
にお見受けしました。

この次男さんには、以前にオリジナルの茶香炉を試作して貰ったこと
があり、出来上がった物を、私がオーダーしてあった売り物の商品と
一緒に、台湾から郵送して貰ったことがあります。
十点ほど送って貰った茶香炉は、いかにも現代陶芸家の手作りという
感じのものでした。有名作家の仲間入り迄はしていないようですが、
十分に陶芸作家と呼んで良い実力の持ち主です。

次男さんの工作室のほうは観光客用の体験教室のようになっていて
「ろくろ」が何台も置かれ、一回千円程度でコーヒーカップなどを手
作りする体験観光を行っています。
出来上がった作品は釜で焼いて、後日郵送してくれます。

陶器の里ということで、鶯歌には子供も含めて観光客が沢山来ますの
で、こうした体験観光を売りにしているお店が増えてきています。
私も機会があれば、作陶をやらせて貰おうと思っています。

さて、おばあちゃんは、日本人と本格的に話をする事はあまり多くは
ないとのことで、私などでも結構いい話し相手になるようです。
「大展」さんのお店が二階に上がってしまってからは、たぶん一般の
お客さんがお店へ上がってくることはあまり無いでしょうから、その
へんについては、やや残念がっているようでした。

さて、時間の経つのを忘れていつまでも長居をしてしまいたい雰囲気
の喫茶店ですが、今回はほんとうに時間に余裕がありません。
お食事を食べ終わったところで、おひらきにさせていただきました。

二階のお店に戻って、奥さんと若干の仕事の用件を済ませてから
「大展」さんのお二人とはお別れしました。
(おばあちゃんの笑顔を見れるのは、早くて半年後くらいの予定でお
別れしましたが、年を越してしまったので既に半年以上はたってしま
いました)

S店で購入した商品の入った段ポール箱を一つ持って、鶯歌駅への
帰路につきます。
いつも立ち寄るショップが何軒かありますので、そこを覗いて小物の
茶道具を何点かずつ購入しながら帰るのですが、今回は荷物は全部で
二つにしかなりませんでした。
もうちょっと時間に余裕があるといいのですが、早く台北市内へ帰り
たいので仕方ありません。

鶯歌駅から台北までは、北上する列車に乗ればいいだけの感覚で考え
ていれば良いので、気楽なものです。
南の高雄(カオシュン)から来る長距離列車もあれば、近郊から来る
通勤電車もあるわけですが、上りの列車は台北・松山(台北市内)・
基隆(キールン)などが終着のものですので、止まった列車ならばど
れに乗ってもいいという感覚です(本当は違うのかも知れませんが・
・・)

長距離列車などに乗ってしまうと、座席指定の関係で面倒な場合があ
りますが、台北が目前の鶯歌駅から終点の台北まで乗るのであれば、
新たに指定券で乗ってくる人はたぶんいないと思いますので黙って座
っていて何の問題も無いと思います。

台北行きの列車は沢山来ますし、鶯歌駅に止まる列車も結構多いので
時刻表を眺める必要はありません。
電車の切符を買って、プラットホームで待っていれば問題ないのです。

さてこの日、台北駅へ戻って来たのは三時過ぎでした。



【台湾雑記帳】 その12    (2006.02.28)


台北旅行三日目の午後、鶯歌から台北市内へ帰ってきました。
残るは翌朝までの十数時間、翌日の午前中には北海道へ旅立たなけれ
ばなりません。残りの時間で、市内で幾つかの用事を済ませてしまう
段取りになっていました。

話は前後してしまいますが、千歳発台北行きのエバー航空機は、現地
時間の午後七時台に台北に到着しますので、到着した日はじっさい何
も用件を消化することが出来ません。
通関を終え、バス等の交通機関を使って市内に出ると、あたりは既に
真っ暗になっていることが多いのです。

それでも私の場合は、片付けなければならない用件をいっぱい抱えて
台北に到着した場合には、出国手続きを極力スムーズに終わらせて、
午後九時前後に市内まで出て、あとはタクシーを使い最低一件は用件
を済ませるようにしています。

