1999年開設当初から大人気「レイコのエッセイ」です。 モブログ風の『写真日記〜foto diaria』(2003年9月〜2004年2月)、 現在好評のブログ『musica de blog』(2004年7月より) の過去ログ、コメントも全てこちらで読めます。 左のメニューからどうぞ。
温泉は三月の水

おおっ!早くも2000年の最初の1月がもうすぐ終わる。
なんと、早いこと、大騒ぎしたY2Kカウントダウンも遠き懐かしの過去である。

お正月もダラダラと過ごしたくせに、またダラダラしようと温泉に行った。

といっても、メンバーは家族。このメンバー内では、私は母であるから
(妻ではない)結局は忙しい思いをするのだが、ま、家にいるよりはマシだ。
いつもなら、旅行でもCDを持っていったり、この際読みかけの本を読もうと、
読みかけの本を10冊くらい持つのだが、私は最近心底疲れていた。ホント。

年末年始は自分のレコーディングの企画と、
調子に乗って引き受けた他人のホームページ作成と、
子供のテスト勉強の手伝いで(なぜ手伝ったのか、、)
ずっと睡眠不足だった。
「寝ダメするぞ〜!!」
と、決意し、心を鬼にして、何も持たずに出かけた。

そぼ降る雪の中、定山渓温泉まで車はゆっくりと走っている。
普段の買い物、用事では、いつも私が半分暴走族入りながら運転しているのだが、
ドライブとなるとダンナがハンドルを握る。あ〜、、いいねぇ、、のんびり、、
着いた先、温泉宿の畳の匂いも新しく、私はゴロンと仰向けになる。
「はぁぁぁ、、、落ち着くねぇ、、」

しかし、、ハテナ?、、?どこからか音楽が聞こえてきた。幻聴か!
私の頭の上でボサノヴァのリズムがなっている。
今や私にとって音楽は息抜きするモノではない。
プロとしてのハンパな自覚だけはそなわった怪しい音楽家である。
つまり音楽はお仕事なのである。
だから音楽を聞くと、プロの耳になり自然に緊張するのだ。やだね、全く。

「♪エ・パゥ、エ・ペィドラ、エン・フィドカミーニョ♪」お?
、、、この完璧なポルトガル語によるボサノヴァは?、、息子だった。
車中で聞いていたナラ・レオンのアルバムの中の「三月の水」を
5年生の息子がどうも気に入ったようで、ずっと歌ってる、、おいおい。
それにしてもリズムもポルトガル語の歌詞も私より格段お上手だ。
たしかに、ボサノヴァ系に限らず作曲や練習に口を挟むうるさい息子だが
「三月の水」を歌うとは、、!驚き。

※ボサノヴァと「三月の水」について〜
ボサノヴァだかサンバだか知らないが
(これが「レイコとボサノヴァ」の人の発言だろうか)
ボサノヴァは難しい。その曲の複雑な構成、
複雑怪奇なテンションコード、必殺の転調、スルドのリズム、
2拍が基本、必ずシンコペーションで入るので、
ジャズをやる方はもちろん、普通のロックやR&B、
ブルース、ポップス等8ビートばかりやってるミュージシャンは
「ボサは嫌い、避けたい」と言う人がホントに多い。
だって、はっきり言って難しいんだもん!そーだろうさ。そーだろうとも。
私って、数々の音楽に触れてきたが、ここまで複雑な音楽に
出会ったことがないぞ。複雑すぎて腱鞘炎と戦う毎日だ。
そして、アントニオカルロスジョビンの名曲「三月の水」と言えば、
あのジョアンジルベルトの弾き語り。
ジルベルトの弾き語りだけが「ボサノヴァ」だと言う人もいるくらい。
素朴な声とギターだけで、延々とソボソボと歌う姿、、
独特のバチーダ、わざと?弦を緩めたチューニング、
「そこまで早いか?」と思う2小節ほど早く入る前倒し奏法と歌(笑)。
合っているような、ないような、、
そしてジョアン・ジルベルトは言う。
「僕はボサノヴァなどやっていない、ただサンバを唄っているのだ」と。
そしてアントニオカルロスジョビンは言う。
「僕はジャズは知らない。ボサノヴァも知らない」と。
つまり、ボサノヴァという音楽は実態として「ない」のです。
「ボサノヴァ通」の皆さん、ボサノヴァって何?←あ、あんたは一体、、※

長い解説で何がいいたいかと言うと、つまり5年生の息子に
なぜこの難しい曲が2〜3回聴いただけで歌えるのかっていう嫉妬ですねん。

怪しい音楽家のプライドがムクムクとしてきた私。
クチョーー!!息子になんて負けたくない!音楽だけは!キーッ!!
夜中にこっそり歌詞カードを出して暗記をはじめるが、
まるで受験生のように、急激に睡魔が襲う・・・。だめだ・・・。
気がつくと朝になっていた・・・。

と、いうわけで、今回の2泊3日の温泉行きはやっぱりというか、何というか
神様に「遊んでないで、練習!練習!」と、クギを刺されて終わってしまった。

ゆっくりと温泉に入り、美味しいお料理とお酒を飲み、あてもなく
浴衣姿で温泉街をのんびりと歩く。
隣には素敵な恋人。あーなんてロマンティック!

こんな、夢はもっともっと年をとってからでも見られるよね。

今は「やりたいことがたくさんある解脱せぬ私」でいいのだろう。
ゆっくりするには若すぎるっていうことで。
でも暗記せねば・・のおかげで「寝ダメ」はできたかも知れない。

それにしても、こんなせっぱつまった心境の私を横目に
試験も近い息子は堂々と勉強道具を忘れたフリをして、
今回の温泉では相当遊びまくっていた。
「三月の水」を鼻歌しながら・・・。

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