パチンコが好きな(得意な)友人の夫さんが、今度勝ったら
私の為に(?)CDと交換してきてくれるという。なんて、いい人だ。
貧乏なインディーズシンガーに心から同情していると推測される。
そこで、奥さんのお言葉に甘えて、なんとリクエストまでしてしまった。
売れているものしか置いてないよー、と言うので洋・邦売れ筋もの
を頼んでおいた。(ものすごく図々しくないか?これ)
しかし、とっても楽しみだ。
パチンコ屋さんに置いてもらえるようなCDを作ろう!という目標もできた。
ところで、私は過去に一度だけ(厳密にいうと一度ではないが)
パチンコをやって、しかも大勝したことがあるのだ。
それは、高校と大学のハザマにいたある時期
(はっきりいうと浪人ってヤツですか?)
予備校に通いつつもフラフラしていた私は、
予備校前にあった(あるなって--)パチンコ店にフラフラと一人入っていった。
レイコちゃんの予備校時代の話し、ここでしなくていつするのだ?というくらい
無意味で恥ずかしい過去ではあるが、しておこう。
勉強もしないでロックバンドに翻弄されていた私は、
高校3年で普通に進路を迫られた。
目立たない進学校ではあるが、それなりに
みんな真面目に勉強してしまう輩の多い学校だった。
「おまえどうする?」担任は心配そうな、
それでいてあきらめ顔をしていたが、私は平気な顔でこう告げた。
「大丈夫です、音大失敗したら浪人しますから」
そして失敗した。
高校3年生の夏から通った予備校の講習と、
市内のはずれにある音大教授の家まで声楽とピアノの練習、(そもそも遅い)
その道のりは地下鉄がまだ不備なその時代、真面目にきつかった。
北海道はどこも冷房が完備されていないが、
それでも真夏は35度とかすごい時は38度にもなるのだ。
バスにも地下鉄にも冷房はない、学校にも病院にも冷房はない、
もちろん一般家庭には贅沢の極みだ。
公道にはまだコンビニも完備されていない時代だった。
冷房がありそうなところなどこにもない。
どんなに薄着で麦わら帽子をかぶっても、
炎天下長時間歩いていると、とたんに日射病になる。
予備校でも冷房完備の部屋に当たればラッキー、
アンラッキーの場合は勉強どころではない。
その日も暑くて、私は
タンクトップにミニスカートのようなイデタチで、レッスンへ行く。
途中あまりの暑さに蜃気楼のように聳え立つ
友達の家へ寄ってジュースをいただく。
勉強に興味がない彼女はクールに笑って
「へーー受験ねー、関係ないけどがんばってね!」と励ましてくれた。
「ふえぇぇぇ」気を取り直して、歩くが、
レッスンしてくれる先生の家はあまりにも遠い。
世界の果てまで来たかと思う頃やっとやっとで到着し、
汗を拭う間もなく、とたんにベートーベンを弾かされる。
「さあ、次は発声をやりましょう」と、先生は休む間もなくニコニコと
コールユーブンゲン(発声の基礎)を開く。
「ああああ〜♪」と言ったところで私はバタンといった。
声楽の発声は体力との勝負だ。
レッスンの後は血糖値がさがるから、と、
先生は普段でも帰りにアメを2.3個くれるくらいなのだ。
この暑さでピアノでベートーベンと発声はいかにも暑い。
私は挫折した。
その後「浪人」という道へ進むが、ついでに進路も変更した。
なぜだかわからないけれど、私は音大をあきらめてしまったのである。
たぶん、あの夏の日。
ベートーベンとコールユーブンゲンとは暑さで縁が切れたのだ。
さて、進路変更して予備校に通う決意をした私だったが、
いつのまにか、というよりもやっぱりというか
ダラダラと気が抜けてきたところへまた暑い夏がやってきた。
今日も予備校へ来ただけで体力消耗、
しかも生徒が多くて教室に入れず講議がきけない。
むーーーーっ、生温い風さえ吹かない廊下に、
暗い怨念の顔つきの浪人生でごったがえす予備校。
そこには、冷房の「レ」の字もない。
冷房完備と言えばパチンコ屋さんだ。
フラフラと入っていった私は
あの時たしか元金500円(当時)で数万は手にしたはず。
あ、数万相当の「延べ棒」を手にしたはず。
やみつきにならなっかたのが不思議なくらいだ。
そこには大いなる理由があった。
大勝して喜び勇んで箱をもって移動しているときに、なんと!
高校時代にちょっとあこがれていた、他校の君にバッタリ
出くわしてしまったのである。
私は幼馴染みに紹介されて強烈な印象を持っていた彼を見つけ
ドッキリとしたが、彼は私のことなど覚えているはずもない。
視線をそらして通り過ぎる予定だった。
しかし、甘かった。「あれ〜?ひさしぶり」
人懐っこい顔で挨拶されてしまった。
「いえ、あの、その、あれ?どうしたの・・」なんて、
しどろもどろになった私に彼は微笑んだ。
「いつも来てるの?パチンコなんてするんだ〜」
ああ〜(・0・)
きっと、すごいおねえさんだと思ったに違いない。ウウウ・・。
純情ぶるわけではないが、みかけはともかく
その頃の私は大人しくて真面目な女というイメージであった。
(あったと、本人は思っている)
彼に会いたくないばかりに、パチンコ店にも予備校にも
近寄らなくなってしまった私・・・の、現在がここにあり。ああ、、。