台湾のお店などは、さきにも申しましたが、けっこう夜遅くまで開い
ていますので、あらかじめ連絡をしておいたほうが良いのですが、
頼んでおいた商品を受け取ったりということが曜日の関係で翌日以降
では難しい場合など、到着した夜のうちに済ませてしまうことも出来
ます。
特に、台湾経由で翌日には香港へ飛ぶスケジュールの場合には(近年
はほとんどこのパターンで台湾・香港へ出かけていますが)なんとし
ても到着した夜のうちに済ませてしまわないと、時間が足りなくて間
に合わないことも生じてきます。

こうした急ぎの用件を抱えている時は、行きの飛行機には手荷物を預
けないで、台湾中正空港に到着しだいすぐに通関し、市内行きのバス
に乗り込みます(110元・・・400円くらい)
約1時間ほどで台北駅のあたりに到着しますので、そこからタクシー
で目的地へ直行するか、宿泊先のホテル経由で手荷物だけいったん降
ろし、目的地へ車を飛ばしてもらいます。
市内ならばこれで、早ければ午後九時前に目的の所に到着できるので
す。二カ所程度の用件はこれでこなせます。

非常にあわただしいのですが、北海道からの旅程では飛行機の時間帯
を選択できないので、これも仕方ありません。

さて今回は団体旅行でしたので、この手も使えません。
そのまま皆さんとホテルへバスに乗せられて移動しました。
林森北路という、日本人にとっては馴染みやすい地域のホテルです。
台北駅からは車で五分ほどのところ。
到着した時には、いつもの様に既にあたりは真っ暗となっていました。

台湾がはじめてという方の場合には、現地に夜到着した場合その日の
行動は自ずから自粛してしまうことになりがちかとも思うのですが、
何度も来て、現地の事情をそれなりにわかっている身としては、夜の
時間こそが台北の楽しい時間ということがわかっていますので、仕事
が出来ないということであればさっそく遊びモードに変換です。

例えばショッピングが目的であれば、台北のデパートは夜十時半まで
営業していますので、この時間からでもじゅうぶん間に合います。
いわゆる観光のための名所旧跡の類いは、おおむね五時くらいまでし
か開いていませんのでまったく論外ですが、台湾人の生活の中に溶け
込んで楽しもうとするなら、この位の時間(夜九時過ぎ)からが一番
かも知れません。現地の夜型の生活時間からすると、まだまだ序の口
の時間帯だからです。

今回は団体の一員で、翌朝は1日観光へ出かける予定になっていまし
たのであまり夜更かしもできませんが、地下鉄が営業している午前
零時過ぎあたりまでは台湾名物の「夜市」(台湾流にはイエスーと読
みます)に出かけ、帰ってきてからはホテルの近辺で少し時間をつぶ
そうと考えていました。

夜の台湾観光の定番は、なんといってもこの「夜市」です。
沢山の人が集まって毎晩をお祭りのように過ごす習慣とでもいったら
良いのでしょうか、暖かい土地柄にぴったりの連夜のお祭り騒ぎです
が、すっかり生活の一部になっているこの「夜市」は、観光客にとっ
てもたいへん楽しいものになっています。

特に「観光夜市」として区別されているものもありますが、地域に溶
け込んだ「夜市」は大小さまざま、市内に無数に存在しています。
美味しい物と、明かりにいろどられた「夜市」は、基本的な市民の生
活そのものの中に組み込まれているようです。

なかでも最大規模といわれているのが「士林夜市」シーリンイエスー
です。台北駅から北に車で20分ほどいった所で毎日運営されている
もので、台湾の「夜市」を代表するものです。

「夜市」の楽しみはショッピングと食べ歩きですが、「士林夜市」は
そのどちらも市内で最大クラスのものです。地下鉄駅の真ん前に位置
しているので、とにかくアクセスが良いということも魅力です。
台北の、夜の市内観光の定番スポットになっています。

時間に余裕があれば、あるいは自分で車を運転してゆけるのであれば、
ほかにも活気のある「夜市」は幾つもあるのですが、旅行者としては
地下鉄やタクシーで(地下鉄の場合は台北駅から100円以下、タクシ
ーの場合で500円ほどの料金で行けます)簡単に行けるのが魅力です。

私も、台北に到着した夜はとりあえず「士林夜市」へ出かけて、台湾
の名物料理でお腹を満たす事にしています。
「夜市」はまさにB級グルメの宝庫。これが好きな人間には最高の場
所なのです。
ここでどんな物をいつも食べているのか、また次回ご紹介します。



