「生きててよかった!」心底そう思う私は心底ミーハーだと思う。
数日前、アルバムのミーティングでちょっと「ブーッ!!」だった
私はお友達のお店で1杯飲んでから帰ることにした。(オヤジか?)
お友達といっても、私がマキシCDを発売してから
何かと面倒を見てくれるようになった人だ。いつも応援しながら
厳しいことも言ってくれたり、しつこい私の性格にも怒らずグチに
つきあってくれるすっごく大人のお兄さんなのだ。いい人なのだ。
彼は私を覚えていないらしいが、昔ロック・バンド時代には
クールなドラマーで人気者だった人で、口をきいてくれるのは
限られた人だけだった。今はグチをきいてもらえるのだから
すごい・・私って。幸せもの。
その彼の同じバンドのヴォーカルのお兄さんも、とっても素敵な人だった。
ストーカーのようなファンがウヨウヨしていて、ちょっぴり特別扱い?
してもらっていた私はそんなファンの女の子によく睨まれたっけ。
彼は私を、「ARB」(石橋稜の)ライヴの打ち上げに
誘ってくれたり、手料理をごちそうしてくれたり、(今思うと謎な人だ)
スキーに連れて行ってくれたりしたものだ。
その彼も前出の彼も今はそれぞれ、ファンの中でもピカイチ美人の奥さんと
お店をやったりして繁盛している。
そこに、私の過去のバンド時代のバンマスを呼び、皆で
「レイコちゃん救済計画」や「今や時の人となった、イエモンなど
かつてのバンド仲間出世物語」で盛り上がっていたところ、
1本の電話が入った。
「ヤッチ来るって!」「えぇぇ!!うそ〜〜!ほんとう〜?」
ついさっき、ヤッチが大好きだったんだなんて、皆に打ち明けたばかり。
私の永遠のアイドル「ギタリスト、ヤッチ」が〜?信じられない!
数々のミュージシャンにあこがれたり、密かなファンになったりした
私の青春ではあったが、ヤッチは別格だ。
あこがれているだけでいい、特別な存在の人だった。
今で言う「私のカリスマ」だ。
ヤッチのバイト先に通い、(音楽系喫茶店ばっかり)「オッ!」なんて
挨拶されるだけで、顔から火が出るくらい可愛いかったかつての私。
思わず皆の前でお化粧を直し、笑われた。
そういえば、ヤッチのことは好きすぎて、恥ずかしいから
消息を誰かに尋ねたことさえなかった。彼は今、何処に?
何をしてるの?どんな人になったの?
20年近く逢っていないし、私は遠くから見つめるただのファンだったから
彼は全然覚えていないだろうし・・・。皆ニヤニヤしている。
ああ、ものすごく緊張してきた。ドキドキするのも久しぶりだ。
まもなく現れた「ヤッチ」は、予想をうらぎりやっぱりカッコ良かった。
まぎれもなく40歳はすぎているはずなのに、いささかの年齢も
感じない。「オッ!」と、うつむき加減で挨拶する笑顔は10代の
あの頃と全く同じで、私のドキドキは最高潮に達した。
「ヤッチに逢えるなんて、生きててよかった・・!」
「お久しーー!」と、乾杯したあと、間髪入れず私に向かって
「誰でしたっけ?」と、言われ「ガックリ、ヤッパリ」とうなだれる私。
皆と盛り上がる話しの内容に「驚いた」のは、それからだ。
彼は今も現役ギタリストで、なんと「フミヤさん」のバンドのギターを
弾いているのだ。「ええ〜!!本当なの?」「あれ、知らなかったの?」
「今日はプライベートだけど、ツアーでは必ず寄るからね」なんて、
話し方も昔と同じで、かつ「フミヤ」が入っている感じ。
もう東京に住んで18年以上になるという。逢わないはずだ。
「もう1件つきあいなよ!」なんて言われてついついその気になって
業界裏話や何やら楽しいひとときを過ごして気づく。
「結局は遠い人・・・。」
「ヤッチ」が、そんな凄い人になっていなくても、もっと太って
髪の毛が薄くなっていたとしても、私は「ヤッチ」が
きっと好きだったろう。
「近い人」になっていて欲しい願望はあるにはあるが、
私にとって、ヤッチはいつまでもあこがれの人でいいのだ。
10代の頃と同じ気持ちになれる「青春ワープ」
の大切なキーワードである、「あの頃の私のスター」だから。
どんなにおじさんになっていても、好きだと思える自信があるぞ!
しかし、「ヤッチ」は、見事に素敵になっていた。
夢を忘れない少年の心と優しさが自然と現れる人柄とユーモア。
そして、相変わらず細い体ときれいな髪。(それはどうでもいいのだが)
ちゃんと、爽やかな大人になっていたのだ。
10代、20代の頃にはない成熟した男になっていたのだ。
それは、私だけが感じたのではないことは、そこにいた昔の仲間達も
口々に「ヤッチはいい感じに年とったね」なんて、言っていたのだから
あきらかだ。
「私のアイドル」は、年を重ねてまた一段と「私のアイドル」になって
いてくれたのである。業界の厳しさも深く知り尽くした
ヤッチは(彼も仕事とは別にエッグというバンドや自分のCDを自主制作している)
「かつてのファンの一人」の私に最後こう言った。
「やれることはやった方がいい。何を言われても、自分の主張を
した方がいい。レベルなんて関係ない。全ては自分が決めるんだ。」と。