【台湾雑記帳】 その13・「士林夜市」(2006.03.14)


台北へ旅行された方なら、ほぼ必ず足を向けるのが「士林夜市」シー
リン・イエスーです。
台北駅から北へ地下鉄(MRT)で6駅(15分)ほどのところ、あの
有名な圓山大飯店にもほど近いところにある、台北最大といってもよ
い台湾夜市の代表格ですね。夜の観光コースの定番の一つでしょう。

※古い写真ですが、「士林夜市」のかつてのテント村のようなグル
 メ街で撮った写真などをホームページに以前から載せています。
 今見ると、とても懐かしく感じられるものです。
 http://city.hokkai.or.jp/~tomshop/snap00.html

MRT「剣潭駅」の真正面のB級グルメ・ビルと、その北側一帯に広
がっている露天と商店街一帯が「士林夜市」です。
日中は普通の商店街ですが、毎日夕方になると交通が遮断され、道路
中央に露天が出店しはじめます。路上に商品を広げるなど、その売り
方は大胆そのもの。衣料品のお店が多いのですが、その他諸々の商品
が売られています。
市民の生活にも溶け込んだ場所なので、観光客以外の人も多く、安心
して出かけることのできるところです。
どこの夜市もだいたい同じですが、午前一時くらいまでは賑やかに営
業しています。

私などは、特にこうしたところに買い物をしようと思って出かけると
いうわけではないので、もっぱら賑やかに人の集まってくるのを見物
に出かけるだけなのですが、なんといっても、最大の楽しみは夜市の
B級グルメです。
特に一人旅の時には、手軽に気兼ねなく食べれるあちこちの屋台で、
食事のほぼすべてをまかなうこともあります。
台北到着の夜には、夕食を食べるつもりで「士林夜市」へ出かけるこ
とがお決まりになっており、今回も、中正空港からバスでホテルへ
団体送迎されたあと、ほどなくMRTに乗って「士林夜市」へ向かい
ました。

MRTなら「士林夜市」へは中山駅あたりから乗って20元程度(70
円)。タクシーに乗っても140元ほどで行けますので二人以上の場合
ならMRTの駅まで歩くのも面倒な場合が多いので、タクシーを利用
することをお薦めします。
台湾のタクシー料金は初乗り70元(250円)安いですし、台北市内は
そんなに広くありませんので、時間の節約にはタクシー利用が一番。

MRT「剣潭駅」を出ると、道路を挟んで正面のところに大きなビル
が建っており、現在はそこが「士林夜市」のB級グルメの殿堂となっ
ています。
3,4年前までは、このB級グルメの殿堂ともいうべき場所は、商店
街の中をかなり入っていった中に、巨大なテント村のようにして存在
していて、独特の存在感をかもし出していたのですが、2003年から
このビルの中に移転してしまいました。
再開発で出来た新しいビルの中に移って来ても、中に入ってしまえば
さすがに賑やかな雰囲気は特有のものがあるですが、かつての屋台村
的と較べてしまうと多少は味気ない気がします。衛生上は良くなった
のでしょうから、やむを得ないと思うしかありませんが。

さて、台湾の屋台料理・B級グルメについては、観光のガイドブック
などに詳しく載っていますが、「士林夜市」のグルメ街でほぼその
全て見つけることができます。ですから、観光ガイドに載っている
有名店を探して歩く時間がない場合にはここの夜市で代替することも
可能です。勿論、味のほうは有名店に(一般的には)かなわないとは
思いますが・・・

私がこの「士林夜市」でいつも食べている物を具体的にあけますと、
「牡蠣オムレツ」「てんぷら」「マンゴーかき氷」「イカ味噌煮」と
いったところです。
それぞれ現地での名称があるのですが、漢字が打てませんので、日本
語で中身を表現していますのでご了承下さい。

たいていはこれらを全部食べて満足してホテルへ帰り、寝るパターン
が最近は多いです。
全部といっても、それぞれ量的にはあまり多くないので、しかも主食
のご飯ものは食べませんので、そんなに満腹になるほどではありませ
ん。価格も、それぞれ50元・50元・100元・50元といった値段です
ので、全部合わせても千円には達しませんよ。
これ以外にカット・フルーツやその他のデザート類をいただく事もあ
ります。一般にデザートのほうが値段は高いですね。

「牡蠣オムレツ」は台湾特有の小粒の牡蠣を使った料理です。
キャベツを鉄板の上で炒め、そこに片栗粉のような粉を水で溶いたも
のをかけて、生卵を割って入れ、牡蠣も混ぜて鉄板の上で焼いたお好
み焼きのような物。オムレツと書きましたが、お好み焼きと言ったほ
うが近いでしょう。プルプルした仕上がりです。ちょっとピンク色の
甘いたれをかけて出されます。
牡蠣は小粒ですが、結構たくさん入っていますので、牡蠣の好きな人
にはたまらない食べ物です。
台湾人も中国人も、ぷりぷり・ヌルヌルした食感の食べ物が好きなの
でしょう、そうした食べ物の代表格かも知れません。
「牡蠣」のかわりにエビを使ったものもあるようです。

※写真では40元だったようですが現在は50元位です
 http://city.hokkai.or.jp/~tomshop/snap021.html

この「牡蠣オムレツ」は目の前で焼いてもらって、作り立てを食べる
のですが、これを作っているお店は場内にたくさんあります。
どのお店がおいしそうか、お客の込み具合などを較べて選んで坐るよ
うにしています。
これらの店は「てんぷら」と「イカ味噌煮」も一緒に扱っている場合
が多いので、私の場合は、そういう店で三品とも順番に頼んで食べる
ことが多いのです。

「てんぷら」は、魚のすり身を平に薄く延ばして油で揚げた「さつま
あげ」のことです。あげ色も薄く、柔らかく、まったく日本で食べる
「てんぷらかまぼこ」と変わりありません。
ちなみに、この「てんぷら」を現地では日本とおなじく「天婦羅」と
漢字では表記します。
かつて日本人が台湾で食べていたものが、この地に定着してしまった
ものです。

「イカ味噌煮」というのは、身の厚いイカのぶつ切りとタケノコなど
と一緒に、薄めの味噌味で煮込んだもの。ちょっと、とろみのついた
仕上がりです。味のほうは日本人なら誰が食べても違和感の無いもの
です。看板に「花枝・・」という表記をしてあるのがイカ料理です。
どれもたいてい日本人好みの味ですね。

「マンゴーかき氷」はもちろんデザートです。
台湾へ行ったら是非とも食べたいのがマンゴーですが、かき氷の上に
マンゴーをたっぷり乗せ、練乳を掛けたのが「マンゴーかき氷」。
これの有名店として知られるのが「氷館」ピンガンというお店で永康
街という地域に一軒だけあるのですが、ちょっと行きづらい場所にあ
るので、夜市の中のデザート屋さんで代替してしまいます。
台湾特産の赤いアップル・マンゴーの季節は夏の短い期間に限られて
いますので美味しい「マンゴーかき氷」は夏場に限ります。
季節がずれると、黄色い色をしたフィリピンやタイ産などの普通の
マンゴーで作ることがありますが、やはり味は落ちますね。
台湾では、基本的には冬場はマンゴーはほとんど出回りません。
マンゴーはあまり輸入されていないようです。

香港の「許留山」というデザートのチェーン店もマンゴーをメインに
したお店で、年中マンゴーを食べることが出来て嬉しいのですが、
使用しているのは輸入品の黄色いマンゴーです。この店は台湾の西門
地区にも店を出していて年中食べることができますが、せっかく台湾
へ来た時には、台湾産のマンゴーを食べたいと思っています。
7,8月の真夏に来ると、美味しいアップル・マンゴーを安く食べる
ことができますので、暑いのを我慢しても台湾には真夏に行きたいも
のです。

私がいつも食べているのは、上記のような物だけですが、夜市には実
に沢山の種類の食べ物屋さんが並んでいます。
臭くて有名な「臭豆腐」のお店、台湾独特のステーキ店、台湾ソーセ
ージといわれる「香腸」を扱うお店、フライドチキンのような揚げ物
の店、肉まんの類いの「煎包」の店、「酸辣湯」サンラータンなどの
スープを売っている店など、また「排骨飯」「魯肉飯」といったご飯
ものも食べることが出来ます。



【台湾雑記帳】 その14       (2006.04.14)


さて今回は引き続き、「士林夜市」以外の「夜市」などについての
情報をほんの少しですが、書いてみましょう。

いずれも台北市内ですが、もっとも大きなものでは「松山夜市」が
有名です。台北駅からは西方に距離的にちょっと離れてしまうので、
あまり行く機会の無かった場所ですが、その手前の信義区のあたり
に「台北101」という世界一高いビルが出来たこともあり、その
あたりまで出かけた時には、ぜひ寄ってみたい場所です。

「松山」というのは空港の名称にもありますが、「松山夜市」は
台湾鉄道の松山駅の北側にある夜市です。
観光夜市のアーケードをくぐると、道の両側にびっしりとお店が並
ぶ様は壮観です。B級グルメなら何でも揃っていますので、食いし
ん坊にもぴったりの場所。この近くには「京華城」という大きな球
体を抱えこんだような建物が特徴のショッピングセンターもあるの
で、「台北101」とあわせて観光・ショッピングしてみるのも良
いかと思います。

ちなみに、「台北101」のある信義区の一帯には日本の三越百貨
店と提携している新光三越が同じ場所に複数棟の百貨店ビルを建て
て営業していますし(たぶん、もう4棟くらいになっているのでは
と思いますが)、ワーナー映画村ともいうべきシネコンもあって、
世界の最新映画(香港映画もいち早く)を日本よりもはるかに早く
封切上映していますので、買い物好きにも、映画ファンにもとて
も魅力的な場所に成長しつつあります。

さて、台北の夜市として、以前は日本の旅行ガイドブックでよく
紹介されていたのですが、最近の本では取り上げられなくなったよ
うに思われるのが「華西街観光夜市」です。
台北駅から南のほうの萬華(まんげ)地区、古いお寺として有名な
龍山寺の近くにある、ちょっとレトロな感じの夜市です。

淡水河にも近いこのあたりは、台北の街の発祥地ともいわれている
ような歴史のある地帯のようですが、ちょっと時代に取り残された
感じもあって、良くいえばレトロ、悪く言うとうす気味の悪い地域
のように扱われているようです。最近の観光ガイドブックから記述
が消えつつあるのは、敢えてこの地区には近づかないほうが無難と
いうような配慮もあるのかも知れません。

それはそれとして「華西街観光夜市」ですが、その名に観光と付い
ているように観光客をメインのターゲットにした夜市として営なま
れてきた場所のようです。
MTR「龍山寺」駅で降りて、探しながら歩いてゆくと簡単に見つ
けることが出来る場所です。

「夜市」としては全体に古くさく、活気が無いと現在は言われてい
るようで、確かに他の夜市に比べると、流行のファッションや雑貨
を売る店もあまり無くて、特に買い物をしたくなるような雰囲気の
場所ではありません。逆に、多分ひと昔前の夜市はみんな、こんな
だったのではと思わせるような独特の雰囲気が残っている点では、
他の元気の良い「夜市」よりも、かえって魅力的に感じられる部分
が多いように、私は思っています。

「士林夜市」をはじめ、地元の人にも人気のある「夜市」には確か
に沢山の人が集まりますが、ややもすると「夜市」自体が日常の延
長のような、単なるショッピングの場所になってしまいがちです。
このレトロな「華西街観光夜市」は、日常とはちょっと違った風情、
そう、昔のお祭りの夜店(よみせ)のような雰囲気が漂っているの
で、私は多いに気に入っています。

どうでも良いような雑貨や衣料品の店が立ち並ぶ中に、漢方薬や強
壮剤の店や、ちょっと怪しげな大人のおもちゃの店、下着の店など
が幾つも出ているのがこの「華西街観光夜市」の特徴です。
これは他の地区の夜市では現在はあまり見られないお店です。

この夜市の一部はしっかりしたアーケードの中に入っており、そこ
にも特徴のあるお店が結構多いようです。
海鮮料理の店として有名な「台南担仔麺」というお店は、この夜市
の中にあることで知られています。

この店は、豪華な内装とウェッジウッドの高級食器を使っているこ
とで有名なところです。一杯50元ほどのチープな「担仔麺」をウェ
ッジウッドの食器で出してくれるらしいのです(私はこの店ではま
だ食べたことがありませんが)。
店先だけ見ると普通の屋台の魚屋さんかなという感じで魚が並んで
いるのですが、店の奥にある食事場所はというと、絢爛豪華な内装
をドアの向こうに見ることができます。中では、高級海鮮料理を食
べさせてくれるらしいのです。ウェイターらしき黒服の姿も見えま
す。
何とも不思議なお店ですので、百聞は一見にしかずで是非ご覧いた
だきたいものです。

また、このアーケードでは、蛇の生き血や、蛇の胆(きも)を切り
取る実演をしているお店の前に、いつも人だかりがしています。
おそらく、毎夜のように実演販売しているのでしょう、とても手際
よく蛇を処理して観光客の目を楽しませてくれています。
蛇の生き血をお酒の中に溶かして飲ませてくれるようです。

バナナの叩き売りこそありませんが、色々な商品をオークションの
ようにして実演販売している店もあります。
雑貨や玩具などに、おまけをいろいろ付けたりして値段を競わせ、
楽しませてくれます。
これなど、日本の夏祭りの夜店を眺めているような気分になってき
てしまいます。こういうイベント的な要素は、ほかの夜市ではまっ
たくお目にかかれません。
こうしたアトラクションや、ちょっと怪しげなお祭りの夜の雰囲気
を楽しみたいのであれば、「華西街観光夜市」がオススメです。
そういう意味では貴重な場所ではないかと本当に思っています。

ただ、今のオークション販売の場所で出会ったのですが、この夜市
には本物(!)のスリがいるようなので、そんな点は注意が必要か
も知れません。
私が見たスリは、かなりのお年寄りで、あまりにも動きが鈍くいか
にも怪しげな動作をするので、まわりの誰もがこれはスリだとわか
ってしまっているようでした。
これでは被害者が出ないのではないかなと思うほどのお粗末なスリ
でした。

このスリは、観光客がオークションの主催者の身振り手振りに気を
とられている隙に、懐中物を狙おうとしているようでしたが、狙っ
た対象者にわざとらしくすり寄って、ズボンや上着のポケットの上
を、何気ないように触れようとするのですが、誰の目にも意図が見
え見えで、すっかり誰もが警戒してしまうようなあり様。
私が見ていた限りでは、みんなが気づいていましたので被害はゼロ
でした。

それでも中には気づかずに被害に遭う人もいないことは無いでしょ
うし、そもそも地域に根を張ったようなスリがいるというのは考え
てみるとちょっと悲しい事ではあります、
まあ不思議な魅力に満ちた場所だなという気がいたしました。




【台湾雑記帳】 その15       (2006.04.21)


台湾の魅力として欠かせない「夜市」について、しばらく触れてき
ましたが、「夜市」は観光客向けのものもありますが、基本的には
地元の人にとっての夜のレクリエーションのようなもの。

台湾のような南国に暮らす人々の生活時間は、日中にくらべるとは
るかに涼しくなる夜間の方に、どうしてもずれ込みがちです。
こうした人々の生活に結びついたかたちで、各所で「夜市」が連日
催されています。小さなものを含めると、あちこちの街角にそれこ
そ無数に存在していますので、たとえば観光で出向いた際には、ご
自分の宿泊するホテルの近辺を歩き回ってさがすと、それぞれの地
域に根ざした夜市を必ず見つけることができます。

生活密着型の夜市を見て歩くと、本当に手に取るように台湾人の生
活そのものを細かく体感し理解できるような気がしてくるものです。
短期の観光旅行で現地について理解を深めたい方にはおすすめです。

その点からいうと、たとえば「圓山大飯店」などのような人家から
孤立した立地のホテルは散策するには不向きです。どちらかとい
うと中級以下のアットホームなホテルを選んで宿泊されたほうが、
近辺の生活環境に触れる機会が多く、じっさい余計に歩く必要もな
いので身体も楽です。これはこれまでの経験で学んできたところで
す。

さてそれでは、お話を変えて、台北から行く観光スポットのいくつ
かをご紹介して今回一連の【台湾雑記帳】をいったん終了にしたい
と思います。

まず、「非情城市」の世界【九(イ分)】のお話。

【九(イ分)】チョーフンという地名の台北北方にある金鉱山の跡
は、ホー・シャオシェン監督・1988年制作の映画「非情城市」に
よって広く知られるようになり、今やすっかり観光地として定着し
てしまいました。

台北駅から列車やバスを乗り継いで、一時間程度で到着する場所に
あるのですが、この地が、外国からの観光客のみならず、地元の若
い人達にも、たいへんな人気の場所になっています。
行ってみるとわかるのですが、一言でいうと、とにかくレトロな感
じなのです。

台湾もこのところ近代化が進むにつれて、なかなか市街地には古い
雰囲気を残した場所が少なくなってきている現状があります。
そのせいか、九(イ分)のように昔ならば本当に打ち捨てられて見
向きもされない、片田舎の廃鉱跡の辺鄙な場所だったと想像される
場所が、すっかり人心を引きつけて離さないものになってしまった
ようなのです。

眼下に、大きな「基隆」キールンの軍港を見おろすことのできる、
小高い山に張り付いた小さな町、それが九(イ分)です。
山の斜面をまっすぐ登ってゆく石段と、それとクロスした何本かの
細い小路(というか、家のひさしが迫っていてトンネルのよう)が
交わっており、ほとんど廃屋のようなくすんだ色の建物が繋がって
建っています。

「非情城市」という映画は、第二次大戦後の外省人と内省人の過酷
な対立をテーマにした(台湾人にとってはタブーの)ほんとうに暗
い映画です。この九(イ分)の町はそうした映画の暗さを暗示する
にはぴったりの場所だったようです。
観光客がぞろぞろと歩いていることをちょっと頭の中から除外して
考えると、細い小路でつながれたこの狭い町は、今でもとにかく暗
い印象しか与えないような所なのは事実です。

私はこの町に三回ほど行ったことがありますが、たまたま雨の降っ
ていたことがあり、折りたたみの傘をさして小路を歩いたことがあ
ります。その時の印象を、今でもはっきりと思い出すことができま
すが、廃館となった映画館などを眺めていると、人の住まなくなっ
てしまった廃鉱のわびしさや悲しさが、重たい存在感となって心に
迫ってくるものがありました。
観光地化したといっても、容易には明るい場所にはなりえないよう
な、本物の存在感を感じさせてくれるところです。そういう意味で
は、誰もが何かしら本物の持つ重たい存在感を感じることのできる
奥深さがあります。

実際は観光地なので、小路では沢山の商店や食堂が営業しています。
といっても狭い場所なので、それらのお店はどれも本当に小さなも
ので、まるで屋台のようなお店ばかり。
そうした小さなところですと、言葉がわからない日本人の私などで
も、どういうわけか割りと気おくれせずに食事など頼むことができ
ました。
空間の狭さが、すべてに独特の雰囲気を作っている場所です。

さて、この九(イ分)の町で、わたしの一番のお気に入りとなった
デザートのお店があります。
九(イ分)の町に最後に行った時に一回行ったきりなのですが、ぜ
ひ次回台湾へ行った時には、是が非でもそのお店だけは行きたいと
思い続けながら、その後は九(イ分)までなかなか行けなくて現在
に至っています。

お店の名前は正確には覚えていないのですが、場所は、みんなが必
ず歩く中央の階段を登りきったところの頂上にある、「九(イ分)
小学校」のすぐ手前、階段を十段ほど下がったところにあったこと
を覚えています。

デザートの中でも、台湾の名物の「粉圓」といわれるジャンルのも
ので、「タロイモ」や「サツマイモ」などを練って小さな団子のよ
うに切り分けた物や、金時豆などの煮豆などを、そのお店の場合は
かき氷の上にトッピングとして乗せ、黒蜜を掛けて出してくれまし
た。何を頼んで良いのか要領がわからなかったので、前に並んでい
た人とほぼ同じような物を指で示してオーダーした記憶があります。
トッピングを三種類ほど指定できるようです。

かき氷といっても、雪のように細かく粉のようになったものではな
くて、ガラスでできた昔の「おはじき」のような小さな切片になっ
ていました。その上にトッピングされた何種類かの素朴に切り分け
られた芋団子や金時豆が、まだほんのり暖かく、その甘さと暖かさ
とかき氷の冷たさが、何ともいえないハーモニーなのです。

そのときは夏で晴天の日でしたので、お店の中には入らずにテイク
アウトし、すぐそばの大きなお寺の境内で、遠くの港町の景色を眺
めながらいただきました。写真もとりました。
正直いって、これほど完成度の高い「粉圓」はいまだに食べたこと
がありません。これをもう一度食べるためだけにでも、なんとかも
う一度、九(イ分)の町に行きたいものだと、ときどき思うことが
あるくらいです。

また、その「粉圓」屋さんの客席はちょっと変わっており、ちょう
ど山に据え付けられたトーチカのような感じでした。
むき出しに近いコンクリート製で、中は薄暗く奥ゆきがあります。
たぶん夏はその中は日陰になっているのでヒンヤリと涼しく、そこ
に座って遠くの景色や下界を眺めて休憩するようになっているよう
です。
是非、その中に入ってみたかったというのも今となっては心残りの
ひとつです。



【台湾雑記帳】 その16       (2006.04.22)


九(イ分)の「粉圓」屋さんのお話をしましたが、台湾の庶民的な
食べ物の中には、本当に素晴らしいものが多いのに感心します。
ほとんど屋台のようなお店でしか食事をする事が無いのですが、
そんなお店の食べ物でも、なかなかに細かい配慮のなされた逸品が
多いのです。

以前にも書きましたが、台北駅にほど近いところにある屋台のお店
でいつも食べる「炒ビーフン」の味は最高です。
極細のビーフンの麺、味付きのひき肉の入ったタレ、シャキシャキ
とした歯ごたえのもやし、たったこれだけの物で構成された一皿で
すが(お値段たったの100円!)、これを食べるために台湾へゆき
たくなるほどの美味しさです。

自分で焼ビーフンを作ってみようと試みても、麺を戻すのも結構む
ずかしいものですし、絶対に本場の味は出せないのであきらめてし
まいました。もちろん台湾でも、どこで食べても素晴らしいビーフ
ンが食べられるわけではありませんので、いろいろなお店に入って
食べ比べる必要はありますね。

西門町へ行ったときには必ず食べに行く「阿宗麺線」という屋台の
大腸麺線も絶品のひとつ。
大腸と名の付いているのは、中にホルモンが入っているからで、
台湾のどこでもみられる定番の料理です。
大きな鍋で、そーめんのような細い麺とホルモンとが、とろみのつ
いたスープの中で煮込まれている光景をよく見かけるものです。

中でも「阿宗麺線」の大腸麺線は行列のできるほど人気。
この店は大腸麺線の大椀50元・小椀35元の二つしか扱っていない
という、台湾の屋台の中でも珍しい単品経営の店です。
座席は無いので、受け取ったどんぶりを持って立ち食いすることに
なります。

メラミンのどんぶりに入った麺とスープを、薄っぺらなプラスチッ
クのスプーンですくって食べます。食べにくくてちょっと大変なの
ですが、とにかダシが効いていて美味しいので、店の周りはいつも
どんぶりをとスプーンを持った人たちで取り巻かれています。
商店街の中にあるお店なので、周りのお店には少々迷惑な存在かも
知れません。
濃ーい鰹だしがベースで(その他、いろいろな中華の調味料が入っ
いるようで、強い味付けになっています)日本人が食べても何の違
和感もなく美味しいと感じるお味です。

中にホルモンが入っているのと、香草が薬味として上に少しですが
乗せられて出されますので、その部分がどうしても馴染めないとい
う人にはオススメできないのですが、まあほとんどそんなことには
関係なく、日本人好みの美味しい一椀であることは保証します。

注文するときは、大(ダイ)・小(ショウ)と日本語で言えば通じ
ますし、小銭を差し出すだけでもオーケーなので、言葉は不要。
私にとっては台湾に行った時、かならず食べたい屋台の代表です。

この西門町という場所は、台北駅から歩いてもいける程度の距離に
ある繁華街で、日本でいえば渋谷か原宿かといった感じの若者の街
です。
この町の食堂で、ときどき無性に食べたくなってでかけるのが「鴨
肉片」ヤーロウピンというお店。
ローストしたアヒルの肉を出してくれますが、これも病み付きにな
ったものの一つです。
台湾出身の引退してしまった元女優「ジョイ・ウォン」も、この
「鴨肉片」に車で乗りつけて、買っていったなどと地元の芸能誌に
書かれていましたが、よほどここのお肉がお気に入りなのでしょう。
確かに美味しいです。
鳥インフルエンザの影響で客足は落ちているようですが・・・

その他、いくつも美味しいものがあって切りがないので、この話は
とりあえず今回はここまでにいたしましょう。

次回「淡水」と「ピンリン」についてお話して今回の【台 湾雑記帳】
はおしまいにしたいと思います。

・・・(つづく)・・・

 ★★[台湾雑記帳]マガジン連載は終了し ました ★★

 
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